発売日 2004年5月28日
メーカー WINTERS 

もうこの自己中な音楽じゃないと物足りない
えー、いきなり冒頭からこう言ってしまうのも何なんですが、KISS×300はあのKISS×200の境地までには達していませんでした。

KISSシリーズは共通して、「キスしまくり」という特異な世界観を持っている作品。前回から変わった部分といえば、相手が女子学生からOL&人妻になったぐらいなもので、KISS×200とKISS×300の両者には大きな差異というものは見られません。しかし、根底の部分にあるビミョ~な違いが、その明暗を分けてしまっているんですね。

明暗別つのは、キスしまくりという世界の「異常性」を司る部分。KISS×200は「常識」が狂っていたのに対し、KISS×300は「女性」そのものが狂っていた

敷衍しますと、前作KISS×200で所構わず自由にキスを振舞えたのは、僻地という世界における「狂った常識」によるもの。少女たちが毎日のようにキスを強請ってきたのも、それはその地の常識に則った行動であるわけで、少女そのものが淫蕩であることを意味してはいませんでした。

ところが、今回のKISS×300では、単に相手の女性が淫乱であるに過ぎないんですよ。ただセックス(キス)が好きで、ただセックス(キス)に狂っている痴女。そう、女性キャラが「痴女」に変わってしまっているのが最大の相違となってしまっているのです。

まぁ、やってる行為はどちらも同じなんですし、こんな些細な違いに気を煩わせる必要はないと思う人も大勢いるでしょう。単純に「痴女」が好きな人だっているんですから、どちらが良くて悪かったとは私も言いにくい。けど、KISS×200のアイディアで最も優れていたところは、やはりあの「倒錯した世界観」だと考えていただけに、その部分が損なわれてしまっていたことには、一抹の寂しさを感じてしまわざるを得なくて…。

相手が痴女であっても、対象となるのが主人公だけに限られていればまだ私も納得できましたけど、彼女らは普通に「別の男」とも身体を許しまうから…。更に不愉快さが募っていく。

自社製品を買わせるために、自分の身体を駆使した男性客へのサービス。先日、2人で濃厚なキスを交わしあったばかりの彼女が、自分の目の前でどこぞの男とディープキスをし始め、ペニスを口に頬張り、セックスしているのを見せつけられるなんて、大変な苦痛でしたよ。こんな寝取られに等しいシーン見せられては、そりゃ一気にやる気は失われていきますって。


しかしですな。いくらシチュエーション的な旨味がKISS×200の頃より減退してしまったとはいえ、KISS×300のエロさはチョットやそっとではビクともしないぐらいに堅固。1つや2つ納得のいかない部分があったところで、それで即作品の批判に繋がるものではないのです。

話が矛盾してしまいますが、もうこれだけエロけりゃ、相手が痴女だろうが、胸糞悪いシーンが混ざってようが、全然問題ないんですね! 入社試験の面接で、女子トイレの中で、衆人環視の前で、様々な場面で交わされる唾液を絡めた濃厚なディープキスのとびっきりエロさ。1年ぶりとなる平井次郎さんの電波な世界は、やっぱり堪らない魅力に溢れていました。奇妙奇天烈奇想天外摩訶不思議四捨五入の世界で吹き荒ぶ、キスキスキスキスキスの嵐。こんな至福が味わえるエロゲなんて、他にあるわけがないんですから!

挿入中もキスへと傾ける熱い情熱を途切れさせず、唇を貪りながらのセックス。お得意の複数人プレイも充実していて、今回は序盤早々にハーレムが待ち受けていたほど、複数人プレイは豊富なのが嬉しい。女社長と女性社員3名と行くキスとフェラとセックス三昧の3泊4日の研修旅行は、酒池肉林という言葉しか浮かんでこない…。

そして、極め付けなのがグラフィックの素晴らしさ…! KISS×200を上回る唯一にして最大のアドバンテージ、それはこのCGクォリティの高さですよ! まさにこれがKISS×300最大の長所と呼べるもの。今回、新たに原画に起用されたこの石恵さんの絵は、もう~、本当に素晴らしいっ。前作の岩本幸子さんの絵も私は大好きでしたけど、うっすらと漂い始めたマンネリ感を打破してもらうにも、新たな原画家の採用は急務といえる課題でした。しかし、まさかこんなにいい人が代わりにやってくるとはね。実はKISS×300って、途中で一度原画家さんが変更になっている(変更前はこんな感じの絵)んですが、この判断も大正解でしたよ。今回の功績はほとんど石恵さんおかげ。もう救世主と呼んでもいいぐらいの大活躍でした。


KISS×200とKISS×300のどちらが素晴らしいかと比較した場合、それはKISS×200であるという考えは今も変わりませんが、この素晴らしきグラフィックのおかげで、結局、満足度はどちらも変わらないぐらい高くなっている。美麗なCGに素敵なKISSの世界。これで駄作なわけがありません。

でも、だからこそ、今回の作品はKISS×200を超えられる可能性を大いに秘めていたはずなんですが…。それが果たせなかったKISS×300には、やはり惜しいという気持ちが残ります。ま、KISS×200超えの夢は次のKISS×400に持越しましょうか。今度の原画はあの十六夜の花嫁で有名なINOさんが手掛けるという話ですから、更に更に更に期待は大きく膨れ上がっている。INOさん原画のKISS×400、今から鶴首してお待ち申し上げます。

相変わらずの舐啜舌戯(しせつぜつぎ)。エッチシーンのテキスト大半は、キス&フェラによる唾液音で占められていたほど。挿入シーンが少ない分、フェラに全力が注がれているカタチになっています。

それはまぁ、別に構わないわけですが、フェラが終わって次は挿入にシフト……と匂わせておきながら、「この後4時間以上も痴態は続いた」みたいなメッセージだけで、肝心のエッチシーンをちゃんと描いてないのはひどい。こういう期待させるだけさせておいて後は放ったらかしの意地悪は止めて欲しいものです。この手の投げっ放しは他にもたくさんありましたよー。

痴女を愛せない私なので、今回のお気に入りはなし。喜多見千里さんがCVをやっていた霧川亜希乃は好きだったんだけどなぁ。彼女の艶やかな黒髪ロングヘアで射精する変態的行為が光っていました。
2004年5月31日