春色☆こみゅにけ~しょん♪
メーカー〔Terios〕 発売日2008年4月25日


所詮、オタクの敵はオタクだよ
私、月島春香。医師を目指して都会の学校で猛勉強中。脇目もふらず……と言いたいトコなんだけど、やっぱり私だって年頃の女の子、気になる男の子のひとりくらいはいるわ。でもそいつったらもう何考えてるのかわかんない! あんなのが女の子に人気あるなんてね。クール? 私に言わせりゃ無頓着なだけよ。あいつのマイペース加減には頭に来ちゃう。

思わず「ケータイ小説かよ!」とツッコミを入れたくなるほどひどいあらすじ。エロが冴えていた「夏色☆こみゅにけ~しょん♪」の続編だけにずっと注目していましたけど、どうも今回は毛色が違うっぽい…。途中で主人公が癌になって死んじゃう感動ストーリーになったりしないか、ものすごく不安でした。

しかし、ケータイ小説臭が漂っていたのはあらすじだけ。中身は正反対というべきエロ一辺倒で、ストーリー性を排した完全抜きゲー(ストーリー抜きのエロゲの意)仕様になっています。エロに特化した潔さは夏色の続編に相応しいとも言えるのですが、同じエロエロでも前作とは大きく性質が異なっていることを留意してもらいたい。メインヒロインと夜ごとエッチを重ねて心を通わせていく育成純愛ゲーム的な趣があった前作に対し、今回は手当たり次第に女を食っていくという非常に大雑把な作品になっていましたので…。

エロゲの主人公が理由もなくモテモテなのは毎度のことですが、この龍介という主人公のモテっぷりは尋常じゃない。いくら美丈夫とはいえ、次から次へとヒロインがフラフラ寄りついてきて、我先にと競うように股を開いてくるのは不気味すぎますよ。初対面であろうが、他の女と寝ていることを知っていようがお構いなし。とにかく、ヒロインたちは龍介に抱かれたくて抱かれたくて仕方がないらしい。

主人公は主人公で、女が自分に言い寄ってくるのは当然とばかりの態度で、来る者拒まずの精神。なので、本当にお手軽にエッチシーンが始まります。温泉宿で働く幼馴染に、女将に、自分を追ってきた彼女に、居合わせた女子大生に、リゾートホテルのお嬢様に、お付きの執事に…。取っ替え引っ替えで女を抱いて、いいご身分だこと。この軽さがエッチシーンの多さに繋がっているとはいえ、やっぱり理由も過程も全部吹き飛ばしてのセックスでは有難味が薄いです。当然、ヒロインへの思い入れも希薄。エッチの内容はほぼノーマルだっただけに、ヒロインに対する愛着がなければ、ちっともエロさを感じません。如何に横田守さんの絵が魅力的であるとはいえ、これだけじゃさすがに厳しい。

エッチシーン連発とはいっても、ボリューム自体はショボかったですしねぇ。インストールが速攻で終わったので何事かと思ったら、単純に内容がペラペラでした。夏色と比べるまでもなく、春色☆こみゅにけ~しょんは駄作。ネタにすることも出来ない普通の駄作です。何かに失敗して駄作になってしまったのではなく、完成品として駄作なのだから、これ以上手の施しようがございません。久々のTerios作品、横田作品だったのに無念でした…。


でも、この作品、見所がまったくなかったわけではなくて、槇乃のコスプレシーンだけは一見の価値あり。槇乃とは同人活動をしている典型的なオタク腐女子で、主人公にコスプレの素晴らしさを知らしめるため、自身のコスプレ姿を披露することになるんです。コスプレといっても、どうせ自社の過去作品か、有名作品のパロディ、もしくはオリジナルの衣装になるだろう……と思っていたら、なんとCLANNADの制服を着て登場したのでびっくり!! CLAN○ADとかCLAMMADとかの偽物ではなく、正真正銘本物のCLANNADの古河渚ですよ! 「だんごっだんごっ」と口ずさみながら現れたときには耐えきれず大爆笑~!

TeriosとKeyの関連性なんて全然印象なかっただけに、これは意表を突かれましたね~。際どさを争う昨今のパロディネタには辟易していましたが、こうやってちゃんと許可を得た上でやる版権ネタは新鮮な面白さがあります。それも系列ブランドではなく、まったく関係のない他作品のネタを用いるところがすごい! 横田守さんの描く古河渚も貴重だ~!

CLANNADの次は、ALICEさんのエスカレイヤーの格好でこれまた驚き。ゲームを作り込むALICEさんの姿勢を絶賛し、ちゃっかり新作ハルカの宣伝もしていました。終いにはCircusさんのD.C.IIまで。こちらは人気ヒロインである音姉の魅力を朗々と語っていましたよ~。他社のゲームをこれだけ宣伝している作品は初めてですね。Teriosさんにこんな遊び心と懐の深さがあったとは意外。

ただ、こんなにも面白い趣向を見せてくれているのに、当の主人公は冷め切っていたのが興を殺ぐこと甚だしい「俺……ゲームとかに疎くって」とせっかくのコスプレにまるで興味を示さないんですもの。元ネタ知らないのは仕方ないとしても、もっとコスプレに興味を示して話に乗っかってきてくださいよ! こいつは興味を示さないどころか、あからさまにバカにした態度で見下してくるから腹が立つ!

ホント、このKYな主人公をどうにかして欲しい…。コスプレはキャラクターの内面を表現することが大切で、そのために原作をよりよく知らなければならないという熱弁にも、「まさにアホらしい」の一言で切り捨てるような奴ですから。エスカレイヤーの出自がエロゲであることを聞けば、「エロゲーか。友達がやってるのを後ろから眺めたことならあるけどな」と自分は立ち入っていないことをアピールし、D.C.IIの音姉のキャラに対しては「リアル好きな俺としては何とも言えないが、ああいうのにときめくヤツは確かに居そうだな」と、上から目線でCircusファンを愚弄する。お前は何様のつもりだ! 帰れ!

オタクは自分より重度なオタクを見下して、自分はまともだと一段上に立ったつもりになる人が多いですけど、この龍介という主人公も根っこは同じ。エロゲの主人公がエロゲを見下すことほど滑稽な話はないでしょう。「おお、エスカレイヤーじゃん!」と食い付いてくる主人公の方が、私はよっぽど好感持てるしカッコイイと思いますよ。常人を気取って、「友達がやっているのを後ろから見た」と今時中学2年生でも恥ずかしくて言わないような逃げ口上を吐くことに、一体何の意味があるのかと!

まったく、Terios渾身のネタが炸裂したっていうのに、ノリが悪くて空気の読めない主人公1人のせいで白けちゃっいました。あ~あ。こんな主人公、さっさと癌になって死んじゃえば良かったのに

あれだけコスプレに気のない振りしていたくせに、エスカレイヤーのコスチューム着せてエッチしたがるのがまたムカつく。どっちなんだよ。

あと、メインヒロインの春香ちゃんは見た目が魅麗(ELYSION)と被るなぁと思っていたら、魅麗のコスプレ(メイド服)によるエッチシーンがありました。確信犯だったのか…。

オタク腐女子の鈍川槇乃。ノリノリで他社作品のコスプレをしていた姿には感動。エロゲ業界は狭い世界なんですから、こういったメーカー同士のコラボが活発になることはいいことですね!
2008年5月26日