CLEAVAGE  
メーカー〔Empress〕 発売日2005年2月18日


聖少女を活かせるのは聖少女だけか
あの名作DISCIPLINEから2年半。長い冬眠期間を経て、遂に聖少女さんが帰ってきました~! ああ、鶴首してお待ちしておりましたよ!

ただし、今回の聖少女さんは絵だけの参加。原画家としての役目に徹しており、テキストには残念ながらノータッチです。シナリオの手腕も随一である聖少女さんなだけに、「原画のみ」というのは正直もどかしい気持ち…。イチローがDHで使われているような。

で、代わりにシナリオを手掛けているのが鏡裕之さんなんですね。これは意外な組み合わせでした。鏡さんといえば、代表作MILKジャンキーに象徴されるように、巨乳へのこだわりがとてもお強い方。当然今回のCLEAVAGEも乳に特化した作品になっており……というか、やっぱりいつものMILKジャンキーに仕上がっていました。

巨乳のヒロインが2人で、尺の短い小品。意図してのことかは不明なれど、鏡さん名義の作品は常にこのパターンで共通されている。Love Split、ぷにつま、PURE MAID、全部そう。マンネリ感はさすがに出てきていましたね。それでも、胸に対するフェティッシュな描写は誰にも負けないものを持っているし、胸へ意識を植え付けた後のエッチの持って行き方は、感心させられるほど上手い。陵辱を絶対に入れないところも好感。性癖を含めて個性の強すぎる嫌いはあるけれど、私はそれを長所と捉えているので問題ありません。事実、これまで鏡さんが手掛けてきた作品には、一様に高い評価をつけていますから。

しかしそんな私でも、今回ばかりは擁護する言葉が出てこないほど、このCLEAVAGEにガッカリ…。いくらなんでもこれはないでしょ、と。

何といっても、ボリュームが薄すぎます。あっという間に終わっちゃったよ。ボリューム不足は毎度のことで、値段も通常より割安なのですから、ある程度は覚悟の上でしたけれど、2~3時間で終わるってのは物足りないどころの話じゃない。

枚数不足によるCGの使い回し。ドラマ性重視におけるエッチ数の減少。ボリューム不足を感じさせる要因は幾つかありますが、最大のネックは選択肢がたったの3つしかなかったことかと(クリアした後に再プレイすると、無意味な選択肢が増えたけど)。顔射・口射、膣出し・外出し等、プレイ最中のフィニッシュ選択すらなく、ひたすらテキストが垂れ流されているのを眺めているだけでは不満が募る一方。

ヒロインに魅力を感じにくかったのも大きな問題です。麗しい容姿と完璧なボディを持つ瑛里華。しかし、性格は極めて我侭で傲慢で高飛車。「お砂糖は入れないでって言ったでしょ! 何聞いてんのよ、この馬鹿!」といった感じで、主人公を下僕のような扱いで見下しています。

私は高慢な性格も魅力の1つであると思っていますけど、それは「愛らしさ」という前提があった上での話。彼女の場合、その「愛らしさ」の部分が欠けているから、単純に「ムカつく奴」として見られてしまう可能性が大いにあるんですよね。最初は微笑ましかった彼女の態度も、次第にウンザリしてきましたから…。

もう1人の沙夜香先生もてんでダメダメ。性格が破綻しており、自らを淫乱という彼女は、愛せる愛せない以前に人間的魅力を感じにくいキャラでした。完全に淫乱の悪い面が表出しています。

メーカーの名前がEmpress(女帝)なので、敢えてこういう2人をヒロインに据えたのでしょうけど、高慢も淫乱も度を過ぎれば、嫌悪に変わるもの。一歩間違えれば反感を買いかねない性格なのはわかっていたでしょうに、何故もっと慎重なキャラ作りを心掛けなかったのか、疑問が残りましたねぇ。

ていうか、作品自体が拙速だったような。やけに慌てて作られた印象がありましたよ…。聖少女さん起用で注目度は俄然高かったんですから、もっと本腰を入れて丁寧に作ってくれれば良かったのに。


今回の作品の主役は一体誰なのか? それは鏡さんではなく、やはり聖少女さんでしょう。MILKジャンキーよりも、DISCIPLINEのような作品を期待していた人の方が多勢であったはず。聖少女さんがシナリオを手掛けていないことは事前にわかっていたとしても、聖少女さんの持ち味を活かすようなシナリオが求められていた。私は鏡さんのシナリオは好きですが、今回ばかりは聖少女さんの良さを引き出すために、一歩引いたカタチでシナリオをお願いしたかった。鏡さんの色の強さが、CLEAVAGEでは裏目に出てしまっていたような気がします。

ドラマ性を高めたとのことで、貴重なエッチシーンが削られた。ま、それは歯を食いしばって我慢するにしても、この後半のシリアスな展開はどうなんだろう。私はフェチ作品にシリアスなドラマは絶対に合わないと思うんですがね。Waffleさんの水泳教室なんか良い例。コメディとの相性は良くても、シリアスは相性が悪すぎる。

私がこの作品で最も失望したのはこれ。他の何が悪くても、汁さえしっかりしていれば総て笑って許そうかと思っていましたが、この散々な有様ではとても恩赦は出せない。

もう、余計な前置きを一切抜きにして単刀直入に要点を言ってしまうと、顔射が1回だけじゃないか! フザケルナ! 聖少女さんを原画に使っていながら、なんたる醜態だ…! 私は悲しいよ…。

該当者なし。女帝という立場であればこそ、民衆に反感を買わないよう心を砕かないと。
05年2月19日