発売日 2005年12月26日
メーカー WINTERS 

他人の妄想世界へ内政干渉
フレンチキスって軽いキスじゃなくて、ディープなキスのことなんだよ! 知ってた!?

私の浅い知識を自慢げにひけらかしたところで、今回お送りするレビューはKISS×400。久々のKISSの世界でございます。世の中、いろんな種類のエロゲがありますけど、ここのは本当に飛び抜けて特殊ですよね。私はWINTERS作品がこれで5作目なので、もうある程度耐性はついているはずなんですが、それでも毎回度肝を抜かれてしまう

度肝を抜かれるのは、お馴染みの音楽も原因の1つ。最初のタイトル画面に流れる音楽からして異様すぎる! ラウドで自己主張の激しい曲は、聴いているうちに段々動悸が激しくなって、精神が不安定な状態に…。KISS×200の頃は、何故こんな訳のわからない音楽を使っているのだろうとずっと不思議に思っていましたが、今では私も「この風変わりな音楽こそが奇妙な平井ワールドを彩るに最も相応しい」と考えが改まりました。“洗脳されました”の方が的確かな?

「平井ワールド」と一言にいっても、未経験な人にはピンと来ないでしょう。端的に言えば、シナリオライター平井次郎さんの具現された妄想世界そのものでして、己の欲望だけを一心不乱に書き殴ったような独善的な世界。今回のKISS×400も、今まで一度もキスを経験したことのない男性が、偶然に出会う女性と入れ替わり立ち替わりキスを交わすことになるというような突拍子もない話です。そこには物語の整合性など当然存在するべくもなく、真面目なのか電波なのかもわからぬ夢現

その世界にばっちりシンクロできる人ならパライゾが見えてきましょうが、無理な人には本当にサッパリ意味がわからぬまま終わってしまうでしょうね~。ちなみに私のシンクロ率はおよそ60%といったところ。KISS×200はシンクロ率が高すぎて暴走していたことを思うと、今回は残念ながらか~なり低い数値です。

KISSシリーズの根幹であるキス&フェラ&ハーレムは期待を裏切ることなく、高いクォリティで維持されていたため、エロさそのものへの不満はなかったんですけど…。特に「エロいキス」はWINTERSさんの専門分野。唾液を垂れ流しながらお互いの唇を貪りあい、舌を絡ませ耽溺しあうフレンチキスは、強烈なインパクトを持っています。しかもこのとき、女の娘の受け入れる表情、仕草が素晴らしいのよ。キスCGが今までで一番いいんです。それもこれもINOさんが原画を手掛けてくれたおかげ

でも逆に言えば、平井+INOなのにこの程度かよってね。総勢7名のヒロインたちと次から次へとキスを交わして行くという、一見、魅惑的なストーリーのように思えますが、一律のリズムでキスが繰り返されてしまっていることで、4~7人目辺りは完全に作業的な感覚。それも「歩いていると女の娘登場→キス」こればっかり。せっかく最高のキスなのに、回数を重ねるごとに価値が削ぎ落ちて行くのがもったいないなぁ…。結局私が一番興奮したのは、部室内で交わす八神笛美との最初のキスでしたもん。

かてて加えて、ところ構わずセックスを始めだす野蛮さが私は受け入れ難かった。ファミレスで、本屋で、北海道の広大な大地の中で、衆人環視でもお構いなしで、思い立ったらその場でセックスに耽るというのは如何なものかと…。キスなら堂々と往来でやってもらって構わないですが、やっぱりセックスはちゃんとお家に帰ってから致して欲しいものです。

相手が「ごく普通の常識的な女の娘」であることを認識させられた上でならまだしも、この作品のヒロインたちは「どういう人間なのか?」という描写(説明)がほとんどなされぬまま、身体の関係だけが先に立っている間柄。これだとどうしても、相手の女性を理性も羞恥心も持ち合わせていない野蛮人という目で見てしまいます。以前、KISS×200は「常識」が狂っているのに対し、KISS×300は「女性」が狂っているからダメだと私は批判しましたが、今回は「品性」が狂っている。これじゃあ、冷めてしまうね。


まぁ、こんな作品に対して揚げ足取りをするべきじゃないってことは、私も一応承知してはいますよ。KISSシリーズは平井さんの妄想世界なので、そんな個人の妄想に対して、あれがおかしい、ここはこうして欲しいと注文を付けても無駄なのは当たり前ですよね。

要するに、平井さんの妄想とシンクロできるかどうか、それだけ。KISS×400はストーリーの展開はあーだこーだとか、キャラはもっとどーのこーのとか、そんな細事(?)をイチイチ気にする人には向いていません。独善的な妄想の世界であることを理解し、「行為のエロさ」のみに目を向けられて、ついでに、野外で腕白に性交を始めても気にしない度量を持った人向け。私が受け入れられたのは60%だったってこと。

エッチシーンの総数は回想枠換算で95と相当多い。キスシーンの数を含めていたり、エッチの流れの間で分割していたりはしますけど、体感的にもやはりエッチシーンは多いなと思いました。これが今回の一番のセールスポイントであるかもしれませんね。

でも贅沢を言えば、主人公はもうチョット1回のエッチで張り切って欲しかったなぁ…と。1回出したら終わりって感じで、絶倫っぽい印象を受ける主人公の割りには結構淡白。大学の出席の点呼を行っている最中に笛美がフェラをしているシーンで、2度続けて射精するシーンがありましたが、こういった感じのをもっと設けてもらいたかったですよ! ハーレムで3人、4人を相手にするなら、3人、4人分の活躍を願いたいものです。

美しい黒髪の涼風奈津子。教室で笛美とのキスを目撃され、そのまま奈津子が加わるカタチでダブルディープキスに傾れ込むシーンは良かった。でも、もっと単独としての出番を頂戴よ。少なすぎ。

おねーさんキャラ宇遠内鏡も好きだったんですが、ネックなのは彼女の緑髪…。私って緑の髪の毛が全然ダメなんですよ。髪の毛が緑色というだけで捕捉する気が起きないぐらい。WINTERSさんの歴代の作品には、必ずといっていいほど緑髪が出てきて、それが結構魅力的なキャラである場合が多いので、いつも悔しい思い。白紅有紀とか御宿香とか。
2005年1月12日