発売日 2003年11月28日
メーカー 裸足少女 

セックス&ドラッグ&バイオレンス
「こんなこと現実じゃありえない」という言葉は、エロゲを語る上で最も愚かな表現の内の1つですが、それでも最低限のリアリティは必要であるべきで、絶対に守らなくてはならない最終ラインはあるはずですよね? ところが、このおねだりSweetieはそんな最低限のリアリティすら持ち合わせておらず、超えてはいけない最終ラインも平然と踏み越えてしまっていた

登場する人物は誰も彼もが異常で、主人公の秋介君、恋人のゆずは&渚、みんな常識というネジが外れています。エッチの度にコスプレを強請して、自分本位の快感を得ようとする秋介君は、完全に恋人を風俗嬢か何かと勘違いしているにもかかわらず、当の女性側は、そんな失礼な扱いにも何故か嫌な顔ひとつしないで、主人公の自分勝手な性欲処理を快く受け入れてくれている。交わされる性行為だって、普通一般でいうセックスとは大きくかけ離れた異常なプレイ。人間味の希薄なキャラクターによる現実味の希薄なセックスと、この作品にはとことんリアリティが存在しなかったのですよ。

ここまで極端にリアリティが放棄されているのは何故かといえば、愚直なまでにエロを突き詰めた結果であったからに他なりません。持てる力総て、全身全霊をエロに傾け、あらゆる面を犠牲にしながらもおねだりSweetieはエロを特化させていました。

そう、 この作品はものすごくエロいのよ。エロエロなのよ。エロエロエロエロだったのよ!! 余計な事を一切考えず、このエロゲがただエロいのかエロくないのかだけを突き詰めたら、答えは断然エロいに決まっている!!

頼めば何でもやらせてくれて、性癖も理解してくれて、男の喜ぶことを総て熟知していて、その行為を忠実にこなしてくれる彼女なんて、そりゃ性的対象としては最高の女性でしょ!?

恍惚の表情で舐(ねぶ)りつくすフェラチオに、肉感的な身体を存分に駆使したパイズリ。それ以上のマニアックな変態的行為ですら、言われなくても自ら進んで行う積極性で、性欲処理という任務を遂行する上で必要なあらゆるテクニックとメンタリティを彼女らは兼ね備えている。

ペニスで歯磨きとかよくやるよなぁ…。フェラの際、ペニスの竿を歯ブラシに見立ててブラッシング。主人公が快感に耐えられず射精してしまったら、「歯磨き粉が出てきた~」と精液を歯に塗りたくって、再び歯磨きを開始…。これだけで脱落組がチラホラ出てきそうですけど、私は大いに認めます。ええ、認めますとも。

しかし、おねだりSweetieの真価は、こういった特殊エッチシーン以上に「淫語」であるといっても過言ではないでしょうね。下品で、素面(しらふ)では口に出来そうにないいやらしい単語を、気が触れたかのように絶叫し続けるその様には、戦慄が走りますよ~!

淫語というのは本来、数を増やしてただ羅列すれば良いというものではなく、使いどころをちゃんと見極めて、程々に扱わなければ満足な効力は得られないもの。目を瞑って10発乱射するより、狙い澄ました1発で急所に当てる方がずっと威力は高いんですが、目を瞑りながら100発一斉掃射してくるおねだりSweetieに関してはさすがに例外です。1つの文章に必ず1つは盛り込まれているペースの圧倒的物量の淫語には、どんな手練であれ降参せざるを得ませんって。いや、物量的なものだけでなく、その中身だってすごかった。「おちんちん」や「おまんこ」といったビギナー淫語のみならず、それはそれはえげつない淫語が数多く取り揃えられていましたから…。

例えば、ゆずはの「スクール水着おねだり」というエッチシーンにおけるやり取り。

 「このままじゃ、先生、ヘンタイ言葉の辞書になっちゃうよっ」
 「勃ったおペニス押し付けられるの、ヘンタイっぽくてすごく恥ずかしいんだから…」
 「勃起した秋介くんのおち○ぽで、先生のえろいおま○まんのお肉ずこずこ擦って欲しいの!!」
 「ま○こでおフェラしちゃう…」
 「学生の勃起ち○ぽで犯されて、淫乱おま○こビクビクイキまくっちゃうのぉ!」


こ、こんな感じ。これらのセリフは決して特別なものというわけではなく、全部のエロセリフが常時この調子。こんな痛々しいセリフを、情感込めて最後まで延々と叫び続けていた声優さんには、心からの敬意を表したいですよ、マジで。エロゲやってて、声優さんに励ましのお便りを書きたくなったのは初めてです。

淫語だらけのテキストは、文法的にも日本語的にもやはりおかしかったですし、リアリティを激しく損なうデメリットがありましたが、ここまで徹底され尽くした淫語テキストならば、デメリットを超越してメリットだけを評価をしたくなりますね。「淫語は多ければいいってもんじゃない」という主張を取り下げるつもりはありませんが、おねだりSweetieだけは特例として認めたい。

まぁ、これは何も淫語に限ったことではなく、あらゆるところの何もかもが規格外で例外的でしたが。キャラ萌えもない、設定もない、工夫もない、あるのは単純で直球な力任せのエロだけ。普通はこんな力任せなエロゲは空回りで終わってしまうものなのに、おねだりSweetieの常識破りのパワーが、文字通り常識を成り立たせなくてしている。まさしく、素人同然で格闘技の基礎すら出来ていないが、圧倒的な怪力で相手を捻じ伏せている、かの野獣のよう。

こういった並外れたエロさを誇る特異なエロゲの誕生は、私としても大変喜ばしい。けど、もし世の中のエロゲが、み~んなこのような暴力的な作品になられちゃうとそれはそれで大迷惑なので、あくまでこれは例外的なものとして留まってもらいたい。くれぐれも他のメーカーさんはこんなのを真似したりしないでね~。

役になりきりシチュエーションに沿ってプレイする「なりきりエッチ」。つまり、普段の自分とは違う自分を演じるわけですが、これが「そこまで本気にならなくても…」と思わざるを得ないほど、本格的な演技なんですよ。

「紐みたいな水着でお兄ちゃんを誘惑する血の繋がった妹」といった、無理難題を押し付けられても彼女は難なくこなすことができますし、喋り方や声まで状況によって変えながら、瞬時に裏設定を作り出してアドリブまで入れるというアカデミー級の名演技。コスチュームを手渡された時、「こんな恥ずかしいの着れないわ」とワンクッション入れていたくせに、いざ始まれば隙のない完璧な演技を披露する彼女の変わりようが怖い…。

演技の徹底度は秋介君も負けてはいません。普段はリードされまくりの典型的受身ショタという性格ながら、一度、アイドルを犯す悪徳プロデューサーの役になりきれば、「ひゃはは! やっぱりアイドルのパイズリは最高だぜ!」ガラリ人格豹変。怖い…。

ゆずはと渚、淫乱発情女ということでどちらにも特に違いがありませんでした。まぁ、このエロゲに好きなキャラが云々という話はあまり関係ありませんね。

この作品の登場キャラクターは、多分みんな薬物を乱用していると思います。躁鬱の激しさ、人格の変貌、性欲の促進、膨大な射精量、オマケに主人公は幻覚も見えていたし、これはもう覚醒剤でも打っていたしか考えられない…。

ゆずはも渚も、ラリッたように淫語を連呼していましたけど、冗談抜きでラリッていたのかも。
2003年12月10日