今夜のオカズはレンジdeまりね
メーカー〔RUNE〕 発売日2006年8月25日


オムニバス的
血液の代わりに精液を採取するという素敵な吸血鬼アリスと交わされるアブノーマルなエッチ。カーマ・スートラにも載っていないであろう甘美でマニアックなプレイの数々は、もはや通常のセックスが退屈なものに錯覚してしまうほど。フェチの分野にも特化しており、「ニーソックスをどこまで脱いでもらうか?」が1つのエッチシーンになっているなど、常人の理解には及ばない偏愛に満ちている。そんな常軌を逸した変質的な作品を、ラブラブバカップル風味で上手く中和(誤魔化)している今宵も召しませは、私に多大なる影響(悪影響?)を与えてくれた希代の名作であります。


今回紹介するレンジdeまりねは、そんな今宵も召しませの続編に当たるものですから、当然期待せざるを得ませんわね。本当は「今宵も召しませアリステイル」に2が出てくれるのが一番嬉しかったんですけど、赤丸さんがアリステルを描けない身体になってしまったため、正当な続編は事実上不可能。仕方ないので、新たなヒロイン鞠音に望みを託すことにします。

その涼繁鞠音(すずしげまりね)ことアマリネは魔界のプリンセス。見た目と性格は優しいおねーさん系で、公式設定によると推定年齢は24歳とのこと。エロゲのヒロインとしては、やや年増といえるでしょうか? 同じ年齢で有名な女性キャラといえばサザエさんですからね。あ、あれ、そう考えると急速に萎えて来たような…。でも、鞠音はサザエさんとは違い、時折子供っぽい愛らしさを見せたり、かと思えばベッドでは驚くほど淫靡なエロさを発揮してくれます(サザエさんにもそういう一面があるのかも知れませんが)。年上っぽくないおねーさんってのはまさに私の大好物ですから、鞠音はまさに絶好のヒロインですよ!

そんな彼女をウィステリオとの望まぬ婚約から守るため、エッチしまくって妊娠させようってのがゲームの主目的。この設定だと膣出しがメインのエロゲっぽいですが、実際はその逆。主立ったシーンをざっと羅列してみても、手コキ、足コキ、髪コキ、バイブ、オナホール、目隠し、露出、飲尿、搾乳、蝋燭といった特殊プレイのオンパレード。あと、私的には大迷惑でしたが、触手とかスライムとかスカトロとかフィストファックとかもありましたね。

この辺はさすが今宵も召しませの流れを汲んでいるだけはあるな~と思わされるところですが、同じように見えて、実は前作と微妙に方向性が違っていたりします。身体へのフェチ要素(主に脚)が強かった今宵も召しませに対し、レンジdeまりねの方はあくまでプレイの多様性に意識が向けられている感じ。コスプレエッチに力を入れられていたところも顕著な違いでしょうか。従者ワルモニの「ワルモニ時空」なる荒技でイメージプレイを行う空間へ送り込まれるので、ナース、セーラー服、体操服、裸エプロン、巫女さん、メイドさんといった衣装に扮してのエッチが多く目立ちます。

まぁ、そういうのも悪くない、コスプレエッチ自体は私も大好きなんで文句は申しにくいんですけど、その手のエロゲは他にもたくさんありますから、あまりこういう方向性は望んでいなかったな、というのが率直な気持ち。フェチ要素&SM要素といった毒気を抜いてしまったレンジdeまりねは、良くも悪くも一般的なエロゲに成り下がっちゃってるんですよ…。作品の出来が云々の前に、路線変更してしまったことへの寂しさがあります。ロックバンドがメジャーデビューをきっかけに、受け狙いのポップスバンドになってしまったようなやりきれない気持ち。

先程触れた「プレイの多様性」というのも、善し悪しなんですよね。いろんなプレイに着手している分、まとまりを欠いていて全体的に浅く広くの大味なものばかり。手軽にイメージプレイを興じられる「ワルモニ時空」は便利な設定なれど、所詮は前後の繋がりが一切ない単発エッチシーン。これじゃあ、「思いついたプレイをただ掻き集めただけの作品」と言われても仕方がないのでは…。


否定的な意見ばかりが続いてしまいましたけど、勿論レンジdeまりねにはレンジdeまりねの良いところがありますよ。まったりとした雰囲気でラブラブエッチ。憐児も鞠音も性経験ゼロからのスタートなので、1つ1つの行為に初々しさがあり、いろんなことに挑戦しながら、お互いの快楽を探求しあっていて、この関係は実に心地が好い。最初こそ恥ずかしがって大人しかった鞠音も、エッチに慣れ始めてからは一気に積極性が増してきて、才能が開花しますから!

「ふふっ……いいよ。出して……憐児くん一週間溜まった精液、思い切りだして……ッ!!」
「ううん、憐児くんの精液をかけてもらいたいの、憐児くんが気持ちよく射精するのが好きなの」
「あはっ……すごーい。憐児くんの精液の匂いでお鼻の奥までいっぱい……口の中も憐児くんの味でいっぱい(はぁと)」
「たぶん私、憐児くんのせーえきの中毒みたいになってるんだと思うの。見たくて、匂いかぎたくて、搾りたくて仕方ないの……」
(引用のセリフが偏っているのは偶然)

こんな風にエッチなセリフも躊躇いなく口にするようになり、どんなプレイでもノリよく心底楽しそうにこなすようになってきます。青山ゆかりボイスの助力もあって、その破壊力は甚大。これだけでも充分価値はありますね~。

ただ、一方の主人公憐児の方が煮え切らないというか、イマイチ乗り切れていないので、「バカップル」なムードがなかなか高まらない…。「バカップル」とは男女ともにノリノリになって初めて見えてくる境地なので、鞠音1人が頑張ってもダメなんですよねぇ。今宵も召しませで快哉を叫んだ大きな要因がこの「バカップル」だけに、その魅力に大きく見劣りするレンジdeまりねは痛恨でした。

だからというか、良い作品であることは重々認めていながらも、「今宵も召しませ」のことが頭にちらついて、ついつい批判的な言葉が止まりません。それだけ今宵も召しませが偉大だったってこと。猫舌あちさんがシナリオを手掛けてくれなきゃ、私の心の空洞は埋まりそうにないなぁ…。

絵のクォリティがバラバラ。パッケージの絵をご覧になればわかるように、原画の赤丸さんは基本的に素晴らしい絵を描かれる方なんですよ。が、その絵柄は本当に不安定で、同じ作品の中で同一人物と思えないような絵が幾つも散見されます。平面的なのっぺり顔になったり、目鼻のついている位置が変になったり、突然ロリっぽくなったり……とても1人が手掛けているとは思えない。「赤丸」って実は原画家4人の合同ペンネーム? とCLAMP的な想像をしてしまうほどです。とにかく、同じ作品の中で絵が定まっていないのは勘弁して欲しい…。

汁描写は低調。今宵も召しませの時からの課題ですが、相変わらずダメダメですねぇ。結構精液へのこだわりも見せている作品だけに、尚のこと汁描写の不甲斐なさが悲しくなる。身近に野々原幹さんという良い見本がいるというのに。

精液のみならず、破瓜の血もびっくりするほど変。どう見ても何度見ても封蝋にしか見えませんよ。初っ端でいきなりこれを見せられるとテンション激減。

当然、涼繁鞠音! ……と思わせて、フェイントで月ノ下香です。親の前でも常に下乳丸出しという気風の良さに惹かれていた上、主人公に対するナチュラルな愛情表現と誘惑にメロメロ。自ら「おねーさん」と呼んで“おねーさんぶる”のも堪んない! しかも、年下なのに! エッチシーンでも鞠音を上回るエロエロっぷりを堪能させてもらいました。月ノ下香をメインに据えてもう1本作ってください。
2006年10月19日