鳥篭
メーカー〔ソフトさ~くるクレージュ〕 発売日2002年8月11日


悲しみを癒してくれるのは調教だけ
『大きくなったら結婚しようね、美雨』

幼い頃に交わしたこの二人の約束は、身分という現実に阻まれた。メイドである美雨はその現実を思い知り、鋭司を想うがゆえに約束を破棄する。一方、そんな事情を知りえない鋭司は、純粋に美雨から裏切られたと思い込む。悲しみはやがて怒りへと変わり、美雨に辛く当たり散らすようになってしまった。

その誤解をどうにかして解きたい美雨。だが、彼女にはその方法が、鋭司の言葉に従い、ひたすら尽くすことであると信じて疑わない。心中で想いあっている2人だからこそ生じてしまった擦違いは、時間の経過と共に修復不可能なものへとなっていく…。


作中、主人公鋭司とメイドの美雨の間で行われている調教の下地には、このような悲哀の設定が敷かれております。ありがちといえばありがちですが、ま~、切ないお話であることに違いはないですわね。

鋭司は調教で、美雨にそれはそれは酷い仕打ちを強いていますが、その行為の裏には「愛していた彼女に裏切られてしまった」という深い悲しみが見え隠れしているので、彼にも同情できる部分がある。不器用な2人のやりとりにはちょっとキュンときてしまうことも…。強く印象付けられた「ストーリー性」は、他の多くの調教ゲームとは一味違った様相を呈しています。

とはいえ、肝の調教シーンそのものは至ってオーソドックス。回数を重ねるごとに段々調教の度合いが増していくという従来量産型で、パラメーターが複雑に絡んだ面倒臭さも顕在です。

美雨の新たな調教の項目を増やしていく為には、このパラメーターによる所が大きいのですけれど、パターンが明確化されていないがゆえに、こちらは完璧に手探りの状態。ストーリーを進めていく上で必要不可欠な「会話」もまた、複雑なパラメータが関わりあってしまっていますので、一端ドツボに嵌ってしまうと調教もストーリーも全く先へと進めないという悪循環が待ち受けています。調教とパラメータの二つが交わりあった時、必ず難易度は跳ね上がるという悪しきジンクスそのままに、鳥篭は非常に難しい作品です。

この悪夢…、もしやDEEP2の再来か…?

瞬間、そんな戦慄も走ったのですが、この鳥篭には一条の救いの糸が垂れていました。なんと、CDの中にひっそりと、ゲームの攻略方法が記されたテキストが隠されていたのです!

会話進行表&エンディング表・パラメータ表・調教メニュー出現表。これらゲームを進める上で、何にも換えがたい値千金の情報が秘密裏ながら用意されている。この蜘蛛の糸には大いに救われましたね。というか、これがなければ恐らく、私は今頃さじを投げてしまっていたに違いないでしょう。全力投球で。

攻略情報を拠り所にし始めてからは、流れるように出現してくる新たな調教シーン。ですが、それらは他の調教ゲームをそのまま流用したようなものが多く、取分け目立ったプレイ等は残念ながら見当たりませんでした。つまり、どこぞで目にしたような展開ばかりなので、ゲームを進行する上での推進力が弱かったのです。「美雨に自分(主人公)を責めさせる」という調教だけは、少し特異な存在ではありましたが…。でも、これって普段美雨に高圧的に接している自分の威厳を、著しく損なってしまっているような気がするので、どうにも馴染めない調教ですね。ストーリーがしっかりしている作品だけに、これにはチョット違和感が残ります。

まぁ、コメントをつけるのはこれぐらいのものであったといえるでしょうか。そもそも、調教の総数自体がそれほど多くを数えないものでしたので、やはり一般のエロゲと比べるとここはどうしても…。

1500円の同人ソフトと視点を変えれば、少な目の調教シーンでも全然問題はなし。いや、逆に大満足といえるほどの充実ぶり。ここ最近、クレージュさんがリリースした、「ぽこぽこ妹2」「DISCODE-1」という作品のような、「同人ならでは」の部分はこの鳥篭では見受けられなかったものの、一般エロゲのスタンダードはキチンと為しえていた。安価な同人ソフトでありつつも一般作と目立った遜色がなかったのですから、これはこれで大きな評価を与えてもいいものと思われますね。

拡大やら左右反転やら涙ぐましい努力で、少ないCGをなんとか多く見せようとしてはいます。が、実際の所は微々たるもの。1500円という値段を考えれば、不服申し立てをする訳には参りませんけど…。

同時発売のDISCODE-1に比べると見劣りはしてしまいますが、充分に汁々な作品。スタッフルームを見てみますと、これもDISCODE-1と同じ人が汁を描いてくれているみたい。この方が裏で暗躍し続けてくれる限り、私はせっせと投資し続ける事でしょう。

鋭司からどんなひどい仕打ちをされても構わない。でも、鋭司の側から離れる事だけは耐えられない…。そんないじらしい美雨に激しくラヴ。

このエロゲの原画家さんは、ぽこぽこシリーズと同じくのポチ加藤さんなのですが、この方はロリ以外の人も、いうならばおっぱいの大きい女性もちゃんと描ける人であったんですね。知りませんでした。私はチャイルド専門なのかと誤解していましたから…。
2002年9月19日