発売日 2003年10月10日
メーカー Jellyfish 

待ち侘びて幾星霜
延期延期延期ときたからもう延期はないなどという読みはまさに泥沼。嵌っている……すでに泥中首まで……崩壊路……! せせら笑われる……Jellyfishという魔性に……。

1年半にも渡った怒涛の延期は、なんと数えること通算10度。「今度こそは…」の信頼は、ことごとくJellyfishさんにグリグリと踏み躙られ続けてきました。

かつて、三国時代に蜀を建国した劉玄徳は、軍師諸葛孔明を得るため自らが赴き、三顧の礼で迎え入れたという有名な逸話がありますが、こっちは11回目でようやくLOVERSに出会えたわけですから、いうなら十一顧の礼ですよ。10回も孔明がいなかったらさすがの玄徳と言えどキレて孔明と出会うことはなかったはず! 即ち、玄徳より粘り強い! ならばLOVERSには孔明ばりの……いや、孔明以上の活躍が求められるってもんです!


その手応えらしきものは、理恵との初エッチで確かに感じ取れました。魅入ってしまうほど美麗なグラフィックが、極上のクォリティを保ったまま、ごく自然に、流れるようにアニメーションしている! 動くはずもない絵が目の前で動いているこの奇妙な感覚。眼を見つめ、髪を撫で、口付けを交わす一連の動作の中でも、些細な部分にまで手が行き届いていて、一瞬の小さな仕草1つ1つまで完璧にフォロー。理恵の表情1つ見ているだけでも飽きないぐらい、常識を超えた驚愕のアニメーションに、しばし我を忘れて酔い痴れてしまう

動画の技術だけが優れているわけじゃありません。計算され尽くした抜群のカメラワークに、緊張感を醸し出す「音」の演出が冴え渡っていました。静寂の中、息遣い、時計の針の音、シーツの擦れる音だけが響く空間は、その雰囲気が痛いほど伝わってきます。

手間とこだわりが凝縮された究極の初体験シーンは、さすが莫大な時間をかけて作られただけはあると感心させられましたよ。散々待たされていただけに、よっぽどのものじゃないと納得いかねーぞと睨みをきかせていましたが、これほどのレベルなら大納得! これこそが夢にまで見たLOVERS。私がずっとずっと待ち焦がれ、追い求め続けてきたLOVERS! やっぱり、Jellyfishさんの実力は本物だった!


私がLOVERSをプレイしていてピークを迎えたのはまさにこの瞬間でしたね。この初体験シーンまではホント夢心地で、「最高傑作」の可能性はクッキリと現実味を帯びていましたよ。それがまさか、この先に途方もない失望が待ち受けていたとは…。この時知る由もなかったのです。フフフ。

ぶっちゃけていうと、この初体験のシーンまででLOVERSは事実上終了。ここから後に待ち受けているのは、壮大なる蛇足。だってこの先、理恵の告白以上のイベントはありませんし、初体験以上のエッチシーンもありませんもの。ま、残りのプレイは消化試合みたいなものとでも申しましょうか。

初エッチを済ませた後も、主人公と理恵はホテルなり家なりでセックスを営みますが、そこでのシーンは初体験の時とは何もかも対照的で、質が急落した作画に目を覆いたくなる。もう理恵の顔からして全っ然違う。ここでの理恵の顔は、紛れもなくLOVE ESCALATORの頃の顔であり、長いリメイク期間で顔貌が見違えてしまったLOVERSの理恵とはまるで別人なんですよ。

LOVE ESCALATORからのまるまる使い回しなのでアニメはとても単調。 最初に高度な最新鋭アニメを見せておきながら、残りは当時の使い回しになっているとは一体どういう了見? エッチシーンは行為ごとにぶつ切りになっているため、何度も何度も同じものを繰り返し見せられてしまう

理恵が、いつまで経っても浮かない顔だったのも気に食わなかったですねー。エッチ最中のテンションはマジ低くて、ひたすら寡黙。一番白けてしまったのが、キスして、胸揉んで、69して、さぁ挿入だと意気込んだら、理恵ちゃんが突然泣き出してしまったこと。おいおい、そんなに嫌だったわけ? 彼女に泣かれてしまったら、当然これ以上求めることなんできませんし、気まずいまま散会。すごすごと家路に着く…。なんじゃそら、ですよ。


このLOVERSの失望の1つに、恋人理恵ちゃんの魅力があまり高くなかったことがあります。優しくて可愛くて健気で非の打ち所のない、ある種理想的な恋人ではあるんですが、あまりに正統派ヒロインとして規範的すぎるため、没個性のヒロインなんです。

これは理恵自身の問題というより、彼女の個性を引き出すイベントの側に問題があったといえるかも。デートイベントはほとんどグループ交際みたいなノリになっていて、2人でイチャイチャする場面が極端に乏しかった。通常パートでは、理恵と2人きりでデートが出来るようになっていましたが、公園に行けばクイズが出題、居酒屋に行けばビール早飲み、ゲームセンターに行けばねずみ叩きと、ミニゲームが主体。ラブラブなデートとはまったく趣が異なっています。

LOVERSは駄作だったのかというと、そうじゃありません。深呼吸して、冷静にもう一度LOVERSを見つめ直してみれば、やっぱりすっごくクォリティの高い作品なんですよ。何だかんだいっても、LOVERSの圧倒的なアニメーション技術は追随を許さないレベル。ただ、あれだけ前評判が高くて、散々延期を繰り返してきたことを考えると、手放しで褒め称えることも憚られる…。ここら辺の葛藤は、まだ私の中で複雑に渦巻いていて、未だに決着が見えません。

LOVERSは是か非か? この問題に今すぐに結論を出すのは、残念ながら難しそうですね。

脇役である山本のり子と大沢ひな子の両名は、エッチシーンがちゃんと新規に描き直されているため、エッチシーンの質は断然理恵より上。

のり子のベロを出しながら顔射を享受するシーン、ひな子の正常位からそのまま顔を狙って射精するシーンはなんと美しいことか。でも、こういったシーンは他ならぬ理恵に求めていたわけで、脇役にされても嬉しさ半減なんですよね…。脇役へ傾倒する情熱は、全部理恵の方に注ぎ込んで欲しかった。そもそも、何故理恵のエッチシーンが流用で、脇役が新規なのか、納得のいく説明をしてもらいたい!

まぁ……河合理恵ですよね。これといった特徴がなかったのが寂しい限りですが。敢えていうならルーズソックスを履いてたことぐらい? エロゲではルーズソックスって頑なに拒まれているっていうか、忌避されていますよね。ニーソックスはやたら多いくせに。

LOVERSはあくまでリメイク作品。全体の古臭さは否めません。理恵自身、昔のヒロインといった感じがしますし…。そのことをしっかり肝に銘じてからプレイした方がいいですよ。“新作”だと思ってプレイすると、私のようにいろいろガッカリすることもありますので。
2003年10月12日