MAID iN HEAVENSuper S  
メーカー〔PIL〕 発売日2005年3月18日


ボケをボケで返す夫婦漫才
 ~ご注意~
当レビュー内における「バカ」という表現は、悪意を含んだものではなく、総て褒め言葉として用いていますので、悪しからずご了承ください。


バカゲーとして誉れ高いあのMAID in HEAVENが、全CG刷新という大幅リメイクで再び帰ってきました。これまでずっと気になっていつつもプレイする機会に恵まれなかった名作ですから、このリメイク版Super Sの発売はまさに好機。今度こそ、私も伝説の作品をこの目で体験しておかなくちゃね。

それにしてもこれ、本当にメチャクチャな内容だ~。主人公は真昼間から巨乳なメイドさんが空から降ってこないかなんて夢想しているバカで、一方のなぎさも、大好きなお兄ちゃんのためにメイド専門学校に通い、本気で巨乳のメイドさんになったというバカ。もう甲乙付けがたいほどお互いバカなんですよ。だからこそ、実にお似合いといえるバカップルだったのですが。

ツッコミ役が誰もいないこの世界では、完全にバカの野放し状態。敢えて言うなら、ここでツッコミを入れるのはプレイヤー本人の役目でしょうけど、これだけやりたい放題しているバカを目の当たりにすれば、その意欲も失うというか、それこそバカらしくなってきますよ。バカという究極の免罪符を持つこの作品は、通常の批判がほとんど当て嵌まりそうにありません。必要であるプロセスや辻褄がない強引なエッチシーン導入でも、「まぁ、バカゲーだから…」で許されちゃいますもんねぇ。

しかし、エッチシーンにおいても構わずバカをやり続けていたのは、さすがに賛否が分かれてきそう。徹頭徹尾バカが貫き通されていたMAID in HEAVENは、エッチシーンまでもがコミカルなものに描かれていました。

まずをもって触れておかなくてはならないのは、何といってもテキスト描写の淡白さ。花火のように勢いよくバーンと1発打ち上げて終わる感じで、細々としたエッチの状況描写なんてものはないんですよ。1つの行為がたった二言三言交わされて終わってしまうこともフツーにあるぐらいで、挿入してから10クリックも満たずにフィニッシュしてしまったり。

加えて、脱力を誘うファニーな効果音の数々。ゴングの響きと共にエッチが始まり、いざ挿入すれば勇ましい象の雄叫びがあがる。そして、洪水の濁流音でフィニッシュ…。とても真面目にエロを作っているようには思えません。

こういうのを許せない真面目な人だと、この時点で即クソゲー扱いしてしまうかもしれませんね。他ならぬ私も、「バカゲーでもエッチは真面目にやれ」という持論を持っていますし、その考えが改まったわけでもないんですけど……この作品だけは少し事情が違ってくるというか。

やっぱり、バカゲーとして徹底され尽くしたMAID in HEAVENは、エッチシーンで急に真面目路線に変わってしまうより、そのままバカで突き抜けていた方が正解だったように思えます。愛撫のときも、服を脱がすときも、奉仕を命じるときも、道具を使って責めるときも、常にハイテンションで威勢のよい主人公は、見ていて大変気持ちいい。

テキストの異様な短さも、テンポの良さを重視した結果とも受け取れる。体力と精力の続く限り、様々なプレイを繰り返し行えるシステムなので、あまり1つ1つに時間を割いていてはきっと面倒臭くなっていたことでしょう。実際、エッチシーンの過激さが増した後半では、今までのおふざけがやや控え目になり、エッチ描写にも多少力が入っていましたが、私は逆にそれが邪魔に感じていましたから。まぁ、SM色が強くなってきたことで、単に自分の趣味とズレてきたという理由もありますけど、エッチシーンに力を入れることが、必ずしもこの作品の評価に結び付くものではなかったことは確かです。

よって、このMAID in HEAVENはエロそのものを楽しむ作品というより、あくまで可愛いメイドさんとの仲睦まじいやり取りを楽しむ作品であると割り切った方が賢明。「バカップルなやり取りをずっと見ていたい」「メイドさんとイチャイチャ出来れば幸せ」そんな寛容で無垢な精神を持った紳士淑女向けのバカゲーですよ。

毎日エッチばっかりやってるエロゲなのに、エロを欲求すると泣きを見るというチョット奇妙な作品ではありますが、私のようにバカップル和姦ムードだけでお腹一杯満足出来るような人であれば、絶対に楽しめるものだと思います(狭すぎ)。理屈やストーリーは一切抜きで、アクションの迫力だけを楽しむ映画があるように、このエロゲもあまり深くは考え込まず、ただ2人のバカでラブな日々を笑って楽しめるゆとりが大切。

カラー漫画のような独特の色合いと繊細なタッチ。味があって、すごく良いCGだと思います。リメイク前のCGと見比べてみると、本当に絵柄が変わりましたよね。同一人物が描いているとは思えない。

それにしても、新規CGで250枚書き下ろしはご苦労様としか言うしか。これだけ手間をかけるなら、いっそのことリメイクじゃなくて新作にしてしまえば良かったような…。セールス的にはそっちの方が良さそうなのにね。

MAID in HEAVENはSMゲーなので、SM要素はたっぷりあります。Mの素養あるなぎさを、主人公は調子に乗って叩くわ詰るわ晒すわ吊るすわ奴隷にするわと甚振(いたぶ)りまくり。

普段なら、こういう行為を大いに嫌う私ですけど、MAID in HEAVENのバカムードがSM独特のイメージの悪さを打ち消しており、嫌悪感は特にありませんでした(良かったとまではさすがに言いにくい)。演技だよ演技だよと言い訳しつつ、なぎさにどんどんひどいことしちゃう主人公と、あっさり篭絡されちゃっているなぎさの2人がラブリー。

巨乳メイドなぎさ。天然っぽいバカさ加減が最高です。ああ~、こんなメイドさんが突然空から降ってこないかな~。
05年3月24日