発売日 2004年12月3日
メーカー Sirius 
ストーリー良ければエロが落ちる業界の不文律
お話とエロの両立の難しさを考えさせられますね。

エロゲは大別すると、ストーリーが良いもの、エロが良いものに二分されるもの。それに対応するため、当サイトでは赤レビュー青レビューと、わざわざ区分して紹介しているぐらいなのですが、やはり理想としては、お話とエロの「どちらかが良いもの」ではなく、「どちらも良いもの」なのです。

でも、その両立が果たされている作品なんてほんの一握りですし、「和姦で」という条件を付け加えれば、更に範囲は狭まる。そんな中、このSiriusさんは、お話とエロと和姦の期待が出来る希少なメーカー。過去二作の「One and Only」と「まいにち好きして」においては、和姦エロメインの作品でありつつ、シナリオ面でも優秀さを見せてくれていましたから。

そして、今回の「魔法はあめいろ?」には、シナリオ面で更なる磨きが見て取れる。ミヤスリサさんの描く、POPでCUTEでMOEなキャラクターの雰囲気そのままに、ひよこ、環、花苗の個性豊かな3人組が織り成す、明るく楽しい良質な学園純愛モノ。

特徴的だったのは、“女の娘同士の友情”といった部分に目が向けられていたところです。普通のエロゲでは、大抵、会話は主人公とヒロインだけで進行し、2人の世界に終始するものですが、魔法はあめいろ?では、仲良しグループの輪の中に主人公(先生)が加わるといった図式になっていて、女の娘同士の仲睦まじいやりとりを見守るといった感じなのね。若さ溢れる女子高生たちが、姦しくきゃあきゃあ騒いでいる姿を前にすると、なんだか急に自分が年老いたような感覚に襲われますが、それもまたリアルな感覚。

展開が純愛へと移行しても、余りの女の娘がフェードアウトすることもなく、常に3人組の友情が裏にあります。学園モノは男女の恋愛だけでなく、こういった同性の友情も大切なファクターですから、その点を重視していたシナリオにはとても好感が持てましたね~。


ともあれ、下地は出来上がっていたといっていいでしょう。萌えゲーとしての土台は完璧で、後はここにSirius自慢のエッチシーンを付け足せば無事完成……のはずだったのが、そのエロが大幅ダウンしている有様だったのよねぇ。

最初、甘宮ひよこをクリアして、「うわ、エロ薄いなぁ…。メインヒロインだからってエロを抑えたのかな~」なんて思っていましたけど、残るサブキャラはそれ以上にエロが薄かった。花苗と恵美(キクエ)なんてエッチは1回だけ…。ホントにもう……大ショックですよ。

確かに、他の純愛系作品と比べたら、これでも充分なエロさがあるといえる。花苗と恵美はエッチ1回だけだったとはいえ、それぞれ4連発(正常位→フェラ→騎乗位→精液掻き出し→側位)と2連発(手コキ→パイズリ→後背位)という豪華なものでしたし、最後にはハーレムルートまで用意されていましたから、最低限の意地は見せていた。

でもね、私はOne and Onlyとまいにち好きしてを経験し、それを基準としてSiriusさんの作品に臨んでおりますので、この程度のエロでは満足しかねるのですよ。汁も減っているし(憤慨)。今まで保たれていたレベルが突然落ちてしまえば、そりゃあ期待ハズレってもんでしょう。まいにち好きしてと同程度のエロがあれば、この魔法はあめいろ?は紛れもない傑作として素直に称えていたはずなのに…。


エロがここまで期待ハズレでは先述褒めたばかりのストーリーも、前言撤回したくなってくる。

だって、教育実習の先生の立場としては行動が軽率だし、年上とは思えぬ狭量さ、子供っぽさに辟易。恋人関係に至るまでの動機付けも不明瞭で、何故こんなにも主人公は好かれているのかが見えてこない(単にルックスがいいから?)。等々、ツッコミを入れようとすると、いくらでも粗は出てきます。

先程は、あくまで「エロがしっかりしている」という前提の上で褒めていたのであって、エロが大したことないと判ればこんなもの看過しませんよ。最初から純愛一本で勝負している作品なら、この程度の作品、他にいくらでもありますしね。萌えゲーでありつつ、エロもすごいというのが、Sirius作品のアイデンティティであったはずで、肝心のエロがイマイチとあっては、そこらの萌えゲーと見分けが付きません

萌え系の可愛い絵柄でありながら、身体の描写はやけにいやらしくて、そのアンバランスさにそそられる。癖のあったミヤスリサさんの絵が、ここまで洗練されたものになるとは少し意外でした。今や立派なお気に入りの絵師の1人ですよ。でも、汁の量だけは元に戻して頂戴ね。

甘宮ひよこ。明るい性格は天性ではなく、自己欺瞞のディフェンス。可愛らしさといじらしさの両面で惹きつけられるキャラクターでした。主人公も、つまらないことで1人勝手に勘違いして、彼女を悲しませたりしないでよね。
2004年12月6日