螺旋階段
メーカー〔ソフトさ~くるクレージュ〕 発売日2006年10月28日


甘い話には乗らない
思いを寄せていたサークルの同期の娘に失恋してしまった主人公優は、1人傷心旅行へと出かけ、辺境の地のある古旅館へと辿り着く。その旅館では若い女将がたった1人で切り盛りしており、甲斐甲斐しく行き届いた接待と美味しい料理で、泊まり客をもてなしていた。そして、夜の帳が下りる頃には、信じられないようなサービスまで…。

旅館に居合わせた2人の男たちと一緒に、夜な夜な女将との淫靡な一時を楽しもうというのが、ゲームの趣旨。「2人の男たちと一緒に」って部分が気に食わないですが、クレージュさん久々の「精液ぶっかけもの」ということで、私は大変な期待感を持っていました。かつてのDISCODEシリーズで味わえた感動と興奮を、この螺旋階段で再び呼び覚ませてくれるのではないかと。最近はクレージュさんも微妙な作品が続いていて、ついつい愚痴の回数が増えてきた頃合いだっただけに、その閉塞感を打開してもらう1本としても、私のこの作品にかける思いは非常に強かったです。

ところが、自分でもびっくりするぐらい、無反応!

なんでしょうね、ちーっとも楽しくありません。ちーっとも燃えません。感動も興奮も、ちーっとも沸いてきません。

でも、ちーっともエロくなかったわけじゃないのです。エロいのはエロいんです。可愛い女将さんが自ら進んで犯されることを望み、次から次へと射精を受け入れ、全身が汁塗れになっている姿はエロエロ。……なのに、そのことにサッパリ気持ちが入らないっていうか、画面の中で起きていることに対して、「へぇ~、あ~、そう」と冷めた目でしか見られない自分。類似作品のDISCODEにはあれだけ前のめりで入れ込んでいたというのに、この冷静と情熱のあいだは一体何!?

自分なりに落ち着いて検証してみると、やはり女性視点・男性視点の違いが大きかったように思えますね。DISCODEの主人公はヒロインの鏡華自身で、彼女の視点で複数の男から犯される(ぶっかけられる)「誘い受け」の形式です。表面的には嫌がるフリをしつつ、実は内心で喜んでいる真実の吐露が詳(つまび)らかに語られているおかげで、彼女が精液を浴びたがる「理由」を窺い知ることができ、こちらも安心して楽しめました。

一方、螺旋階段ではヒロイン唯の心情は計り知ることが出来ない。彼女が何故、1人で旅館を切り盛りしているのか? 何故、ここまで過剰に尽くしてくれるのか? 何故、3人の男相手に身体を捧げようとするのか? その辺の「理由」が何1つ明らかじゃないので、素直に楽しめないのです…。事が終わった後は現金までもらえますからね。ここで「わ、お金までもらえるんだ? ラッキー!」と喜びに身を任せられるほど、私は豪放な人間じゃない。唯に対する不信感や警戒心が募り、彼女に萌えようとする自分を無意識に自制してしまいます

あと、このエロゲの中における「自分」のポジションも気に入りません。螺旋階段の登場人物の序列を考えたとき、最も上位に来るのは女将の唯。エッチは男性主導で行われても、それは彼女自身が望んだがためのものですから、これは仕方ないところ。

でも、それならば、せめて3人の男性陣の中では自分が特別な、1番の存在でありたいと思うのは普通ですよね? なのに、男性陣を実質仕切っていたのは、旅館に居合わせた関西弁の男。次は同じく旅館に居合わせた大学院生。「自分」は最も自己主張の希薄な存在で、自然と「3番目の男」のポジションに収まってしまっているんですよ~。

主人公なのに「3番目の男」じゃ納得いくわけないし、なーんにも楽しくない。目の上のたんこぶ的な2人の存在が邪魔に思えるだけで、とてもじゃないけど「3人で一緒に仲良く唯をやっちゃおうぜ!」なんて気分にはなれません。エッチの最中でも、唯より佳樹・歳三の男2人の行動の方が気になっちゃう始末。DISCODEのように男A・男B・男Cって感じのその他大勢的な扱いなら意に介さなかったでしょうけど、ここまで男性キャラに個性があって、自己主張されてしまうとキツイ。


まー、いろいろグダグダ文句を並べてしまいましたけど、これらは全部私個人の趣味嗜好の話なので、作品自体の非ではないことをお断りしておきます。これは「そういう作品」なだけであって、「そういう趣味」を持たない人がやっても、つまらないと感じるのは当然のこと。私のような狭量な人間は、手を出しちゃいけない作品だったってだけです。

元々、私は今回に限らず、クレージュさんの作品とはほとんど相容れることがありません。根本的な趣味の相違がありながら、それでもしつこく買い続けているのは、偏に汁が素晴らしいから。実際、その汁のおかげで今までいろんな不満は封殺されてきましたけど、そろそろ「汁」だけで総てを許せる段階ではなくなってきたのかも…。今回も「精液ぶっかけ」が売りになっているくせに、テキストのフェティッシュさもなければ、CGの汁描写も雑になっていて失望。昔ほど、絶対的な存在ではなくなってきました。今後は、趣味と異なるものは、ハッキリ買わずに我慢する勇気が必要ですね。

というわけで、次回作予定の「マゾ奴隷アドベンチャー」とやらはパス。次の次に期待していますよっ!

エッチのバリエーションが単調で、どのシーンも同じに見えてしまう。輪姦ってやっぱり、絵的な変化が乏しいよなぁ。回想モードを見てみたら、ほとんど代わり映えしないCGがずらっと並んでるんだもん。せめて場所や衣装で変化を付ける工夫が必要だったのでは? いつも同じ部屋で、いつも同じ浴衣姿じゃあね。

男性複数・女性単数によるプレイは、ほぼ陵辱だと相場が決まってしまっている中、こうやって和姦を保ちつつ輪姦というのは貴重だと思います。「陵辱は嫌だけど、男性複数でエッチしたい」と思っていた人には、これ以上の作品はないはず。裸足少女さんの言うところの「和輪姦」をご所望のお客さんなら、ジャストミートするのは間違いないでしょう……と、客観的な意見。

見た目すごくタイプな唯でしたが、何を考えているのかわからない不気味さゆえ、私は一歩引いてしまっていました。私は「理由」が明確にならないと、ものすごく不安になる小心者なんですよ…。だから、萌えゲーにありがちな「理由もないのにモテモテ」とか、怖すぎてダメです。
2006年12月6日