メーカー〔WINTERS〕 発売日2003年10月4日


BGMにはもう驚かない
オーラルセックスブランドとして確固とした地位を築きつつあるWINTERSさん。ノーマルなセックスよりも、オーラルなセックスの方へ目が向かれている作風は、今回のレミィにおいても何ら変わってはいません。「お口」への偏執はとうに臨界点を越えており、もはや常人の手に及ぶ所ではないというもの。

「口付け」ではない「舌吸い」のディープキス。唾液を絡めて、相手の舌を吸い取るような濃厚なベーゼは、遍(あまね)くどんなエロゲでも目にする事は出来ないWINTERSさんの専売特許。こちらが求め、女性側も恍惚の表情を浮かべてそれを返す。しつこいまでに交わされるキスは堪らない興奮です。一つのエッチシーンとして確立したキスシーンは、既に完成された境地であるといえるでしょう。

そして、フェラチオ。淫猥な唾液音を過剰なまでにぐちゅぐちゅと高鳴らせ、煽情的な台詞を交えながら行われるこの行為も、他に類を見ないほどの逸品。これだけ凄まじい性技を、ただ「フェラチオ」という真っ当な言葉で表現するのでは物足りないぐらいですね。もっと仰々しく、舐啜舌戯(しせつぜつぎ)とでも呼んだ方が良さそう。それほどのこだわりが、このオーラルセックスに内在しているのです。

前作でも見せてくれたキス、フェラをトコトンまで煮詰めようとするその姿勢。それが今回のレミィにも脈々と受け継がれていてくれた事は、期待を持っていた者にとって非常に喜ばしいものでした。


しかし、それでは何故、このように以前と遜色のないフェティシズムが如何なく発揮されていたレミィが、KISS×200に比べて大きく点数を落としてしまっているのか。本来ならば、KISS×200と同程度の点数をつけなくてはならないはずなのに。

今回には心構えがあった分、前作のKISS×200のように度胆を抜かれるほどの驚きは感じられなかったというのも、まぁ、理由の一つではあるんですが、やっぱりこのレミィは決定的なところでKISS×200に及んでいなかったのですね。その決定的なものとは、世界観。シチュエーションに魅力が感じられなかった。

KISS×200は、「キスに魅了されたキスを知らない女生徒たち」という非常に明快、且つ、エロに直結しているテーマでしたので、話的に無理が見られず、すんなりと世界に浸れる事が出来ましたが、レミィの方はそうはいかない。

ストーリーは悪い意味で謎めいた内容で、何処から何処まで本気でギャグなのかわからない。全部真面目に語っているような気もしますし、全部ふざけているようにも思える。このエロに直結しない微妙なテーマでは世界観としては明らかにKISS×200より劣っているものであり、レミィに分がありませんでした。

そして、レミィのストーリーは選択肢がたったの一つしか用意されていなかったという信じられない大問題も。

これは悪辣でしたね…。いくらなんでもこれはないでしょう。ゲームの序盤で訪れる「レミィが本当に魔法少女であると信じるor信じない」という選択肢の他には、後にも先にも一切分かれ道は用意されておりませんで、正真正銘、分岐は唯一つこれだけ。

しかも、分岐といいましても、ここで「信じない」を選ぶとすぐにゲームオーバーで終わってしまいますので、実質は完全な一本道シナリオ。結局、プレイヤーに託された仕事はクリックを惰性に押し続けていくだけしかないんです。

作り手側としては、しち面倒臭い選択肢に意味を見出せず、必要さを感じなくなってしまったのかもしれませんが、それでデジタルコミックという短絡的な結論に至ってもらっても困る。プレイヤーがゲームに介入できるポイントを一切省かれてしまうと、何の為の「エロゲ」なのかわからなくなります。擬似的でも、錯覚でも、プレイヤーがゲームのお話に関わっていると思い込ませなくては、感情移入が非常に難しくなるのですから。

結果として、私はこのレミィはエロゲとして失敗作であったと思いました。エッチシーンのテキストはKISS×200に劣らない出来であったというのに、KISS×200程の感動は露ほども得られない。終了した後の昂揚感もなければ、感慨もない。レミィがKISS×200より前に発売されていたのなら、もっと別の印象を持って、あるいは褒め称えていた作品であるかもしれませんが、KISS×200以後ではさすがに苦しいものです。

グラフィックが低調であったのも弱り目に祟り目。いや、むしろグラフィックがパワーダウンしてしまった事が、総ての元凶のような気になってくるぐらい…。別にそれほど悪くはないと思う絵ではありますが、魅力は失礼ながら感じられない。キャラクターのデザインもかなりダサめ。精液の描写も上手とはいえませんし、この原画は今後チョット遠慮したいですなぁ。

兎にも角にも、WINTERSさんの一番の分水嶺は原画なんですよ。シナリオは平井次郎さんで一貫されて、心配はご無用な訳ですから、残ったプロブレムは原画家さんのみ。原画家さんの優劣で評価が大きく揺れ動きます。そういった意味で、原画家が物足りなかったレミィは、それだけ物足りない作品に終わってしまったと映るのです。

果たして、次のKISS×300では鬼が出るのか仏が出るのか…。

選択肢のないデジタルコミックは、個人差はあれどおよそ数時間で終わってしまうような短いもの。一回クリアしただけで、総てのCGが埋まっているというのは、なんかやりきれない気持ちになってしまいましたよ。

前回は「精液パック」があったなど、キス、フェラだけでなく汁的な配慮にも行き届いていた印象であったのですが、レミィでは際立ったものが見られなかったです。フェラの後はかかさず顔に飛ばしていますので、グラフィックの枚数的には満足でも、やっぱり弱さがありましたね。

ディクタス…ですね。まぁ、なんとなくって感じですけど。彼女はいわゆるレミィとは敵対する関係で、「地球平和」を画策するレミィから、身体を使って主人公を遠ざけようとする魔法少女。「レミィを裏切ってくれたら、代わりに私が何でもしてあげるよ」って感じの女の娘なんで、こういう悪の取引シチュエーションにこの上なくそそられる私としては、彼女がFavoriteでありました。

おっとりしていて可愛い無職の幼馴染にもチョット萌えましたけどね。「ねぇ仕事見つかった…?」なんて会話するんですよ。ヒロインが。斬新過ぎます。でも、彼女とのエッチは胃袋の中なんですよねー。なんだかなぁ。

エロテキストは現状を維持。でも、シチュエーションとキャラクターとグラフィックは下降。ゲーム性は墜落。詰まる所がこういう事。

今回のレビューでは、事あるごとに「KISS×200では…」「KISS×200だったら…」の文言がくっついてしまいましたが、それだけ前作KISS×200のインパクトが強烈であったのです。本当はレミィ単体での評価を重視しなくてはならないんですがね…。

でも、やっぱり今一度、KISS×200と比肩するような作品を待望したい。KISS×200が突然変異体であったとは思いたくない。是非、次こそは同等の、もしくはそれ以上の作品を期待したいものです。
02年10月5日