ユーリ!!! on ICE総括+ゲイ描写に対する私見

素晴らしすぎる…! ユーリ!!! on ICEは2016年を代表する、アニメ史に名を残す大傑作でしたね。アニメの常識を超えた超作画で、現実さながらのリアリティで描かれるフィギュアスケートの競技シーンの美しさにただただ溜息が漏れるばかり。単純に面白かったというだけでなく、「こんなアニメありえるんだ」という驚きが一番の感想です。

実は最初、このアニメは全然ノーマークだったんです。11月の東京オフ会ですごく面白いよと薦めてもらって、その場で試しに第1話の動画を見てみたら一発で引き込まれまして! ぐりぐりと優麗に動きまくる長尺のフィギュアシーンに衝撃! しかもこれ、手描きってマジ!? ドリフェス!なんて3Dでありながら、あんなにモーションカクカクでカメラも動かないのに!!

そのあとdアニメストアで一気に6話まで視聴して、放送に追いつきました(大阪に帰る新幹線の中で見ていた)。この超絶フィギュアシーンは、第1話だけのスペシャルな出来事ではなかったという事実が恐ろしいですよ。毎週毎週こんな高クォリティのフィギュアシーンが何本も盛り込まれているなんて、ちょっと意味がわかんない。普通に考えたら、アニメーターは全員屍になっていると思うんですが、一体どういった工夫で負担軽減しているのやら…。最後までこのクォリティが落ちることなく完走したその偉業に敬意を表したい!

大体、こんなフィギュアシーンなんて、特定の主要キャラだけやって、他の脇役は静止画ダイジェストで適当に済ませておくのが普通でしょー? それなのに、ユーリ!!! on ICEは話に大きく絡んでこない脇役でも、メインと何ら遜色ないクォリティで、しっかりパフォーマンスの一部始終を描いてくれている。この一事だけでも異例中の異例ですよ。おかげで、ユーリ!!! on ICEは登場する人物総てが主役に感じられるという、奇跡のアニメに仕上がっていましたから!

フィギュアスケーターにはまともな人間がいないのかとツッコミたくなるほど濃ゆい面子ばかりで、ホモ・ストーカー・シスコン・ナルシストなど、様々な愛のカタチが繚乱(笑) 1人1人子細にサイドストーリーが描かれたわけじゃなくても、氷上で表現するスケーティングから、彼らのバックボーンがしっかり見えてくるのよね。みんな最高に魅力的なキャラですから、視聴者それぞれに異なる推しキャラがあったと思います。

というわけで、ここで突然ですが、個人的に好きなキャラランキング発表!!(女子抜き)

1,ジャン・ジャック・ルロワ(カナダ)
2,ギオルギー・ポポーヴィッチ(ロシア)
3,勝生勇利(日本)
4,ミケーレ・クリスピーノ(イタリア)
5,ヴィクトル・ニキフォロフ(ロシア)
6,クリストフ・ジャコメッティ(スイス)
7,ユーリ・プリセツキー(ロシア)
8,ピチット・チュラノン(タイ)
9,イ・スンギル(韓国)

個人的にはダントツで、ジャン・ジャック・ルロワ(JJ)推し! 宮野真守純度100%の彼はビッグマウスでナルシスト、されど自分のスタイルを貫くため途方もない努力を重ねて、結果を残し続けてきた有言実行の男。自己愛に溢れているようで、実はフィアンセに一途な愛を送るナイスガイでもある。彼のテーマ曲である「Theme of King J.J.」も名曲すぎて、最近こればかり鬼リピートして聴きまくっていますよ~。Just follow me!のとこが気持ちよくてしょうがない。

そんなJJがグランプリシリーズトップ通過で挑んだファイナルで、まさかの大失敗に陥ったのはショックでした。話的には、勇利とユーリの一騎打ちで、どちらかがグランプリ制覇することはわかっていました。そのためにJJは芳しくない結果に終わるだろうとも…。それでもいざプログラムが始まれば、私は実際のフィギュア中継を見ている時と変わらない気分で、JJの勝利を願わずにいられなかったんです

思うようにジャンプができなくても、最後まで強気に挑戦をやめようとしないJJに、フィアンセとJJガールズが涙ながらに声援を送っていたのは感動的すぎてヤバイ…。自己最低点に終わったパフォーマンスに落胆の色を隠しきれないJJも、観客たちの声援に応えて「It’s JJ style!」の決めポーズを気丈に返していたのはさすがでした。ありがとう、最後までカッコイイJJでいてくれて。

このフィアンセ、JJの王者たる雄姿に惚れ込んでいただけで、惨めな醜態を晒す彼には掌返しで興味失いそうなイメージだったんですけど、彼が苦しんでいるときに、誰よりも大きな声で声援を送っていたのがめちゃ泣ける。グランプリファイナルの結果は残念でしたけど、JJは最高の伴侶を選んだね。ポポーヴィッチと違って女運に恵まれていて何より(笑)

そのポポーヴィッチもいいキャラしていたなぁ。彼女にこっぴどく振られた悲恋をリンク上で表現するスタイルが面白くて仕方ない。それを会場で見ていた元カノに、血も涙もないサムダウンを喰らっていたのは爆笑しました。フィギュアスケートはついついテクニカル・メリットばかりに気を取られてしまう私も、プレゼンテーション(表現力)が大切なんだってことをポポーヴィッチに教えられましたよ。ポポーヴィッチは表現力の鬼ですからね!

主人公の勝生勇利は、弱々しくて女々しくてホモホモしくて、全然好きなタイプじゃないんですけど、ひとたびリンクに上がると何かが憑依したかのように男の顔に変わるギャップがたまらない。オールバックになって目つきも凛々しくなり、醸し出す色気が半端ない! 勇利に限らず、フィギュアスケーターはやっぱり氷の上でこそ最高に輝きますよね~。

こんな風に、1人1人のキャラについて語り始めたら恐ろしいほど長文になりそうなぐらい、みんな愛すべき存在で、それぞれが主人公でした。続編となる2期の制作は間違いないところでしょうが、できれば、続編とは別に、各キャラクターに焦点を合わせたスピンオフも期待したいところ。私は本気でJJ!!! on ICEがみたいですよ! ○○!!! on ICEの○○にどのキャラの名前を入れても、絶対面白くなると思います!

■ゲイ描写に対する私見■


フィギュアスケートアニメとしては、口から絶賛の言葉しか出てこない最高のアニメの1つ。同時に、純粋な楽しさを阻害するノイズとなる要素も1つありました。ホモ要素です。

息を吸うように交わされるホモ行為。もう男同士で手を繋いだりハグをしたり顔を近付けたりは日常茶飯事で、最初は「これユーリやなくて、ホーモやないかーい!」と陽気なツッコミでエンジョイしていた自分も、回を重ねるごとに露骨になっていく描写に耐えきれなくなり、10話でエンゲージリングに見立てたペアリングを贈って疑似結婚式を始めたところで、完全にドン引きしました。このシーン、今思い出してもめちゃくちゃ気持ち悪かったです。

こうやって「気持ち悪い」とはっきり述べてしまうと、私はLGBT否定論者の差別主義者だと受け取られるかもしれません。しかし、私はゲイそのものに拒絶反応を感じているのではなく、ゲイではないくせに(認めていないくせに)ゲイを気取っている男どもが気持ち悪いと感じただけ。そう、これだけ勇利とヴィクトルの2人は同性愛を匂わせていながら、互いがゲイであることに一切言及しないのが問題なんですよ!

断言できますが、もし勇利がヴィクトルのことを真剣に愛した上で指輪を贈っていたのなら、私は気持ち悪さなど微塵も感じることなく、2人のことを祝福していました。セクシャルマイノリティであろうと、周囲に何ら引け目を感じることなく、実直に求愛できるのは大変麗しいこと。でも、勇利がヴィクトルに指輪を贈った理由には、「お守りだから」「お礼だから」という苦しい言い訳が入り、これだけ直接的な行為に及んでいながら、2人がゲイである事実から頑なに目を背けようとするから腹立たしくて。

10話放送後、作者の久保ミツロウさんはTwitterで「この作品を現実の皆さんがどのように思われても、この作品の世界の中では絶対に何かを好きになることで差別されたりはしないです。その世界だけは絶対に守ります。」と、差別主義者には屈しない! というスタンスで反論されていましたけど、作中でゲイであることを認めていないからとても滑稽に聞こえます。

本当にこの世界が、あらゆる愛情のカタチに差別が入り込まない世界であるなら、「その世界だけは絶対に守ります」と豪語するなら、どうして彼らはゲイであることをはっきり認めようとしないのでしょうか? 同性愛を肯定しながら、一方で師弟愛や友情を隠れ蓑にしてゲイである事実を誤魔化そうとするやり口は、とても卑劣で悪辣だと私は思います。ゲイに対して不誠実ですし、これこそ差別です。

結局、本音ではホモを匂わせて腐女子を釣りたいだけのくせして、差別がどうのこうのを持ち出して正当化させようとするから気持ち悪さを感じるのですよ。ユーリ!!! on ICEという素晴らしいアニメに対し、私はただひたすら絶賛だけがしたかったのに、こんなくだらないことに長文を割かなくてはならないのが何よりも残念です。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. ゲイ描写に関しては、私も同じ感想を持ちました

    もともと日本のアニメや漫画に登場するゲイは、色物ばかりなんですよね
    ともすると偏見を持たせかねないギャグキャラとしてのオカマ、
    ではないゲイのキャラを表現してくれたら良かったのに・・・と残念な気持ちです

    • アニメに限らず、バラエティ番組でも出てくるオネェキャラはこぞって化け物みたいなタイプですし、そういう一面は確かにあるとしても、そういう側面しか描かないのは良くない。まだまだLGBTへの理解は遠そうです。

      真面目な話、なんでヴィクトルと勇利の2人をゲイカップルとして認めないんでしょうね。もし「本物のゲイだったら萎える」というのなら、差別の2文字は二度と口にするなと言いたい。

  2. ゲイ描写について自分が思っていたことがすべて書かれてる…

    昔から腐女子がリアルゲイを盾にして自分達の性癖を美化する過程で
    リアルゲイを傷つけるということはたびたびあったのですよね
    ノンケの女性が男同士の恋愛を妄想して楽しむ性癖と
    同性を恋愛の対象にする性癖は全く別物なのに

    スポーツものとしては本当によかったです
    あくまで物語の中心にあったのはスケートだったので

    • ホモも百合も今やアニメの萌え要素の1つなのは否定できない事実ですから、ある程度ステレオタイプに、面白おかしく描かれていたとしても、目くじら立てて批難はしたくはありません。

      ただ、今回のユーリ!!! on ICEのように明らかに一線を越えてしまっている場合は別。茶化していいレベルじゃないんですから、真摯に同性愛について言及していかないと。その覚悟がないのなら、男同士で指輪を贈って疑似結婚なんてシーン、二度とやるなと言いたい。

      >あくまで物語の中心にあったのはスケート
      最初からホモ臭さしか取り柄のない完全な腐女子向け作品であれば、「端っこの方で好きにやってくれ」で終わったんですけど…。ユーリ!!! on ICEはなまじフィギュアスケートアニメとして一流で、男女問わずに楽しめる正統派スポーツ作品だっただけに、一部の層に媚びいった描写が残念に思いましたね。

  3. ユーリ!!!の総括を上げられるとは思っていなかったので驚きました。
    大体私も感想は同じような感じです。スケートシーンも視聴前の
    予想よりも圧倒的に多くバラエティに富んでおり見ごたえがありました。

    個人的には勇利には金メダルを取って欲しかったのですが、昨年の成績や
    SPでの点数差を考えると仕方ないのかなと思いました。
    恐らく売り上げを考えると2期、もしくは劇場版がありそうなのでそこで
    金メダルを取ってカツ丼を食べてほしいと願うばかりです。

    キャラクターはミケーレとユリオ、JJの三人が印象に残りました。
    特にユリオは最終話まで見て大きく印象が変わりました。
    正直好きでも嫌いでもなかったのですが、ヴィクトルの選手復帰の話を
    演技直前に知らされて動揺しても見事滑りきり、シニア1年目でのGPF優勝と
    いう快挙を成し遂げ、ヤコフにヴィクトルの面影を見せる程強くなった15歳の
    将来が楽しみになるほどでした。

    正直なところロシア大会以降はかなり詰め込んでいたので後1話は欲しかったのですが、
    アニメは制作の都合上、ドラマみたくいきなり拡大放送はできないので仕方ないですね。
    オタベック、スンギルあたりは描写が特に少なかったので続編があればみたいです。

    • 最終話で大きくユリオの印象が変わったというのは激しく同意です! ショタキャラに興味ない私は、好きなキャラ順だと7位と異様に低いユーリ・プリセツキーですけど、これでも最終回で急上昇した結果。元々はベスト9に入るか入らないかぐらいの存在でしたから(笑)

      直前にヴィクトル選手復帰という衝撃的なニュースを聞いたユリオは、僅かな動揺が演技に影響して、最後は勇利に逆転を許してしまうものだと思っていました。それがFSでも堂々たる滑走を見せて優勝を成し遂げるとは、見上げた男でしたよ。ユリオの中には、勇利を引退を阻止するために自分が優勝しなくてはという強い意志もあったんでしょうね。 

      >ロシア大会以降はかなり詰め込んでいたので後1話は欲しかった
      ロシア大会以降は圧倒的密度で、更に一段階面白さが増して、本格的にハマったのはこの頃。よくある部活アニメとして、小さな世界観で終わらせるのではなく、世界最高峰のワールドワイドな戦いを見せてくれたことが、ユーリ!!! on ICEの面白さの秘訣だったと感じます。

      勝生勇利の24歳という年齢設定も嬉しかったな。アニメ界隈は17歳・18歳の主人公ばっかりですから。高校生を異様に持て囃す日本の風潮に私は異を唱え続けたい(笑)

      >オタベック、スンギルあたりは描写が特に少なかった
      オタベックもあんな魅力あるスケーティングを見せてくれるなら、もうちょっと早くから存在を知って応援したかった(笑) 男子フィギュアは、しなやかさよりも、ああいった力強さを見せてくれる方が好きです。

  4. 全話視聴しましたが言いたかった事をここまで書いてくださっているのに驚きました。
    ファンの一定数はそういった恋愛感情を挟めて見ている層がいる事も分かっていましたが、公式の作品が節度を持っている限り私は純粋にスポーツ物を楽しんでいました。
    しかしこの作品は困った事に公式が完全にやらかしているので手に負えません…。私もキスシーンと指輪シーンにドン引きでした。
    フィギュアスケートを20分という時間に収めた構成力と確かな作画で夢中になっていた私は頭を抱えました。
    見たいと見たくないのジレンマの中、結局全部視聴しましたが純粋に楽しめませんでした。
    本当になんでこんな事をするんでしょうね。

    • ありがとうございます~。そういってもらえると、私も嬉しいです! ユーリ!!! on ICEという作品の素晴らしさは皆さん論を俟たないところで、同時に過剰な腐女子への媚びに嫌悪を感じたというのが共通の思いなんでしょうね。

      >この作品は困った事に公式が完全にやらかしているので手に負えません
      公式が露骨に媚び始めるのも問題ですし、それを嬉々として受け取る視聴者も問題。「公式が露骨に媚びだしたら萎える」というのがオタクの矜恃ではなかったのでしょうか? 最初からホモ要素など微塵もない硬派な作品を、たくましい妄想でBLに発展させていくところに腐女子の凄みを感じてたのに、今や差し出された餌に従順に食いついて、家畜同然に飼い慣らされるとは、腐女子の皆さんに失望ですよ…。

  5. まだ視聴途中ですけど感想は概ね同じですね。
    フィギュアスケートの素晴らしさをアニメという氷上の上でこれでもかと表現していたのは
    これっぽっちもフィギュアスケートに興味のない私でも感動できるんですから。
    面白いのがリアルで活躍しているフィギュアの選手たちも視聴してハマっていて現実と
    物語がどんどん近づいているところですね。某選手が大きなお握りのぬいぐるみを抱いている
    シーンは笑ってしまった。

    恋愛云々に関してもフィギュアスケートと同じぐらい真面目にやるべきとは思いました。
    どうせ腐女子の方なら好きにやるんですから作品に関してはもっと真摯に向き合えば
    多くの人にもっと評価してもらえる作品だとは思いましたね。
    これも浅生さんの言うとおりだと思いますが。

    P.S
    ガンバ大阪は天皇杯は残念でしたね。こちらもJ1に上がれず未だに立ち直れずにいます(泣)

    • 私もいうほどフィギュアを見ているわけじゃないドニワカですが、こんなにも引き込まれてしまいましたから、ユーリ!!! on ICEには客層を選ばず広く訴求できるパワーがあったんだと思います。これだけ間口の広い作品でありながら、特定の層だけを喜ばせるサービスシーンにご執心だったのは、やはりもったいなかったですよね…。やるなとは申しませんが、もっと自重してほしかった。

      >どうせ腐女子の方なら好きにやる
      だと思うんですよね。ハイキュー!!だって、別にいうほどBL臭さはないですが、ちゃんとそういう層は取り込めていますし、作品に対して真摯に取り組んでいれば、キャラ萌えなんかあとからいくらでもついてくる。わざわざ公式で、ヴィクトルと勇利をいちゃこらさせる必要あったのかなぁ…。実際それで喜んでいる人が大勢いるんですから、「必要あった」のでしょうけど。

      >ガンバ大阪は天皇杯は残念でした
      試合録画していましたが、先に結果を知ってしまったので1秒も見ないで消しました。決勝まで残れば、今年は地元開催だったのに…。

      山雅は最終戦BS観戦していました。スピーディーでいい試合していましたし、劇的な勝ち越しヘッドでの勝利に喜んでいましたが、一歩及ばず無念。終盤の清水が神懸かり的すぎましたね…。入れ替え戦でもまさかの敗退で残念至極。