エロゲにおける男キャラ
ToHeart2 DX PLUS

どうも初めまして。「なでしこやまと」というレビューサイトを運営している浅生大和(あそうやまと)と申します。静流さんとは以前より親交があり、秋にオフ会に参加して頂いた縁もあって、この度コラムを寄稿させて頂くことになりました。私如きが何を語ればいいのか大いに悩みましたが、とりあえず、他の方々があまり言及されないところ、「エロゲにおける男キャラ」について論じていきたいと思います。

エロゲの価値を左右するものとして、ヒロインの魅力の有無は大きな要因です。取り分け、萌えゲーと呼ばれるジャンルではそれこそが眼目であり、ヒロインが萌えるか萌えないかは、作品の評価に直結してきます。

でも、敢えていうのなら、エロゲのヒロインなんて可愛くて当たり前ですよ! そうできているんですもの。見た目すごく可愛くて、性格すごく良くて、服もすごく脱ぐ。何の不服がございましょうか。仮にどうしても気に食わないヒロインが混じっていたとしても、その娘だけスルーしておけば大した害になり得ません。多くの作品では、複数のヒロインが用意されていて、プレイヤーに自由な取捨選択が許されているのですから。

その点、主人公は代替の利かない存在。プレイヤーに最も身近な主人公がムカツクようでは感情移入の面でも難しいですし、そんな男に懸想するヒロインに対しても嫌悪感を抱きかねない。そういう意味では、ヒロインよりも主人公の方がずーっと重要な存在なのです。

エロゲのヒロインが最高の女性である以上、そのお相手となる主人公も当然最高の男性……とまでは言わなくても、まぁそれなりに釣り合う人物であって欲しいところ。

しかし、実際に釣り合いが取れるほど魅力ある主人公は、ほんの一握り。中肉中背でルックスそれなり、学力そこそこ、スポーツはせず、友達少ない、過去に恋人なし。こんな風に取り柄を何も持たないような、没個性な人ばかりなのが残念です。

「多くのプレイヤーに感情移入させやすくするため、敢えて没個性にしているのだ」という弁はわかります。納得はしませんけど、受け入れます。でも、ならばせめて、恋に対する積極性ぐらいは見せて頂けないものでしょうか? 取り柄も何もない主人公が、分不相応な可愛い彼女と結ばれたいと思うなら行動しかないでしょう! 満足に告白が出来ない、デートにも誘えない、話題を振ることもままならない、好きか嫌いかすらハッキリ示せない…。会話、キス、デート、告白、エッチを、全部女の娘が世話して手引きしてお膳立てしてあげなきゃダメだなんて、男としてどうなんですかね~。斜に構えて、やたらと上から目線で発言する割に、こういうところで甲斐性を見せませんから余計情けなく感じてしまいますよ。

そもそも、これだけ不条理に主人公がモテモテなのは、周りに候補がいない所為ですよね。他に選択肢がないからこそ、ヒロインは主人公に擦り寄らざるを得ませんし、主人公も受け身で余裕ぶっていられる。主人公以外の男キャラが、最初から恋愛対象に入らないような人ばかりであるのが問題。To Heart2(Leaf)の向坂雄二なんて、明らかに主人公の河野貴明よりモテる要素を兼ね備えているイケメンだったのに、何故か、まったくモテないピエロ扱いだったのが個人的に納得いかないところでした…。

主人公がもっと必死になれるよう、自分から「付き合ってくれ!」と言えるように煽るためにも、対立候補としてライバルの擁立が必要であると私は思います。主人公とヒロインの2人だけの視点で綴られる平面的な恋愛劇は、第3者の存在が加わることで初めて奥行きが生まれるもの。ボクとキミの狭い世界で終始するのではなく、もっと広い視野で綴られる恋愛劇を望みたい。可愛い女の娘がいれば、普通自分以外の男だって放って置かないものですし、それが相対的に彼女の魅力を裏付ける証明にもなるでしょう。周りに男が全然いなくて、話しかける相手が主人公1人だけという“学園のアイドル”など虚仮以外の何者でもありませんから。

ただ、ライバルキャラの存在は、最悪寝取られに発展してしまう危険性が往々にしてありますので、それで皆さんは否定的になるのかも知れませんね…。斯く言う私自身、寝取られには絶対反対のスタンス。

昔、Portrait(TESLA)というちょっぴりマイナーな作品があったんですけど、それには友人(塙東一)と1人の女性(二ノ宮杏子)を巡って三角関係に陥るシナリオがありました。対抗心と嫉妬心を燃やし、本気になって友人と奪い合う熾烈な展開で、今でもものすごく印象に残っている秀逸なシナリオです。でも、それは結局、友人に寝取られてしまう結末もありまして…。こうなってくると、やっぱり作品の方向性が異なってしまうなと思います。ライバルキャラは必要でも、一線を越えてしまう寝取られは断固NGですね。

話をまとめますと、まず主人公はカッコイイ人物であって欲しい。そうでなければ、積極的にアプローチして欲しい。そのためには、ライバルとなりうるキャラがいて欲しい。けど、寝取られだけはマジ勘弁★ とまぁ、こんなところです。あ、先に注意書きしておくのを忘れていましたが、この文章は単なる私の願望の垂れ流しなので、悪しからず

でも、曲がりなりにもラブストーリーを標榜しているなら、もっと主人公側が恋愛に対して前向きになってもらわなきゃね。小心者でも、本当に好きな相手には勇気を出して好きだと言えるはずです。いや、言わずにはいられないはず! 手薬練引いて待つだけの恋愛は終わりにしよう! 「実は俺も好きだったんだ」は告白の言葉ではありません! そこのところ勘違いしないでください!

 

以上が、静流さんの同人誌「ゆーこーはんい」に寄稿したコラムです。自分のサイト内でなら「気に入らないならどうぞお引き取りを」的な傲慢さで好き勝手発言できますが、他人のフィールドで発言するとなると、内容にもとても気を遣いますね(気を遣ってこれかよ)。

主人公が積極的であって欲しい、ライバルとなるキャラがいて欲しいと私が願うのは、自分の中のラブストーリーの原典である「めぞん一刻」がそうだったからかも知れません。管理人さんに一途に思いを寄せる五代君に、その恋敵である三鷹さん。私はこの構図が好きなんです。

もし、あの作品に三鷹さんが登場していなければ、物語は盛り上がりに欠ける内容で、響子さんの魅力すら半減していたでしょう。言い寄る男がしがない浪人だけでは、響子さんの魅力は疑わしくなりますしね~。だからこそ、三鷹さんのような恋敵、“愛せるライバルキャラ”の存在を求めたいのです。

2007年11月23日