発売日 2002年8月30日
メーカー アボガドパワーズ 
雌豚ゲットだぜ!
ボンデージにガスマスクを着用した少女の飾るパッケージは威圧感抜群。今にして思えば、この時点既に警報アラームがけたたましく鳴り響いていたわけですが、気を留めることなく、ほんの軽い気持ちで私は手を出してしまいました。

そして、すぐに思い知らされることに。これはとんでもないものを買ってしまったと…。

いやはや、まさしくこれはドギツイの一言。言語に絶するハードなSMエロゲです。「激☆SM調教SLG」の文句に偽りなく、クォリティと敷居の極めて高い、混沌としたSMの世界が繰り広げられていました。絵に惹かれて…といった生半可な覚悟では、到底受け付けられないハードルの高さですよ。

まず私の頭を悩ませたのが、カオルコの存在。実はこのエロゲ、調教は主人公クリスと奴隷の二人だけで行われるものではありません。主人公クリスのパートナーとして、補佐役のヴァネッサ、Sの女王様カオルコの二人が付き随い、3対1の構図となっているのです。ヴァネッサはプレイに進んで口を出すような真似はしないので邪魔にならなかったのですが、一方の女王様カオルコは常にプレイに絡んできてしまう。事実上、調教はクリス、リタ、カオルコの三者で行われるカタチとなり、このカオルコのでしゃばりが調教の歯車を大きく狂わせてしまっているんですよね…。

主人公クリスは、昔マリスミゼルでヴォーカリストを務めていたアノ人を思わせる風貌で、性格はそのままの超クール。余計な無駄口を叩かずに粛々と調教を推し進めていくタイプですので、必然的にリタの調教はほとんどカオルコの意のままに行われてしまう結果に。「もっとしっかりお舐め!」やら「どうした!牝豚!」やら、彼女は越権行為と思えるほどに、主人公を差し置きやりたい放題に支配しちゃっています。そして非常に煩い。自己主張をしないクリスを余所に、調教中はほとんど彼女が怒鳴っていますから…。

進言される程度ならはありがたくも感じますけど、一緒に混ざってのプレイはご遠慮願いたいもの。せめてプレイだけは主人公自身に一任させてもらいたいですよねぇ。奴隷のリタさんもリタさんで、「あぁ~女王様ぁ…」って心酔されておられるご様子なので、カオルコとリタの二人の世界が築かれてしまう事もしばしば。これではメイン調教師であるはずの自分が所在なげになってしまいましてね。「あれ? もしかして僕、邪魔なのかな…」と。


とにかく、ゲーム開始1時間は全然面白くなかった。激☆ハードすぎるSMプレイに、喧(やかま)しくでしゃばるカオルコ。肝となるべきこの調教部分が全く馴染めなかったとあっては、私も何のためにゲームをプレイをしているのかわかったものではございません。

しかし、このPIGEON BLOOD。たったある一つのイベントによって、それら今までの悪印象が根底から覆されることに。評価を一変させたイベント、それは「品評会」。自分の育てた奴隷リタが公の場にて品評される大会です。

そもそも、リタさんを一流の奴隷に仕立て上げる理由は、商品としての価値を高めるため。品評会でその仕上がりを衆目に晒して評価を受けるのですが、このPIGEON BLOODでは、自分の調教した奴隷と他人が調教した奴隷を実際に闘わせることができるんです。

言わば、これは「モンスター」を「奴隷」に変えた非倫理的ポケモン。自分の育てた牝豚がライバルの牝豚と闘い、打ち勝っていく。予め教え込んでおいた性技を大会で披露させ、審査員の度胆を抜かせる。その爽快感、興奮。不謹慎ながら、ポケモントレーナーと心境は違わないのですよ。

勝敗を決する方法も、ただパラメータを比べ合わせるだけの単純なものではなく、「リアルタイムカードバトル」というとてもスリリングなゲーム方式。品評会が始まるまでの調教でリタに覚えさせた技(蝋燭とかフェラとか)、その名称が記されたカードを手札として持ち、カードを場に晒して技を披露。高難度の技を駆使すれば当然評価は高くなり、パフォーマンスの上昇も大きくなる。応用として、重複するカードを同時に出したり、「コンボ」という手役でボーナスを狙うことも。リアルタイムの試合なのでスピードが命ですが、あまり飛ばしすぎると体力を失って逆効果だったりしますし、自分のことばかり気を取られ、相手の出方を疎かにしていては勝利に結びつかなかったりと、本当に良くこのカードバトルは練られていました


この品評会システムのおかげで、普段行われる激☆ハードな調教も少し見方が変わってきます。何故なら、どんなに辛い調教であっても、「1ヵ月後の試合のための特訓」と置き換えることが出来るからです。

鞭で叩いたり、足蹴にしたり、ひどい言葉で虐めたりするのも、総ては来るべき品評会の為の修業! 本当はこんなこと、僕だってしたくない。だけど、好敵手(アイツ)に勝つために…!

と、脳内で勝手な誤魔化しがききますので。ゲーム全体の鬱な印象を一変させてくれた品評会というイベント、私にとってこの意義はとてつもなく大きなものでした。奴隷を育てるという事に喜びを見出させたPIGEON BLOODは、類の多い調教SMエロゲの中でも画期的な作品だといえるでしょう。

SM調教という括りの中にも、PIGEON BLOODでは奉仕・恥辱・責苦・秘所と4種類に分別した調教方針が用意されております。どれもこれも心痛な調教であったのは確かなのですが、中でも「責苦」が個人的に最も深手を負ってしまう厳しさでした。リタさんの気が触れるまで繰り返される責苦は、凄惨という言葉以外で形容ができません。純粋培養されている穢れのない私のような人間では、こんなひどい仕打ちはとてもじゃないですが正視できませんって…!

何とか私が耐え得る調教といえば、フェラチオや、胸・尻押し付けといった超ビギナークラスの奉仕系調教ぐらいなもの。でも、その奉仕系調教ですらも、レベルが上がっていけば「食糞」などという神をも恐れぬ調教が待ち受けていますからね。リタさんの口に肛門を押し付けてそのままブリブリバリバリ。そしてムシャムシャ。

……に、人間不信になりそうですよっ。

ゴシック&ロリータのセンスが光るリタさん。彼女が素晴らしかったのは、今のような境遇に陥ってしまっても悲観にくれるばかりでなく、自らの意思をしっかりと持ち続けているところ。これだけ苦しい調教の中でみせた彼女の意志の強さは、一筋の光でしたね。もし彼女が嫌々ながら、泣き叫びながらSMに必死に耐えているような少女であったのなら、私は開始10分でアンインストールしていたでしょう。

調教を享受している訳ではなくとも、自分の運命をしっかりと受け止め、調教をやり遂げようとする意志は実に美しい。その稚(いとけな)さ残る容姿に不釣合いな気高さは、私の心を強く打ちました。
2002年9月8日・10月14日