発売日 2010年11月26日
メーカー elf 

おいでよ! クズの見本市
媚肉の香りのときは、寝取られ陵辱を匂わすそのあまりの禍々しさについ購入を躊躇(ためら)ってしまいまして…。発売後、周りの評判を聞き及んで慌ててプレイしてみれば、往年のelfを彷彿させる素晴らしい傑作。elf信者を自称しながら、寝取られにびびってこんな名作をスルーしかけた自分がすごく恥ずかしいです。

その反省から、新作人間デブリは何があっても必ず購入することを決意。ストーリー紹介やサンプルCGを見る限り寝取られ陵辱だらけで、大いに不安を煽られる内容でしたが、ここで怯んでしまっては、再び媚肉の香りの過ちを繰り返すだけ。あんな惨めな失態は二度と許されない! 今度こそ、私はelfのことを最後まで信じ続けるのだ!


……思いっきり裏切られましたね。いや、タイトルと宣伝通りの内容でしたので、elf的には一切何も騙してはいないのですが。それでも、これだけ人を不愉快にさせる作品も珍しい。寝取られで鬱な気分にさせられたとかそれ以前の問題で、ただただ怒りの感情が沸き上がるのみ。クリックしている最中、ずっと私のはらわたは沸騰していましたよ。もはやこの負の想念は、私自身にすら止められはしない…。

とにかく、主人公の真樹夫が紛う事なき人間のクズ!! 幼馴染で仲の良かった誠二とひかりの2人が付き合いだしたことに腹を立て、逆恨みで無視するようになっては、陰湿ないやがらせにまで及ぶ性根のねじ曲がったクズ野郎。妹を心配して話を付けようとした姉の空を監禁し、弱味を握って身体を求めるようになるなど、やっていることが何から何までクズ。挙げ句、自分の思い通りにならなきゃすぐふて腐れ、メソメソ泣き出すのですから始末に終えません。

でも、これだけ自分勝手なクズに対しても、ひかりと空は優しいんですよ。「元に戻るまで私が側にいる。ダメって言われても、そうする。」と、主人公を更正させようと必死に愛の言葉を投げかけてくれる。そんな温かい好意を反故にして、彼女たちを苦しませるクズっぷりがまたどうしようもなくムカつくんですが…。こっちはできるだけまともな選択肢を選んで抵抗しているというのに、言うこと聞かずクズのクズ行為を延々見せられるからイライラ。しかも、これだけしでかして主人公の早とちりでしたって…。クズ! クズ! クズ!

こんなクズ主人公が屋上から墜死して、誠二にひかりを寝取られたときは、逆にせいせいしましたね。と思いきや、誠二もすぐさま本性を現して結局こいつもクズ。空の婚約者である伊勢崎さんも可哀想だと同情していたのに、やっぱりこいつもクズ。もうみんなクズ! どいつもこいつもクズ! 誰も信じられない!! 次から次へと沸いてくるクズの食い物にされる園部姉妹が不憫でなりません…。仙水忍ならずとも、人間に絶望して皆殺しにしたくなる気分。これは人間不信を喚起させる黒の章か。


そんな“酷悪の極みともいえる営み”が一通り終われば、序盤に新たな選択肢が生まれ、異なる未来を歩むことが可能になります。実は、今まで行われてきた出来事には、主人公にとってもプレイヤーにとっても大いなる錯誤があったということ。救いようのないクズ野郎としか思えなかった真樹夫も、本当は被害者の1人であったのです。シナリオの前提をひっくり返す壮大なギミックには、さすが媚肉の香りの作者だと唸らされましたね。真実を取り戻した彼からは従来のクズ思考が完全に消えており、目的を同じとした空と行動を共にするように。やがて2人の間には仄かな恋愛感情が芽生え、あれだけ吹き荒んでいた陵辱の嵐から一転、穏やかな和姦ムードへとシフト。

「散々寝取られ陵辱見せといて、今更抜け抜けと和姦なんかやるな!!」と文句を言いたいのは山々ですが、私は今回空おねーちゃんに相当入れ込んでしまいましてね~。抜群のスタイルと端整な顔立ちのクールビューティーで、大人の女性としての色気を湛えたものすごく理想的なヒロインだったものですから、そんな彼女との和姦が堪能できるとなれば、今までの煮え滾る怒りもコロッと忘れて期待感が膨らむというものです。

と・こ・ろ・が、ここに至ってもまだしつこく寝取られ陵辱を見せられる…! せっかく空おねーちゃんと心が通い合い、良い雰囲気になったところで、再び谷底へ蹴り落とされるとは何たる無慈悲っ!! 命懸けでなんとか鉄骨を渡りきり、やっと賞金がもらえると歓喜していたら、また鉄骨渡りを強いられたような途方もない絶望感ですよ! 一端、気を抜いたあとの寝取られ陵辱は、脆弱な私の心を粉々に砕いてくれました。

悩ましいのは、これだけ唾棄すべきシチュエーションが揃うエロゲでありながら、エッチシーンはそれなりにエロいってこと。いえ、正直に言えばかなり…。それは市川小紗さんの描く美しい絵のおかげもありますが、その美しい絵がアフターエフェクツによってぐりぐり動くというところが何より大きいです。

elfのアニメーションは、他のブランドのそれと違い、超ハイクォリティCGのままアニメーション。前回見られなかった射精シーンもきっちりフォローされており、なんと総てのエッチシーンでアニメーションが用いられている贅沢さ。それも1回のエッチにつき1度のアニメーションといったケチ臭いものではなく、前戯や体位を変える度に、それぞれのCGが丁寧にアニメーションします! 全42種類もののアニメーションは圧巻ですよ。ちなみに、その中で私がお気に入りなのは1番目と35番目。どういうシーンかは皆様でお確かめください。


ラストは一応いい話(ご都合)っぽい終わり方で、ひかりと空の2人を独占する幸せなエッチシーンも見られましたが、全体から見ればほんの一握り。私が強く求めていた空との単独和姦シーンは、玄関でのフェラに、お風呂場での正常位、直後の後背位とたった3つしかありません。先程“総てのエッチシーンでアニメーションが用いられている”と述べましたが、玄関でのフェラはアニメーションなし! トイレで不良たちに輪姦されるときは、ご丁寧に4シーン連続でアニメーションする大盤振る舞いだったくせに、なんで数少ない和姦シーンでアニメーションしないんだー! いやがらせかぁ!!

チョット心を許したり期待したら、すぐに裏切られて辛い思いをする。いい勉強をさせてもらいました。安易に人間を信じちゃいけないってことですね。

市川小紗さんの絵は上品なタッチの繊細で美しいものでありながら、肉感的なエロさも併せ持つ。少女漫画と少年漫画のいいところ取りってイメージ。これからも大切に取り扱って欲しい原画家さんですね。

でも、1つ疑問なのは、漫符の大きな汗マークを多用する理由。市川さんのリアル調なイラストにはそぐわないと思いますし、シリアスな場面で悲惨な陵辱を受けながらギャグ漫画っぽい汗マークが浮かび上がるのは雰囲気壊しちゃうというか…。別に私は陵辱嫌いなんで、どうでも構いませんけどね~。

園部空が大好きだから、こんなエロゲでも価値を見出せましたが、彼女が好きなせいでこれだけ不快な思いをさせられたとも言える。悩ましい女性です。媚肉の香りの叶沙耶のそうでしたけど、土天冥海さんはキツめのクールな女性を描くのがとても上手い。それはツンデレという雑な味付けではなく、冷たさの中に優しさを内包させる絶妙な味わいなんですよね。最後までキャラを崩壊させないまま、こちらの印象を変えさせてくれるのが素晴らしいです。
2010年11月28日