僕のあたらしい先生
メーカー〔Guilty〕 発売日2002年7月19日


ご年配の趣味・レオタード
思えば、宇宙帝王さんの原画で声がついたエロゲはこれがはじめて。

長年在籍し続けてきたメーカー、MEG…(ゴメン、もう名前忘れました)は音声すらつけてくれなかったお粗末なメーカーでありましたからね。宇宙帝王という一流のアタッカーを擁しながらも、それをまともにサポートする事のできなかったMEG…のスタッフ達には、こちらとしてもフラストレーションが溜まる一方であったというものです。

そんな宇宙帝王原画エロゲが、今度はGuiltyさんから発売される事となりました。経緯の程は詳(つまび)らかでないのですが、何にせよ、MEG…から離れてくれたのは喜ばしい事です。

しかし今回、目玉と思えた宇宙帝王氏の原画よりも、どちらかといえばシナリオに関しての方が自己主張が強かった。フェチにトコトンこだわっていると豪語するその異質極まるシナリオは、このままレビューで取り沙汰させぬままに終わらせるわけにも参りません。

「僕のあたらしい先生」のシナリオは、櫻木充先生の「僕の新しい先生」(フランス書院文庫刊)を原作として構成されています。そのテキストですが、これはもう官能小説という言葉に持てる固定概念そのままといった感じで、意地悪く言えば、非常にわかりやすいものでした。女教師のボディラインをネットリ舐めるように解説していく手法なんて、官能小説の味というものを強く印象付けられます。

シナリオの雰囲気的にはひたすら淫靡な官能路線で徹底され、それにアクセントとしてフェティッシュが添えられているカタチ。フェティシズムと一概に申してみましても、それこそ数多の種類があるわけなんですが、この作品で向けられた先は「着衣」に対してであり、いわゆる女性の下着やレオタードへの異常なまでの執着。本編の主人公は、それらの匂いを嗅ぎ堪能してはおもむろにマスターベーションを始めたりしますので、フェチの分別としては「匂いフェチ」となるのでしょうか。

正直、私はこういった行為への興味はゼロです。というより、これらのシーンをデモ版で目にして、一度は購入を逡巡してしまった程ですので、事実上マイナスであるといえるぐらい。でも、これ自体に批判の矛先を向ける訳ではありません。ジャンル、対象が何であれ、フェチなエロゲが増えていくという事自体は望ましい傾向ですので、逆にここまでのこだわりを持ったシナリオには、肯定したいとすら思っています(はじるすと一緒)。

それに、いくら自分の趣味嗜好が合わなかったとはいえ、テキストのエロさにおいてはやっぱりというか、さすがにといえるものでした。 とにかくテキストの語彙は広くて、修辞も抜群に上手い。状況描写を巧みに彩る文章は、決して自分がその行為に趣味に理解を示していなくとも、段々と魅入られ、取り込まれ、陥ってしまうような錯覚。エロテキストとしての優劣という観点で判断すれば、このテキストは文句なくエロかった。まぁ、プロの、しかも名も知れた方である訳なのですから、わざわざ今、私ごときが殊更驚いたり褒めたりする必要もないんでしょうけれど。

ただしかしですね。なんと言うか……確かにテキストはエロくて素敵であったんですが、どうにも釈然としない感じもありまして。

え~、こんな事を言ってしまっては作品の全否定になってしまうのかもしれませんが、やっぱりこのテキストにエロゲという挿絵は必要なかったように思えるんですよね。何故なら、妄想を助長させるような小説のレトリックに、視覚(CG)まで加えてしまうと少々クドイ感じを憶えさせられるからなんです。

小説は情景を想像で補完するからこそ、テキストは饒舌に。エロゲは情景を視覚で感じ取れるからこそ、テキストはシンプルに。これらは双方分け隔ててごちゃ混ぜにはしない方がいいのでは、と偉そうながらも思ってしまいました。エロ小説とエロゲのシナリオは似て非なるものであるってのは事実ですしね。

宇宙帝王といえば、汁。そんな幻想が脆くも崩れ去ってしまいました。宇宙帝王さんの三種の神器ともいえる「塗り・乳・汁」の内の一つが、よもや欠けてしまう事になろうとは。しかも、汁は一番重要視していた武器だったのに…。MEGA……時代では、宇宙帝王さんたった1人が孤軍奮闘の活躍をしていた格好で、いささか同情も寄せていたのですが、今にして考えれば、好き勝手出来ていた(ように思える)そちらの環境の方が、宇宙帝王作品としてのクォリティは期待できるものだったのかも。

今回(Guilty)は周りのスタッフがなまじっか優秀であっただけに、思うような口出しが出来なかったのか、それとも原作の小説が小説だけに自身のポリシーを発揮できなかったのか、汁的要素は宇宙帝王氏が依然に手掛けた作品に比べ、大きく魅力を損なっております。もはや別物といっていいほどのレベルですので、放蕩仙女なんかを期待している人は、絶対に手を出さないように。

私は、射精シーンで細やかに女性の表情を変えていく、宇宙帝王さんの美学に感服仕切りであったのですが、今回その技も目にする事は出来ませんでした。もうこの時点で、私の評価が大きく数値を下げたといっても良いです。

パッケージの帯に明記されていたフェチキーワードの中に「汁フェチ」という単語があったけど、どうもこの汁は「精液」を指してはいないみたい。シーン数の少なさも然る事ながら、絵的な表現においても雲泥の差でしたので、「この汁は本当に宇宙帝王氏が描いたの?」と疑いたくもなります。

汁がダメならもう帝王じゃない。私の中では宇宙市長あたりに格下げられました。

主要女性キャラ3名の属性内訳が、Sの美智子(先生)・Mの沙奈(同級生)・同じくMの美保(義妹)となっていまして、攻略するキャラクターによって、主人公の属性も倣うカタチとなります。

つまり、沙奈・美保とのエッチシーンでは主人公はS側にまわるという事になってくるのですが、彼はSを演ずるのにあまり向いてはいないようです。サディスティックな一面は見せてもあまり突っ込んだ描写はなく、S的言動の中でも、どこかM的な側面を感じさせられてしまう程の不完全さ。即ち、主人公の基本的な属性はどうもMっぽいのです。

それを証明するかのように、一方の美智子先生相手の完全Mサイドへとまわると、彼の本領は如何なく発揮。叱られたい。玩具にされたい。罵られたい。椅子になりたい。M的願望は留まる所を知らず。プレイも言葉責めに顔面着座など、グラマラスな女教師美智子に終始翻弄されるカタチです。私が今まで体験したエロゲの中で、最もマゾヒスティックな内容のエロゲでした。

あと、このSMを派生させた感じでのサフィズム的要素も強く、S属性の美智子とM側に位置する沙奈・美保との絡みのシーンは多かった。そう、「おねぇさま」と呼ぶ例のアレです。

その勇名はGuilty作品をプレイした事がない私にも轟いていた「オナニーボイスCD」。このようなディスクがソフトに同梱されている以上、本編においても淫語は安心であろうと思っておりましたが、見事にその期待には応えてくれたようです。

淫語を発する台詞の量は多く、種類も充実。ピー音消しにおいても「オマ×コ」の×部分しか消さない単音消しで、非常に優秀なものでした。淫語に関してはいささかの問題もございません。

……しかし。やっぱりというか、つい先日にプレイした実姉妹の後遺症で、この作品の淫語にエロさをあまり感じなくなってしまっていました。せっかくの素晴らしいエロ台詞の応酬であったというのに、実姉妹の無修正という反則技の後に聞いてしまっては歓びも半減。実姉妹の行き過ぎた淫語で、「その後に余計な耐性がついてしまうのではないか」という懸念が、遂に症状として身に表れてしまう結果に。

あ、それでもオナニーボイスの方には新鮮な驚きがありましたね。収録されていたCDドラマで、声優さんが迫真の演技を見せてくれていましたし、効果音なんかも驚くほどにリアル。これは力作ですよ。さすが名を馳せている「オナニーボイスCD」だけの事はあります。勿論、これにはNGワードにキッチリ修正が掛かっている訳ですが、実姉妹の卑語ディスクとはまた違った別の良さがありました。これを初回にしかつけないとは勿体無い話ですな。

誰も彼もが変態で、アクの強いキャラクターばかり。その中で私のお気に入りのキャラクターであったのは……学園のアイドル・堂島沙奈(露出狂)です。

彼女は、主人公が反発心で美智子へのレイプを企てた折、その計画が失敗する事のないようにと「自分の身体を使ってレイプの練習をしてくれ」と申し出る健気な少女。そして、その提案を了承する事にした主人公は、日時を改めて沙奈を強姦する事になるのですが、その時沙奈はターゲットの美智子を意識して、わざわざ似合いもしない「女教師ルック」に扮して主人公の練習相手になろうとする張り切り振り。

このように学園のアイドル・堂島沙奈(露出狂)は、とてもとてもいじらしい少女なのです。
2002年7月20日