だぶる先生らいふっ
メーカー〔Alice Soft〕 発売日2007年6月29日


一汁三菜を欠かさぬもてなしの心
両親の転勤でいきなり一人暮らしをするはめになった主人公。だが、書類の手違いが連続して、主人公は本来入るはずだった男部屋から女部屋で同居することになる。そこで待っていたのはふたりの「おねえさん」だった。二人の年上女性と暮らすことになった主人公は自分の理性を必死に保とうとする。

明るく活発な夏姫――。冷静で大人びた時雨――。

主人公が新しい部屋を見つけるまでの3週間、誘惑たっぷりのドキドキ同居生活。


これはわかりやすくていいですね~! なんてわかりやすいエロゲなんでしょう! すごくわかりやすい!!

内容の複雑化で、どんどんマニアックな路線に先細っていく中、ゲームの原点を見つめ直したWiiが受け入れられているように、直感的でわかりやすく、誰にでも親しみやすいエロゲというのは、今の時代に必要。原初的なエロゲ本来の魅力を持つ「だぶる先生らいふっ」ならば、小さなお子様も一緒になって、ご家族みんなで楽しめること請け合いです。

お値段も2940円と家計に優しい。それも値段相応のチープな出来ではなく、キッチリと作り込まれているのがさすがのAliceといったところ。エロと萌えの両面が際立っていて、それを裏付ける豊富なテキスト量。夏姫と時雨の先生コンビのみならず、サブキャラの四五七と都にまで個別ルートが用意されている贅沢さで、それぞれ複数回のエッチあり。更にはハーレムルートまでも完備していて、しかも今なら特別にフルボイスまでお付けしちゃう! 何から何まで至れり尽くせりで、常識では考えられない程のお得感! これは買うっきゃないですよ~!


ですが、世の中、上手い話ばかりでもございません。一見、フルプライス作品と遜色のない豪華さを誇っているように見えても、コストカットの爪痕は確実に存在していて、本来、なくてはならないはずの鉄骨が何本も抜かれているんですよねぇ…。

致命的になりかねない鉄骨の正体こそ、CG枚数。そう、このエロゲには、圧倒的にCGの数が足りていないんです! 全体のボリュームから比べると、明らかにCG枚数だけが劣っている!

エッチシーンでは、もうCG使い回しの嵐。下着をペニスに包んで手コキするシーンなんかしつこいぐらい繰り返されるから、「それさっき見たよ…」と気分は萎え萎え。授業中、おっぱいをチラ見せして誘惑しているくせに、そのおっぱいの活躍がなかった(一応、ハーレムでパイズリありましたが)などの不備が随所に見られます。

これではまるで昔の13cm作品のよう。テキストに充分すぎるほど力を入れていても、CGの変化がないため、結果的に単調さと冗長さを感じてしまうという。だぶる先生らいふっをやっていて、そんなかつての記憶が呼び覚まされました。CGの総数が全部で39枚では、いくらなんでもお話にならないでしょう。サンプルCGで公開されていた分を差し引くと、たったの27枚! これじゃあな~。

CGが少ないと、行動範囲は限られ、イベント量が抑えられますから、結局、メインは執行部内での日常会話。Aliceさんの作品は立ち絵が動かない(フェイス画像のみ)ため、見た目ものすごく地味~になりがちで…。

ただし、その日常会話自体は面白かったのが救い。破天荒で非常識な埴御一二三と、それを囃し立てる埴御四五七の迷惑姉弟が巻き起こすトラブルの数々は、笑いどころ満載。この2人はサブキャラに捨て置くには勿体ないほど、良いキャラしていたんですよねぇ。笑いだけでなく、しっかり萌えもフォローしていましたし、そういった面での不服はほとんどございません。内容がつまらないから文句を言いたいわけじゃないのです。内容が面白かったから文句を言いたいのです! 何故、これを低価格ソフトにしたのかと!

萌えもエロも盛りだくさんで、4人も攻略キャラが存在して、ハーレムまで用意されているだぶる先生らいふっは、どう考えても、廉価版の狭いキャパシティに収まる代物じゃないのですよ。現状、低価格は作品の持つポテンシャルを抑圧する檻でしかない。もっと大きなキャパシティを与えてあげれば、一段と素晴らしい作品になっていたと確信できるからこそ、低価格が憎い。

この作品を一言で表すと、安物の懐石料理。確かに値段を考えるとあり得ない豪華さですが、こんなもん低価格で食べたいですか? 低価格なら低価格らしく、ファーストフードみたいなエロゲでいいと思うんですよね。低価格のくせに、変に高級志向だから荒さや欠点が目立つ。方向性はこのままに価格帯を上げるか、余計な要素を削ぎ落として一点集中すべきか、そのどちらかであるべきだと私は考えます。

一点集中というのは、勿論、2人の先生とのエロを強化ってことですよ。39枚のCGをこの2人のエロに全部注ぎ込んでおけば、恐らく文句は出なかったはず。以前の妻みぐいが賞賛されたのは、まさにそういう作品だったからでしょう? もし、あのゲームも余計なシナリオやキャラを増やして焦点がぼやけてしまっていたら、微妙な作品になっていたに相違ありません。そういうのはフルプライス版の妻しぼりでやればいいだけ。妻しぼりをムリヤリ2940円にして出すのは愚の骨頂なのです!! 身の程を弁えよと!

値段が懐石料理で中身はファーストフードのエロゲが溢れまくっている中、このだぶる先生らいふっはとても律儀で優等生なエロゲであるのですが、やはり「コストパフォーマンスがいい」だけでは褒めきれない。値段相応でも、ポテンシャルを100%出し切っている作品の方を好みますね。

トモセシュンサクさんの絵が最高。可愛くてセンシュアルで。今後も是非、Aliceさんの看板絵師として活躍してもらいたいものです~。

CG使い回しだの、シチュエーション不足だの不満を述べつつも、やはり、綺麗なおねーさん先生とのラブラブエッチが楽しめるのは、それだけで幸福なこと。エッチが終わった後のヒロイン側の独白(感想)が効果覿面でした。

埴御四五七(はにみしいな)。ここで2人の先生の名前じゃなくてサブキャラの名前が出てくること自体、作品としておかしかったってことですよねぇ。でも、埴御四五七は本当に良いキャラ。物腰丁寧な口調と意地悪い微笑みが堪らないです。ラストの艶やかな着物姿なんて美しすぎる。弟の埴御一二三も大好き。

だぶる先生らいふっに埴御姉弟の存在はハッキリ言って不要でした。埴御姉弟はメインに据えて別作品で独立させるべきです。つまり、2人の先生とエロエロ同居生活を送る「だぶる先生らいふっ」と、生徒会執行部でのドタバタ劇を描く「だぶる埴御らいふっ」は別作品として切り分けるのがベスト。低価格ソフトなのに、2つの作品を混ぜているから無理が出てくる。
2007年7月19日