いもほり~お兄ちゃん奮戦記~  
メーカー〔TAKE OUT〕 発売日2004年3月26日

素っぴんは別の顔
恋人奈美との結婚を認めてもらうため、彼女の実家へと挨拶に向かう主人公。そこで出会った彼女の3人の妹に主人公はいきなり一目惚れされることとなり、あの手この手で誘惑されてしまうという素敵なお話。イメージとしては、年少組が誘惑してくるFloraliaといったところ。

でも、“一目惚れされて”というあらすじは実は間違っていまして、本当の動機はもっとドロドロしている。仲良さげな姉妹の間には暗い影があり、3人の妹たちによるお兄ちゃん争奪戦も、ただにやけてばかりいられるものではなかったのね。作品のイメージにそぐわないネガティブな設定は、果たして本当に必要だったのかチョット疑問符。

しかし、動機が何であれ、妹たちの積極的な誘惑はやはり楽しい。誘惑ってのは、大抵年上のおねーさんが行うものと相場が決まっていますから、年下の妹たちが行うとなると、一風変わった新鮮さがありますよ。更にこの「誘惑」の価値を高めているのは、主人公にはちゃんと心に決めた彼女が存在すること。奈美という彼女がありながら、その妹の誘惑にほいほい乗ってしまうわけにはいきませんので、彼女を一途に想い続けるか、肉欲に負けてしまうかと、常に葛藤があって面白いんです。乗るか耐えるかの選択肢があるからこそ、自制心は右に左に揺れ動く。これぞ誘惑の醍醐味。この設定は大成功だったといえるでしょう。

もう1つ私が気に入っているのは、妹たちの誘惑に耐え切ったら、それとまったく同じシチュエーションで彼女とエッチが出来るという部分。例えば、三女の恵瑠香が裸エプロンで迫ってくるシーンがありますが、ここを鉄の忍耐で乗り切れば、、その夜、奈美と裸エプロンによるエッチが可能なのです。つまり、ストレスは溜めたままではなく、ちゃんと発散出来るようになっている! いや~、彼女は良い仕事をしてくれます。妹たちに比べるとやや影の薄さを感じさせる彼女でしたけど、やはり2人きりでラブラブなときは別格ですね!

ただし、逆に妹たちの誘いに乗ってしまったとき、こちらの処遇が宜しくなかった。誘惑に負けてしまえば、勿論そのまま妹たちとの浮気エッチが待ち受けているわけですけど、その後あっけなくお母さんが乱入してきて、「あ、貴方たち何してるの!」と間髪入れずにゲームオーバーになってしまうんです。

これはつまらない。誘惑に屈して妹に手を出してしまった後の修羅場をこっちは期待しているわけで。それがこうもあっさりバッドエンドで有耶無耶にされてしまうと面白味がありませんよね~。誘惑に耐えようとする葛藤も、これではあまり意味を為さなくなってしまう。台無しとまでは申しませんが、もう少し良いやり方を考えて欲しかったのが本音。

ついでに、グラフィックに関しても苦言を述べておきましょう。いもほりは、普段の立ち絵やフェイスウィンドウのグラフィックに関しては普通に可愛らしい絵に仕上がっていたものの、一枚絵になると途端にひどくなってしまう大欠点があるのです。ハッキリいって、これは洒落や冗談では済まされないレベル。

朝の家族団欒のCGには、思わず「えっ!?」と声を上げてしまうほどでした。この平面的で薄っぺらな絵は一体何? 明らかにさっきまで会話していた人ではない、別の誰かが目の前に座っている。いつのまにか違う場所へ迷い込んでしまったのではないかと錯覚さえ憶えましたよ。いくらなんでも、これは商品レベルに達しているCGじゃないでしょ。

一枚絵がひどいってことは、当然エッチシーンのCGもヤバイってことで、お待ちかねのエッチシーンには残念ながら目も当てられないCGがチラホラと…。立ち絵と一枚絵の差がありすぎなので、相手が入れ替わってしまうような感じがしてかなりしょんぼりです。これって、もうキャラが別人というより、描いている人間が別人だよね? ありえないですよ、この違いは。

エッチな挑発に誘われて、いざエッチに持ち込んだと思いきや、いつの間にか相手が別人に摩り替わっていて、しかも示し合わせていたかのように母親が現場を押さえ、ネタを強請って金銭を騙し取られるなんて、もう完全なる美人局(金銭を取られるのは嘘ですが…)。誘惑にほいほい乗れば痛い目に遭うってのはある意味必然ですけど、こんなトラップばかりでは誘惑が全然楽しめませんって~。

土台となる設定、エッチに至るまでのシチュエーション、ここらはバッチリ私の求めてるものを見せてくれていただけに、その他の部分の脆さが痛すぎでした。もう少し手間なり予算なりをかけていれば、第2のFloraliaと呼べる作品になり得たと思うだけに惜しい。本当に惜しい。

クリア後のスタッフロールを見てみると、キャラクターデザインと原画の人が別々だったんで、これが歴然たる差異を生み出した原因? 購入前は、パッケージの絵で判断するのではなく、必ずサンプルCGを見て、自分の趣味に合うかどうかを確認しましょう。

何だかんだいっても恋人の奈美が一番。ただ、幾多の誘惑に耐え、最後まで奈美のことをひたすら想い続けた後のご褒美がショボかったので、私は少し不貞腐れています。
04年4月16日