モノごころ、モノむすめ。
 
メーカー〔May-Be SOFT〕 発売日2005年11月25日


頭にそっと雀牌を…
身の回りにある家電、衣類、雑貨が可愛い女の娘に擬人化するという、へんし~んとは逆転の発想。自分が無機物や小動物に変身してイタズラを行うのもそれなりに楽しかったですが、ヒト(男)×ヒト(女)がエロの大前提だと考える私にとって、あの作品はどうしてもエッチシーンに納得がいかなかったもので…。

その点、「モノごころ、モノむすめ。」(以下モノモノ)は、一応ヒト(男)×ヒト(女)のカタチになっているので抵抗は感じません。頭に洗濯ドラムを載せていたり、ガンダムみたいな装甲をしていたり、多少見た目に癖はあるものの、あかざさんの素晴らしい絵と、巧みなキャラクター造詣のおかげで、全員普通に気に入ってしまいましたよ。

そう、今回は意外にも、シナリオの出来が良かった! 「え、これ本当にMay-Be SOFT?」と疑いを持ってしまうほどお話が面白く、登場人物も大変魅力的に描かれていまして。

おねーちゃんと妹、突然のフィアンセに加え、擬人化した様々なモノ娘たちとの1つ屋根の下ドタバタコメディ。入れ物としてはごくありふれたものだと言えますが、その中身が上質だったのです。それぞれのキャラクターの個性はとても際立っていて、突飛な行動の1つ1つが愉快で笑わせてくれました。「普通からチョットはみ出した部分がその人の個性」と登場人物の紗夕姉が口にしていましたが、言い得て妙。ちょっぴり逸脱して、それでいて暴走気味な個性が、そのキャラクターの良さとして如実に表れていましたよ。

パソコンが擬人化して生まれたアコという少女は、人間の姿形をしていながらもパソコンの性能や特性を残しており、例えば、寝るときに電源をOFFにする必要があったり、サウンドドライバの不具合で急に音声が出力されなくなったりします。ネット接続時、口に電話線を咥えている姿なんてものすごくラブリーでしたね。USBマウスはアソコに突き刺さないとならないため、マウス操作するたびに喘ぎ声が漏れるというのもバカバカしいながら良かった。

こういった擬人化ならではの特性が、各々のモノ娘たちの行動・性格に反映され、しっかりとストーリーに組み込まれているのが上手い。1人1人のモノ娘に愛が込められているなぁと実感させられるのは、エッチが終わればそのまま役目終了とばかりに元へ戻るのではなく、人間の姿のまま留まって、向塚家の一員となるところ。擬人化するキャラが増えれば増えるほど、どんどん大所帯となっていき、賑やかさが増していく。モノ娘たちがトラブルを起こして、紗夕姉が煽って、メノウが便乗して、茉莉音が激怒する……なんて楽しいやり取りが毎回起こる、とても有意義な日々なのです。


「お話の質が上がった分、エロが弱まるのでは…」という心配はもっともですが、モノモノはそんな悪しき前例には倣わず、エロもガッチリ堅持。コメディ重視の中でも、エッチシーンはキチンとメリハリを付けていますし、修正なしの淫語を効果的に多用しているエロはなかなかのレベル。半脱ぎ多めなのもグッド。当然のことながら完全和姦で、皆エッチに対して肯定的なスタンスであったのは嬉しいね。

最も感心したのは、擬人化した女の娘とのエッチシーンは序盤からふんだんに盛り込んでいながらも、人間ヒロインの茉莉音(まりね)・メノウ・紗夕(さゆ)とは、最後までエッチシーンをお預けにしていたこと。ここでキッチリ差別化させていたのは正しい判断だと思います。茉莉音・メノウ・紗夕もモノ娘たちと同様にお手軽にエッチできてしまうようでは、彼女ら「人間組」の存在意義が希薄になっちゃいますから。


「アニメーション」もこの作品における大きな試みの1つ。モノモノのアニメーションは、従来のパラパラ漫画のような原始的手法とは異なり、コンピューターの演算によって描画されたまるで3Dのような滑らかさを持つのが特色。瞬きをしたり、胸が揺れたりするだけでなく、衣服のズレ、表情の変化、髪の毛の揺らめきといった些細な部分まで総て同時にアニメーションしています。これはあの名作同人ソフト「Hard☆Love☆Life」で用いられた技術と同様のもの。2Dでありながら3Dのような表現を可能とした新機軸のアニメーションですよ。知らない人が初めて目にすれば、きっと驚くと思います。私も最初見たときはすごくびっくりしました。

ただ、モノモノのアニメーションはいくらなんでも画質が悪すぎてね…。荒くてザラザラで、如何にも圧縮しましたって感じの低画質。上記で取り上げたHard☆Love☆Lifeはもっと美しく、もっと自然で、もっとエロいアニメーションを見せていただけに、この程度では満足できない。同人よりも数段レベルが下っていうのは拙いでしょう。幸い、このアニメーションはオプションでOFFにすることも可能で、その場合は代替として普通の一枚絵が用意されますから、「邪魔」とまでは感じませんでしたけどね。


他にはこれといって気になる箇所はありませんでしたし、May-Beさんとしては驚くほど「普通によく出来た作品」でした。緊急のセキュリティホールであった「シナリオ」がようやく修正されたことで、非常にバランスの取れた良作に仕上がっていると思います。良いシナリオライターさんが1人加わるだけで、ここまで作品が機能するようになるとは。

まぁ、May-Beさんに限らず、Tech Arts系はどれもこれもシナリオの出来がひどすぎましたから…。佐野俊英さん、望月望さんといったスペシャル原画陣が力を発揮しても、シナリオライターの力不足のために全部台無し。せっかく100マイルの剛速球を投げても、キャッチャーがその球を取れなきゃ話になりません。その点、あかざさんは良い女房役に恵まれましたよ。

「モノごころ、モノむすめ。」の続編にも是非期待したいところですが、そろそろあかざさんには変身やら69やら擬人化やら変則的な作品ではなく、フツーの正統派純愛和姦エロゲをやらせて欲しいな~という思いも。まだそういうの1度も見ていないんで。

メノウのシナリオは危うく感動しそうになりました…。素直に良い話だったと思います。でも、バカゲーとも言える作品の中で、こういった真面目なシナリオは必要だったでしょうかね?

妹の向塚茉莉音。ボケ体質の人たちに囲まれて、1人ツッコミ役をこなすのは大変そうでした。そんな彼女も、恋仲になった後は人が変わったように大胆な性格となり、衆人環視の中でも「別にいいよ、見られたって……悪いことしてる訳じゃないでしょ? ふふ、見せ付けてあげようよ」と熱いキスを交わすように。この変わり様が堪らない~。

モノ娘の中から選ぶなら、枕が擬人化した夢愛(ゆあ)ですね。たおやかな性格とたおやかな巨乳を持つ麗しのおねーさんキャラ。ああ、私の愛用するテンピュール枕も擬人化してくれないかな~。さぞかし低反発なおっぱいのおねーさんが……って嫌だな、そんなの。
05年12月12日