発売日 2012年11月22日
メーカー SILKY’S 

飲んだらやるな飲むならやるな
シナリオライターが匿名だったため、「もしや…」との期待を込めて始めましたが……どうやら土天冥海さんはまったく関係なかったようですね。数分プレイしただけで、「あ、これは違うや」と落胆させられましたから。

急逝した唐沢喜一郎の莫大な遺産を巡る骨肉の争い。その巨万の富の独占を目論む伊丹という男の腹心として館に足を踏み入れた主人公橋詰大樹。伊丹の命に従い、唐沢家4姉妹から遺産放棄の同意書を集めることに奔走しますが、大樹の真の目的は別にあった。かつて父親を自殺へと追い込んだ男への復讐。そのカタキこそ、現上司である伊丹義隆その人。大樹は従順な部下を装いながら、恨みを晴らす機会を密かにじっと伺っていたのです。

金、女、権力、あらゆる欲望が渦巻く伏魔殿において、主人公の目的が「復讐」であるという目先を変えた切り口は面白い。真意を気取られぬよう雌伏の日々を過ごしつつ、水面下で着々と計画を推し進めていくというスリル。醜悪な野心家を出し抜き、見事復讐を果たすことはできるのでしょうか?

な~んて大仰な設定で始まったストーリーなのに、このひりつくような仕掛けがちっとも活かされていなかったのが泣ける。私はもっと虚実入り乱れた世界で、権謀術数に長けたセレブたちと高度な駆け引きを楽しみたかったというのに、全然そんな雰囲気じゃないんだもん。根底から全部ぶちこわしにしてくれたのは、ずばり「媚薬」の存在ですよっ! このくだらない小道具のせいで、一気につまらないチープな物語に成り下がりました!

性欲を促進し相手を意のままに操ってしまえる便利グッズのせいで、駆け引きもくそもあったもんじゃない。ふと気付けば、「遺産? 復讐? とりあえず全員クスリ漬けにして監禁レイプすれば解決するだろ!」みたいな雑なノリになっていましたからねぇ。

媚薬は女性に飲ませるだけでなく、主人公自身も服用するため、もう盛りの付いた動物状態。心臓がドクンと高鳴って自制心を失ういつものアレですよ。「クスリのせい」という免罪符を引っ提げて、考えなしの場当たり的レイプばかりをしでかすから嫌んなっちゃう。本来陵辱を好む方々は、セレブな女たちが下賤な男に犯され屈辱に歪む瞬間とか、「堕ちる」過程を楽しみにされていたものと思いますが、そういった手の込んだ趣向は全然なかったです。

一部ファンが期待していたであろう寝取られ成分も薄め。汚い豚オヤジどもの慰み者にされる輪姦シーンは3つほどありましたが、どれもバッドエンド内での1シーンであるので、そんなに深く突っ込んだ描写ではありませんでした。シチュエーションとしてのエロさもはほとんどなかったんじゃないかと。

純愛ルートの方では、さすがにクスリ頼りのごり押しレイプ戦法は取りませんでしたけど、結局クスリを動機付けとしたエッチシーンが多くてげんなり…。私はもっと遺産争奪戦の渦中、強かな美人姉妹たちに裏取引的なものを持ちかけられて誘惑されたかったというか、「アイツを裏切るなら私の身体を好きにしていいわよ。どう?」みたいなのを期待していたんですけど!

厳密に言えば、序盤にそういうシーンがあるにはありましたが、エッチする前にゲームオーバーに追いやられたので納得いかない! 身体に目が眩んだ男が破滅一直線なのはお約束ですけど、その身体を堪能する前に破滅させられるなんてひどい! 単なる破滅損!

和姦・陵辱どちらにおいてもシチュエーション的には単純なものばかりで、なんとも半端なエロゲに収まってしまった感じ。やっぱりクスリを用いたエッチってつまんないよなぁ…。

レイプするなとは申しませんが、やるなら自分自身の意志と責任でレイプしてくれませんかね? お母さんだって、道具の力に頼ってレイプするような卑怯な子を産んだ憶えはないでしょう。ちゃんと相手と向き合って、正々堂々レイプできるまっすぐな子に育って欲しいとお母さんは望んでいるはずです!

平均年齢23.8歳・平均身長164.2cmの妖艶な美女たち。市川小紗さんの描く女性はみな色気があってたまらないですね。elf(SILKY’S)さんはこの人を逃しちゃダメだ。

そして未練になりますが、こういう作品こそ土天冥海さんのシナリオで楽しみたかった思いは強い。土天冥海さんなら、もっとヒロインを魅力的に彩り、深みのあるストーリーを構築し、終盤は目を疑うようなどんでん返しがあったに違いないなぁと。せっかく土台としてはいいものが出来上がっていただけに。

まぁ、そのぶんきっつい寝取られは不可避でしょうけど…。そこはなんとか歯を食いしばって耐えますから。

唐沢家4姉妹次女の唐沢紫衣。性格も身体もワガママな23歳ですが、実はこう見えて人一倍努力家で、男に免疫がなかったりします。基本に忠実なツンデレお嬢様かと思えば、結構アホの子だったりするのでプレイ前後で大きく印象が違ったヒロインですね~。

「……ねぇ……セックスって……男って誰もがこんなに、凄いものなの?」
「……どうですかね……人それぞれだと思いますけど……まぁ、多分俺は絶倫な方なんじゃないですかね」
「そ、そう……そうよね……貴方が標準だったら……女は色々と不利すぎるわ……」

陵辱ルートなのにこんな和気藹々なやりとり。大樹にレイプされても、紫衣の場合そんなに悲壮感漂っていなかったのが私的に良かった。大樹も心なしか紫衣に対しては優しかった気がしましたね~。

「ま、まだする気なの? あっ、ああっ、こ、この色魔!」

とぷりぷり怒りながらも、

「……んもぉ……わ、わかったわよ……」
「……ほ、本当に……こ、これが最後よ? ……あ、あと一回だけなんだから……」


結局渋々OKしてくれるところが好き(笑)
2012年11月29日