肉体転移  
メーカー〔Silky’s〕 発売日2003年2月28日


残間の尊い犠牲を忘れるな
毎度、特異なテーマにこだわるSilky’sさんの淫靡シリーズ最新作は、肉体転移。精神と肉体が不思議な祭器の力によって入れ替わってしまうという、老人介護や死体洗いに続いて、またもや購買意欲のそそられないテーマをぶち上げてくれました。

しかし、私はもうSilky’sさんのこんな手口には慣れています。第一印象で、「興味湧かないなぁ」と思わせられる間口の狭いテーマを用いていながらも、実際にプレイをしてみれば、その豊穣なるテキストでみるみる世界へ引きずり込まれる。単体ではエロと直結しないテーマなのに、それが巧みに活かされエロに繋がっているので、エロさで裏切られる事もない。こういった傾向が、ここ数作のSilky’sさんの作品には続いているのですから、今回の肉体転移も安牌であると信じて購入致しましたよ。


それにしても、ややこしかった。何がって、精神が目まぐるしく入れ替わるゲームの肝の「転移」がです。自分の魂が他人の身体に次々と忙(せわ)しなく転移していくこのお話には、必然的に混乱が伴ってくる。肉体チェンジは頻繁に起こり得る上、無論他のキャラクターも同様にあっちからこっちへとチェンジしていく訳ですから、幾度とシャッフルされると、今誰が誰で誰なのかわからない~。

例えば、自分は身体が○×だけど、あくまで精神は△○であって、目の前にいる相手は、見かけは×△でも、人格は×○。しかしながら、本人は○△だと名乗っている。と思いきや、突然△×に入れ替わった……。

こんな風な感じですから、なんだかとっても頭が痛くなる状況なのですよね。まだキャラクターの名前もおぼろげな序盤なんかでは辛くて…。音声をオフにしていると、今誰が喋っているのかもわかり難くなってくるから、嫌々ながら男の声をオンにしていたぐらいです。慣れてきた後半では、ちゃんとこういった「誰が誰なのやら」といった混乱も一興として楽しむ事ができるんですけど、それまでは本当に大変大変。

ただ、このゲームで上手いな~と感じさせられたのが、シナリオをマルチサイトにしていた事。このマルチサイトという形式のおかげで物語が鮮明になった。最初は、「1人のシナリオでも混乱してしまうぐらいなのに、この上マルチサイトまで絡んだら、どれだけこんがらがっちゃうんだ?」と、危ぶんでいたところもあったのですが、実際には、「誰が誰だかわかりにくい」状況を一人一人の視点で語られると、とても事態が把握しやすくなり、簡単に理解に及ぶようになったのです。

それにもう一つのマルチサイトの大きな利点として、女性キャラクターの内面を窺い知れるという恩恵もあります。異常な状況下、徐々に曝け出される本性と、それをギリギリの理性で抑え込もうとする葛藤。特に主要女性キャラの3人は、主人公に恋心を抱いているというか、ぞっこんなんで、その辺りの葛藤も非常に面白さを感じるものでした。エッチシーンでもこの利点は活かされていましたし、マルチサイトは完全に成功であったといえるでしょう。

エッチシーンは、今回もSilky’s特有のねちっこいテキストに、淫靡なシチュエーションが如何なく発揮されていて、エロさ満点。グラフィックが綺麗であるとか、雰囲気と違って和姦が多かったとか、その他にも諸々プッシュしたいポイントはありますが、とりあえず今回、絶対に褒め称えておかなくてはならないのは、何といっても汁描写ですよ。……これが凄過ぎた。

奴隷介護をプレイされた事のある方ならお解り頂けるでしょう。奴隷介護で見せてくれた秀逸な精液描写、あれがこの肉体転移で見事に再現されているんです。ウソとリアルが絶妙の匙加減で混ざった精液描写は、エロゲ屈指の表現。取分け、「掛かり方」には強いこだわりが感じられ、射精に「勢い」というものが感じられる。顔にかける時などでは、まさに「叩きつける」ように勢いよく精液が射出され、縦横無尽に飛び散った精液が、顔に「引っかかっている」。射精の最中と直後の2段階に分けたこの芸術的な描画は、しばし我を忘れてしまうほどです。うっとり。

口内射精をしたあとの、口を開けてベロの上に乗せた精液を見せるシーンのエロさも凄まじいものでしたし、あの奴隷介護の時よりも、今回の肉体転移ではより一層のこだわりが感じられました。シーンの数が飛躍的に伸びていることも見逃せません。何から何まで上回る出来。この「精液」だけを見ましても、肉体転移は価値があった作品といえますね。私の必死の熱弁が果たして何人に届くのかは知りませんけど、汁がお好きな方であるなら、この作品を購入しない手はない!

特異なテーマを抱えながら、それを上手く活かしたシナリオ。グラフィックは綺麗で、エロさも申し分なく、汁は衝撃的。不満点はというと……特に思いつかない。マブラヴとRoutesを差し置いて、先にプレイした甲斐がありましたよ、いやはや。Silky’sさんにはこの路線をずっと堅持して頂きたいものです。この調子が続くなら、私も安心。原画家ののぶとしさんも大事にしてあげて下さいね。


仲の良い男女が、まとめて外界と途絶された校舎に閉じ込められる展開は、極めてCoda的でありましたから、あれと同じく寝取られの要素も強いのかなとビビってました。

実際に、主人公とは別のもう一人の男、相馬隆人はかなりエッチシーンに絡んでくるキャラクターでありましたけど、寝取られ的な不愉快さはCodaと違ってあまり感じられなかったので一安心。理由は、彼はマルチサイトによって選択できるもう一人の主人公である為。加えて、Codaのあいつ等と比べて人間が腐っておらず、逆に、彼の視点のストーリーを体験すると、「嫌な奴っぽいけど、実はイイヤツなんだ」という一面もわかってしまうからなんです。よって、彼にはそんなにイライラさせられる事がなかったんですね。そもそも、肉体がしっちゃかめっちゃかになっている状態では、寝取られとかそういうのが良くわからない状態でしたし。

倉橋淑美。1年先輩のおねーさん。美帆に転移した主人公と一緒にシャワーを浴びて、そのあとブラの付け方を教えてくれるイベントは良かったな~。
03年3月1日