発売日 2011年8月26日
メーカー bootUP! 
母子相搏つ!
隣に住む美人な未亡人とその娘の幼馴染が主人公に惚れていて、母娘で仁義なき主人公争奪戦を始めるという、今までありそうでなかったこともないお話。これまでbootUP!さんは常に血縁関係にある2人のヒロインを前面に押し出してきましたが、今回はまさかの親子。母と娘でまともな三角関係なんて成り立つんでしょうか? その辺の疑問を踏まえて、プロローグでの三角関係が形成されるまでのイベントを紹介して参りたいと思います。

 ■登場人物紹介■
駿介・このゲームの主人公。不在がちな両親に代わり、幼少の頃から恋さんによく面倒を見てもらっていた。
・年頃の娘がいると思えないほど若々しい未亡人。包容力があり、マイペースでおっとりした性格。
・恋の娘で、駿介の幼馴染。母とは違い、活発で物事をハッキリ言うタイプ。目が平行四辺形。

場面は、お見合い話を断った恋さんが、実は駿ちゃんのことが前から好きだったと主人公を押し倒して告白してくるところから始まります。「ほ、本当に? 恋さんが、俺のことを……?」 エロゲ主人公お決まりの白々しいセリフを吐いたあと、歯止めの利かなくなった2人はそのまま関係を持ってしまう。

「まだ駿ちゃんのが……入っているみたいな感じで。もしかしたら、私のアソコの形まで……あっ……」
  ↓ (セックスを終えた余韻の中で、いきなり下品なことを口走るオカン)
駿「俺の気持ちは変わらないですよ。だから恋さんとのことは、これからもちゃんと……」
  ↓ (押し倒されただけなのに、何故かカッコイイこと言っている風の主人公)
「──っ!!!!!」
  ↓ (帰宅した娘の愛が偶然立ち会わせてしまい、オカンの情事を目撃するというトラウマ展開)
駿「あ、愛!? あいつ、いま、泣いてた」
  ↓ (俺でも泣くわ)
「愛のこと、追いかげてあげてっ……お、お願い! あの子はっ……あの子は、駿ちゃんのことがっ──」
  ↓ (娘の気持ちを知っていたくせに、セックスを迫った強欲なオカンであることが判明)
駿「……行ってきます、恋さん!!」
  ↓ (ナイト気取りで駆けつける主人公)
駿「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺の話を聞いてくれよ!」
  ↓ (誤解でも何でもないので、“俺の話”といっても特に内容はない)
「……はぁ。だいたいの事情は、わかったわ」
  ↓ (オカンが自分の友達と寝ていたのに、物わかりの良い愛ちゃん)
「……ごめんなさい。愛。私は……愛の気持ちのことも、知っていたのに……」
  ↓ (いけしゃあしゃあとコイツは…)
「提案……というか、お願いがあるんだけどね。私にも……せめて、スタートラインに立つことを許して!」
  ↓ (オカンが先に手を出したのはフライングだと抗議。再試合を執り行い、改めて審議すべきだと要望)
「……わかったわ。愛。もう一度、仕切りなおす必要が……あるのかもしれないわね」
  ↓ (自分1人で勝手に了承してしまうオカン)
駿「えっ……? 仕切りなおしって……ええっ?」
  ↓ (自分の意見をハッキリ言えずにただうろたえるだけの主人公)
「……私も、駿介のことが好き! だから……私のことも、抱いてほしいの!」

ちなみに、このあと駿介君は速攻で愛とエッチしました。ものの1時間前に母親を抱いたばかりなのに、娘に告白されたらほいほいそっちともエッチする見事な内股膏薬。「俺の気持ちは変わらないですよ」と格好良く決めたセリフは、多分本人の海馬から完全に消え去っているんでしょう。

主人公が恋さんのことを好きで、彼女を口説き落とした上で関係を持って、そのことを知った娘が対抗意識を燃やして三角関係に発展……という構図なら、そんなに変な感じにならなかったのに、主人公が自分の意志を持たぬ木偶の坊だから、こんな無理のある話になっちゃう。それでも、娘が片想いしている男を押し倒した母親と、その母親から男を寝取ってやろうと躍起になる娘は、どちらも人間として徳が低すぎますけどね。

ムリヤリすぎる展開のせいで、のっけから白け気味でありましたが、とりあえず、母と娘の三角関係がこのエロゲの主題。基本仲のいい親子なのでギスギスした重苦しい空気はありませんでしたが、結構シナリオは2人の対立を煽りたがって、「とらバ!モード」という独自システムもその一助になっています。

これは恋さんと愛が激しく口論を繰り広げる中、間を取り持つ主人公がどちらかに助け船を出し、味方した方の好感度が上がるというシステム。でも、母親が娘とガチで男の取り合いをしているという構図自体が情けないので、心情的に恋さんの味方をしにくいんですよねー。やっぱり、母と娘ではなく、姉と妹という設定で良かったんじゃ…。タイトルは適当に「あねいも」とかで。


エッチシーンは、LOVEエロを標榜するbootUP!作品なだけあって、そこいらの純愛系よりはエロの意識が高いです。総数は49もあり、内容もイチャラブあり、コスプレあり、SMあり、アブノーマルあり、ハーレムありと充実……しているように見せかけて、フェラが極端に少ないという片手落ちヒロイン全体をひっくるめてもたったの2(パイズリフェラは除く)ですよ? 2!! 恋と愛に最初に1つずつあるだけで、あとはサブヒロイン含めて皆無だというのだから恐れ入ります。

それと、エッチのバリエーションは確かに様々あったんですけれど、そのほとんどがヒロインがお膳立てしたもので、主人公は常に受け身だったのも不満ですねー。主人公が○○を着せてエッチしたいとか、今日は○○をしてみたいとか、なかなか自分の意志でエッチに取り組んでくれない。草食系男子と呼ぶにもおこがましい、植物系男子ですよ。自分からは催促すらすることなく、水を与えられるのをただ黙って待っているだけ…。


本来、シナリオがいつもの長野ヒロユキさんでなかったことは朗報であるはずでした。長野ヒロユキさんはLOVEエロを体現する素晴らしいライターさんである反面、孕ませへの気持ち悪いほどの執着がデメリットとして付随してくるため、LOVEエロというコンセプトを維持したまま、一度別のシナリオライターさんに交代して欲しい願望はずっとあったのです。

とらバ!では、念願通り長野ヒロユキさんが企画に退き、新しいシナリオライターが起用された作品だったんですけど、出来は以上のように散々。作品全体のノリも「ぐが!!!?」「ぶっほおおおお!?」とか、まるで初代あねいもを見ているような安いノリだったことに辟易。これでは、ただの長野ヒロユキさんの劣化版……というか、長野ヒロユキさんがLV1に戻って執筆したようなテキストでした。

ホントごめんなさい。もう贅沢なんか言いません。長野ヒロユキさんがシナリオでいいです。

やはり気にならざるを得ないのが絵ですよね。いくらツリ眼好きな私でも、これほど不自然にツリ上がった眼は如何なものかと思う。宇宙人のグレイを彷彿させる恐怖感がありますよ。

とはいえ、原画家さんが力不足であるわけではなく、基本的には良い絵を描く人。胸がただ大きいだけではなく、スタイルの良さを際立たせる身体のラインの描写などは、実に私好み。エッチシーンの構図も大変優れているので、充分上手い部類に入る原画家さんなんですよね~。何故、眼だけが平行四辺形なのか…。

母と娘はどちらも“ナシ”でしたので、選ぶとすればサブヒロイン。私は、黒髪の委員長である東篠姫乃(とうじょうひめの)が好きでした(過去形)。

彼女のシナリオは意外に良かったんですよ。真面目で大人しい委員長と、積極的ではない内気な主人公の関係は似た者同士のいい雰囲気。他愛のないメールを交換しながら、お互いゆっくり距離を近付けていく過程が素晴らしく、背伸びしない等身大のほのぼのとした恋愛が私には好感だったので。

あるとき、「東篠さん」とずっと名字で呼んでいた駿介君が、「姫乃」って下の名前で呼ぶことがあるんですけど、本人はそのことをものすごく意識して、記憶を反芻させては幸せに浸ったりするんです。

胸の奥がうずくような、甘い感覚。鼓動が高鳴って、自然に喉が渇いて、また、何度でも、彼女の名前を口にしたくなってしまう。

この純な一面に共感を憶えましたよ~! 駿介君は極度のヘタレですけど、自分の気持ちをひた隠しにしたりせず、ちゃんと心の中で好きな人を意識できるのは素晴らしいことだと思います(当たり前のことですけどね)。

しかし、肝心のシナリオが夏場の夕立のように突然雲行きが怪しくなる。姫乃ちゃんは、自分の抱える秘密が明らかになるにつれ、段々情緒不安定な人になってきて、終いには主人公の家に押しかけては、突然衣服を脱ぎだしてボンデージ姿を披露する変態に。……いやぁ、これにはドン引きでしたね。ボンデージはないわぁ。ずっと好きだったのに、一瞬で恋が冷めました。
2011年9月5日