発売日 2002年3月1日
メーカー Jerry bean 

24時間君を監視してるよ
ゲームを起動するといきなり見ず知らずの女がパラパラを踊りだす恋人同棲ゲーム

本当に突然ですので戸惑いを隠せませんが、とりあえずそのウザいパラパラをクリックで消しますと、今度は前触れなく同棲生活がスタート彼女の自己紹介すら行われずにいきなりの同棲状態。でも、このまま呆気にとられていても話は進みませんので、とりあえず彼女との会話を試みてみます。

このゲーム、彼女との会話は選択肢を選んでいくようなものではなく、セリフは完全にプレイヤーに委ねられていまして、自分でキーボードを駆使してお話しなくてはならないのです。いわゆるコミュニケーション系ゲームのエロゲ版。わかりやすく例えるなら、シーマンのチャットバージョンといったところでしょうか。

あ、いえ…同列視してしまったらSEGAさんから激しい抗議が来てしまいますね。このPRIVATE ROOMのほうは会話が噛みあった例(ためし)がないぐらいのメチャクチャなコミュニケーションゲームなのですから。かのヒット作シーマンとは雲泥の差です。

では、その噛み合った例のないと言い切れる会話シーンとは一体どんなものなのか? これは真に残念ながら、私の文章力では子細に伝える事が不可能であると思われます。よって、私と彼女との一連の会話をそのまま転載する事にしました。これで、このゲームの会話コミュニケーションシステムが……いえ、彼女がどれだけ危険なものであるのか、少しは感じ取ってもらえるかと思います。

先に釈明しておきますけど、本当に彼女と交わされた会話の一部始終ですよ。一切のウソ、脚色を施していない事はここに堅く、堅く誓います。


 ~ソファーでくつろぐ二人の恋人の或る日常~

まず彼女が「私コーヒーって好き」との唐突な話題を提起。それに対して彼氏役の私は、とりあえず「例えばどんな?」とキーボードで入力。

「恋愛かな」

早くも会話が破綻
。私が「どんなコーヒーが好きなの」と訊ねたら、彼女は「恋愛」と言い出したのです。彼女なりのウケ狙いだったのでしょうか…? まだイマイチ彼女の思考が掴みきれない私は無難に「恋愛…? コーヒーの話は?」と切り返してみました。

「空きっ腹にコーヒーは良くないわよ」
微妙に噛みあってない気がしないでもありませんが、無粋なツッコミは敢えて避け「あ、ありがとう」とお礼を。

「いいえ、どういたしまして」

あ…! ここでやっと会話が繋がりました。小さな小さな喜びを噛み締めつつ、私はコーヒーの話題を続けます。

「ところでキミの好きなコーヒーはどんなの?」
「スターバックスはものすごく美味しいと思うんだけど、ちょっと高いのよね」

おおっ!! マトモなコミュニケーションが! なんだか調子がいい!

「スタバが好きなんだ」私のキーボードを叩くスピードも心なしか速くなります。

「タバコ好きはどんどん肩身が狭くなるわね」

タバコ? スタバの全店禁煙にかけての話題転換でしょうか。やや強引さは否めませんが、とりあえず気にするフリは見せずに、私は「確かに辛いだろうね」と彼女に同意を示します。

「水泳は得意よ。最近は行ってないけど、以前は近所のスポーツセンターで泳いでいたのよ」

ここらあたりから、私が幾年と築き上げてきた「常識」というものが崩れ始めてきます。だがしかし、まだ会話が始まって1分ほど。この程度でへこたれる訳にもいきません。「何メートルぐらい泳げる訳?」務めて冷静にそう返答しました。

「あなたが好きそうな映画かなって思った」
……。

「いや、映画の話ではなくて…」
「見たことあるの」

え~~~っと、どうすればいいんでしょう。この娘は。

「何を…?」
「つまり後で削る分余計に考えなきゃいけないって事ね」

彼女は別の次元へ転移したようです。これ以上、条理な返答を繰り返しても無駄であると(ようやく)悟った私はヤケクソで「そ、そうだよねー!」と返しました。

「究極の選択です。カレーとラーメンどっちが好き?」
虚心坦懐な彼女はあっさり今までの会話の流れを断ち切り、究極の選択なるものを私に持ちかけてきました。まぁ、無視するわけにもいかないのでこのまま会話を続けます。

「ラーメンかな、どちらかと言えば」
「旅先で食べるものはきっと美味しいわ」
「まぁ、そうだよね」
「一緒にいたいな」

!! ラーメンからまたもや話がぶっ飛んでしまいましたが、ようやく恋人同士っぽいセリフが!

そうです。私は彼女の恋人であるという設定なのであって、ソノ道のカウンセラーな訳ではないのです。ラブラブな展開は私の最も好むところ。嬉々としてすぐさま「そうだね」と入力。

しかし…

「そうだね? まったくなに言ってんだか…」

一瞬にして私の全身を殺意が駆け巡りました。彼女の方から「一緒にいたいな」と甘えてきたというのに、次なる言葉は一転、拒絶

さすがにこれ以上、こんな気の違った人との交際を続けていくのには限界です。私は煮えたぎる怒りを必死に押さえ込みながら、抑揚無く「…別れよう。頼むからもう出ていってくれ」と彼女へ言い放ちました。

それに対して、彼女は…

「じゃ、今度CD貸してあげるよ」


えーっと…、作ってませんよ。本当に。嘘だと思うのなら買ってください。マジで、本当に、本当に、万事この調子なんですから

これはもう、支離滅裂とか電波とかいうレベルには既に留まっていません。別の次元です。別の領域です。会話はよくキャッチボールに例えられますが、彼女はグラブを持っておらず、ただ抱えているボールを投げつけてくるだけ。こっちから球を投げてもまるで意には介さず、自らのボールをこちらへひたすらぶつけてきます。まともな神経ではやってられません。彼女と3分間会話すると不思議な事に、彼女が大嫌いになってしまいますから。

エッチシーンになれば普通の会話になるので、まだ傷は浅いんですけど…。それでも……ねぇ。

彼女の私生活は3Dフルモーションで描かれていまして、それを隠しカメラで盗撮しているかのような画面構成。3Dといってもカクカクのポリゴン野郎ではなく「ときメモ3」みたいなトゥーンレンダリング(だと思う)を採用。これは失礼ながら思ったよりも良い出来でした。何気ない動きや仕草を細部までフォローしていますので、不自然さが感じられません。トイレを掃除している時や、服を着替える時などのアニメーションは純粋に良くできているなぁと感心しました。

しかし、先進的なのはこの部分だけ。残るは哀しいほど痛くてチープな出来になってます。問題の会話システムはとりあえず横に置いておいたとしても、ウィンドウモードのみの対応(しかも画面が小さい)であるとか、本当にヘコヘコなエロアニメとか、一切鳴らないBGMとかその他諸々がとにかく安物。観察モード以外は初期のWindows95ゲームを彷彿(ほうふつ)させるようなさで、とても萎えさせてくれました。

実はこのゲームに出てくる彼女、名前がついていません。プレイヤーが任意で設定するのです。で・す・か・ら、絶対に好きな女の娘の名前を入力してはいけません。キライになっちゃいますから。

恋人との同棲生活を擬似擬似擬似擬似擬似体験できるというコンセプトは、前向きに評価したかったんですがね…。こういったシチュエーションこそ、私が最も好むものでありますので。
2002年3月3日