シスタ×シスタ ~Lovevery Sisters~
メーカー〔Apricot Cherry〕 発売日2009年4月24日


龍が沼の淵に潜むは時期を待ち天に昇らんがため
アニュアルレポートで「2009年こそはたくさん片想いさせてくれますように!」と書いたように、私はとにかく片想いが大好きなんですよ。片想いすることで「好き」の気持ちが募り、それが衝動となって、普段出せないような勇気や努力に変わって行く。口下手で臆病な性格でも、自分の中の「好き」が溢れれば、思いの丈をぶつけずにはいられない。そんな片想いが生み出すチカラってすごく素敵じゃないですか~。

シスタ×シスタは、まさにそんな私の想いが詰まっていたと言っていい作品でした。学園のアイドル西園愛歌に想いを寄せる気弱な主人公が、一念発起で告白を試みようとする。残念ながら結果はNGで、振られたショックに深く落ち込んでしまうことになりますが、それが終わりではなく、スタートであるのがいい。人間、失敗してしまったあとにどう行動するかですもんね。

ただ、自分を磨いて再び愛歌にアタックするものだと思っていたら、親身になって励ましてくれた愛歌のお姉さん、西園鈴音先生の方に移り気しちゃうので、あれれって感じでした。そのまま方向修正されることなく、一本道で鈴音先生とハッピーエンド。どうやらファーストプレイは必ず鈴音先生のルートになるようで…。鈴音先生も可愛かったからいいですけど、やや拍子抜け。

改めてプレイし直すと、新たに選択肢が発生し、今度こそ愛歌攻略の本番。その西園愛歌というヒロインですが、主人公が憧れる才色兼備な優等生とは別の一面を持っており、誰からも好かれる人当たりのいい性格とは裏腹に、実は毒舌三昧のどす黒い本性を隠し持っている

「あはは。いいじゃん、俺そういうのタイプだよ。ツンデレ好きだし」と言える人でも、彼女の場合は、相当な覚悟が必要だと留意しておきましょう。ハッキリ言って、メチャクチャ性格悪い! しかも、簡単にデレるような相手じゃないので、かなりの忍耐が要求されます。

本性を知っても好きな気持ちは変わらないと答える。
体育館で倒れてしまった愛歌を優しく介抱してあげる。
不味い愛歌の手作り弁当を美味しそうに食べてあげる。
愛歌のために二時間かけてお弁当を作ってあげる。

どうですか? ここまで誠心誠意やったら、普通どんなツンデレでも思わず頬を赤く染めるってもんでしょ!? ところが、愛歌にはまーったく効き目なし。ちっとも靡く素振りがないどころか、「相変わらずキモイわね、あんたは」と理不尽に蔑まれてしまう有様。言っておきますけど、別にこれ照れ隠しのセリフなんかじゃないですからね? リアルにキモイと思われています。淡い期待は捨てちゃってください。

少しいい雰囲気になったところで「好きだ」と改めて告白してみたら、「調子にのんじゃないわよ!」と激昂され、「もうあんたと友達でいるのも終わりね」とあっさり関係を断ち切ろうとする鬼のような人なんで…。必死に食い下がって謝罪するも、「そんなにあたしのことが好きなら、下僕にしてあげるわ」と、更にとんでもないことを言い放つ。もはや完全にSMの世界。この時点で幾多のプレイヤーが音をあげてギブアップすることでしょう。いくらなんでもこのツンデレさん、上級者向けすぎます…。

まぁ、私は上級者だから平気でしたけど!

元々、お弁当を作ったぐらいで落ちてくるような高嶺の花なら、その程度の価値だったと言うこと。釣り合わない恋を望むからこそ、割に合わない努力が必要ってもんですよ。だからといって、下僕になるのはさすがにどうかとは思いますが、大きな目的を果たすため、一時の屈辱を受け入れる度量も大切ということですね。謀叛を企む魏延を討ちとらんがため、家来になることを選んだ馬岱のように。

でも、当の主人公はそんな打算ではなく、惚れた弱みってところが大きいみたい。尊厳を踏みにじられようとも、好きな人相手だから我慢できてしまう。関係はどうあれ、一緒の時間を共有できることの喜び。それを彼は優先したいようです。それはそれで私も理解できるところ。

やがて、ある事件で彼女を庇ったことをきっかけに、ようやく、ようやく愛歌の心に変化の兆しが生まれます。表面的な態度や乱暴な口調は変わらなくても、明らかに今までと異なる手応え。常人には気付かないであろう微細な変化ですが、ここまでプレイしてきた上級者の皆さんなら、きっとそのデレっぷりを過敏に感じ取り、歓喜の声をあげることでしょう。こうなってからがホント楽しくて楽しくて~。

念願のエッチシーンも最高に素晴らしかった!! 久々にガツンとした和姦でしたよ。お互い貪るように身体を求め合い、セックスに惑溺していく2人の描写がものすご~くいやらしい。

特に愛歌はあんな性格ですから、エッチシーンでの落差が堪りません。普段SなのがベッドではMとか、そういう単純な話をしているのではなく、セックスの麻薬的な快楽に蕩けてしまい、平素のイメージから想像も付かない生身の自分を晒け出せているところに、大いなる喜びと興奮を感じるのです。肉体で交わす真実の吐露という、セックス本来の魅力を極限まで引き出している。

理性を吹き飛ばしたセックスは、品性が劣化してしまいがちなのが弱点ですけど、シスタ×シスタは絶妙な匙加減でそれを防いでいたのも偉い。決してエロオンリーの作品ではないながらシチュエーションも多岐に渡り、3P、コスプレ、アナル、髪コキ、顔コキといったアブノーマルなプレイを多く含んでいたのも賞賛される部分でしょう。

テキストのみならず、CGもクォリティは高いですし、1回の行為の中で複数枚のCGを使ってくれているのは嬉しい。オーガズムに達したときの一瞬の表情をわざわざ1枚絵で表現したり、随所に心憎いこだわりが。こだわりというと、お尻に並々ならぬこだわりを感じましたね。TOMAさんはやたらとエロティックなお尻を描かれる。臀部をアップに描いたシーンも多かったですし、これほどお尻を意識させられるエロゲもありませんでした。


愛の確認作業としてのお行儀の良いセックスだけが和姦じゃないと言うことを実証してくれたシスタ×シスタには、和姦推奨エロゲレビューサイトとして、最大級の賛辞で称えたいです。愛歌を許容できるという条件付きではありますが(そのハードルが高い)、これだけの和姦ゲーは稀ですので、多くの人口に膾炙(かいしゃ)されて欲しい1本。

最近、通常のCGにデフォルメ絵を混ぜて使う作品が増えていますが、それって私は好きじゃないんです。Fateのタイガー道場のように本編の外で使うならいいんですが、作中で突然デフォルメ絵を割り込ませるのは、なんか狙いすぎな感じがして嫌。

しかし、このシスタ×シスタに限っては、愛歌の数々の非道行為をデフォルメ絵でギャグっぽく緩和してくれていたので、非常に有用だったと言えます。もしデフォルメ絵がなければ、さすがに空気が悪くなっていたかもしれない。

シスタ×シスタ唯一のアキレス腱、それがボリューム不足…。少数ヒロインでも、少数ヒロインだからこそ、1人あたりのエッチシーン数量を増やしてくれたらなぁ。今の倍は欲しいです。

鈴音先生も良かったんですけどね。お姉さんぶる感じの可愛い先生で。だけど、もう一押し何か欲しかった。

よって、お気に入りは西園愛歌。何度も言うけど、性格は本当に悪いよ? でも、なかなか自分の思い通りにならないってのが楽しさであったりもするわけです。いろんなツンデレを見てきて、最近普通のじゃ物足りなくなってきた廃人……もとい、上級者用。
2009年4月26日