PSYCHO-PASS2第11話「WHAT COLOR?」雑感+総括

なんと! 東金朔夜はマザコンと見せかけて、実はただのマザコンだった!! ……私は、彼が母親を信奉しているのはポーズに過ぎないと見ていましたが、まさか本当にフツーのマザコンだったとはねぇ。底知れぬ闇を抱えた危険人物だと匂わせていたくせに、最終回で一気に小者臭くなって失望しましたよっ。

東金朔夜という人物のみならず、どうやら私は全体的にPSYCHO-PASS2という作品を過大評価しすぎていたというか、深読みしすぎていたようです…。

・東金朔夜はシビュラの傀儡ではない! 二重スパイだ!
・鹿矛囲は単なる臓器移植体ではない! 臓器培養による人造人間だ!
・WC?のメッセージは「What color?」ではない! 「Who cares?」だ!

私が考察の末に導き出した数々の予測は、その総てが深読みしすぎでしたから。的外れな予想していた私が悪いんですけど、でも壮大な謎を投げかけておきながら、視聴者が予想する一歩手前の真実しか提示できないのは、やっぱり作り込みが甘かったんじゃないかと思います。一歩先読みした私のもう一歩先、つまり二歩先を行って予想を外してくれないと~!

キーワードは、集団的サイコパス。最終話も小難しくて長ったらしい話がくどくど続きましたが、結局これを容認するかどうかで11話もかけてごちゃごちゃ揉めていたわけですね。現実世界でも、憲法解釈を巡り集団的自衛権の行使容認を何年もごちゃごちゃ揉めていましたから、リアルっちゃリアルなんですが。

この集団的サイコパス容認までの顛末は、シビュラシステムをウイルス対策ソフトに置き換えて考えると理解しやすいかもしれません。「カムイ」という名のマルウェアが出回り始めたのが事の発端。このマルウェアは単独ファイルでありながら複数のファイルで内部構成されているのが特徴で、従来の検出方法では引っかからない厄介な新種ウイルスだったということ。

シビュラ社は早速パターンファイルを更新し、新たにカムイをウイルスだと定義付けしたいところですが、ここで1つ問題が発生。ウイルス対策ソフトの「シビュラシステム」は構造的にはカムイと変わらないため、カムイをウイルス定義すれば、ソフト自体もウイルスだと見做されてしまうようになる。

だからシビュラ社はカムイをウイルスだとは認めずに、「お客様が手動で削除してください」と責任放棄を続けてきたわけですが、これ以上カムイを放置できない切羽詰まった状況になって、ようやく対応を開始。「ミサコ」という問題のある構成ファイルを切り離し、ソフトに類が及ばないよう設定した上で緊急アップデート。無事、カムイだけを駆除することに成功して、なんとか事態を収拾したというわけ。

個々が対象だった判定を、集団にまで拡大化させたことにより、これまでシビュラの裁きにかけられなかった鹿矛囲をドミネーターで補足可能な状態に。朱ちゃんはそんな彼の処刑を躊躇いましたが、東金朔夜と互いにドミネーターを向け合い、相討ちする格好で散りゆく鹿矛囲。こうして、シビュラシステムを裁きにかけるために揚げた鹿矛囲の反旗は、収束を迎えたのでした。

「集合的サイコパス。遠くない将来、集団が基準となる社会が訪れる」
「個人としてクリアでも集団としてクリアではない可能性」
「その疑心暗鬼が混乱を招き、かつてない魔女狩り社会が訪れ、その結果、裁きは大量虐殺へと変貌を遂げるかもしれない」
「その扉を開いたのは、君だ」

当面の事件は解決を見ましたが、集団的サイコパスという新たな取り決めを定めたことで、今後はどんな不具合を引き起こすかわからないという不安を残した終わり方。劇場版では、そういった危惧が現実のものになった世界が描かれるのかもしれないですねー。

そういや、霜月ちゃんは最後まで生き延びたんでしたっけ。確実に死ぬと思っていたのにしぶといな(笑) 改心することも成長することも始末されることもなく、ただ漫然と生き長らえるいう結果はさすがに読めませんでしたが、これはこれで霜月ちゃんらしいかな。

★今週の常守朱★


再び生還おめでとう朱ちゃん! 2期は単独主人公という重責を担いながらの大活躍だったね! 正直、1期のときほどカワイイとは思えなかったんだけど、それは脚本と作画が悪いだけで、朱ちゃんのせいじゃないよ! 朱ちゃんの真の勇姿は、お正月公開の映画の方で期待しているね! 劇場版でも頑張れ朱ちゃん!

総括


広げた風呂敷を途中で放り投げて逃げ出すことなく、最後は綺麗にまとまりましたし、設定も私が見る限り破綻を来していたようには思えないので、筋書き自体はそんなに悪くなかったと思います。

ただ、これがエンターテインメントとして面白かったかというとビミョー。ていうか、つまんないよね…。いくら良質なストーリーラインがあったとしても、それをただなぞるだけでなく、もっと各話で見せ場を作るような工夫は意識すべきじゃなかったでしょうか?

大河ドラマだって、ただ歴史年表をなぞって歴史的事実を羅列したところで面白くなるわけがありません。視聴者が期待しているのは、やっぱり合戦シーンであったり、人間ドラマであったりするわけですよ。PSYCHO-PASS2にはそういった配慮が致命的に欠けていたと言わざるを得ません。

第2期のスタッフは、PSYCHO-PASSが刑事ドラマであるという根本を忘れていたように思えます。刑事ドラマを好む人は、バラエティに富んだ刑事仲間たちの活躍シーンを求めているわけで、犯人側の正体や動機にそこまで興味があるわけじゃない。なのに、PSYCHO-PASS2は鹿矛囲サイド、シビュラ(東金)サイドの描写ばかりに執心していたため、圧倒的に物足りなさを感じてしまいました。

今回、公安局刑事課一係の面々の活躍はどれだけありましたか? 私を含めたファンは、宜野座さんや弥生といった1期からの人気キャラクターの活躍をもっと見たかったはず。せっかくの新キャラクター雛河翔だって、ろくに掘り下げをされず、ほとんど数あわせみたいな存在。物事をなんでも朱ちゃん1人に押し付けて、結局活躍していたのは最初から最後まで彼女1人だけという有様。これじゃ刑事ドラマである理由がないですよ。

脚本家としては、犯人側にフォーカスを当てた方が楽しいでしょう。彼らの異常性や凶悪性を入念に描けば、それだけでお手軽にショッキングな物語は作れる。でも、本物の脚本家であれば、主役を差し置いて悪役ばかりが目立つような物語ではなく、刑事側の活躍を通して犯人側の魅力を描ける物語であって欲しかったです。

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ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. >問題のある構成ファイルを切り離し、ソフトに類が及ばないよう設定した上で緊急アップデート
    シビュラ社、対応遅(笑)
    なんか、これだけの対応でサイコパスを計測できるようになるなら、11話も引っ張る必要は無くて、4話ぐらいでカムイ編を終了して、別の問題に取り組んでも良かったかもしれませんね。

    思うんですが、シビュラはいつも後ろ向きですね。
    最悪の状態を予期し、準備しつつも、希望のある選択に向かうようなシステムを目指してほしいな。
    てか、今回の問題は、シビュラが最初から全面協力していたら、一瞬で終わった事件でしたね。
    シビュラに振り回されても頑張る常守さんはカッコいいですわ。

    あと、2期はスピード感が無かったですね。なんかダラダラ推理に費やしていた感じですね。

    >今回、公安局刑事課一係の面々の活躍はどれだけありましたか?
    同感です。

    >ただ漫然と生き長らえるいう結果はさすがに読めませんでした
    劇場版で派手に散るための布石ですかねww

    • ひとたび集団的サイコパスを容認してしまえば、この先どんな新たな問題が噴出するかわからないので、慎重にならざるを得ない気持ちもわかりますけど、シビュラの一部をトカゲの尻尾切りするだけでこうも簡単に物事が解決してしまうなら、「さっさとそれやれよー」と思ってしまいますよね。

      >シビュラが最初から全面協力していたら、一瞬で終わった事件
      身も蓋もない言い方ですが、その通り(笑) 怠け者のシビュラの尻を叩くだけで、随分遠回りしちゃって。司法が人から機械に委ねられても、やっぱり過去の慣例からはなかなか脱却できず、対応1つするのにも腰が重いのね。じゃあ、もう人でいいじゃん!

      >シビュラに振り回されても頑張る常守さんはカッコいい
      2期は朱ちゃんの格好良さはたくさん見られましたが、それだけだったのが寂しい。ずーっと険しい顔のままですもん。女友達とのランチとかで、自然な笑顔が見られるシーンも欲しかった。

      >(霜月)劇場版で派手に散るための布石
      いやぁ、なんだかんだで生き長らえるんじゃないでしょうか。漫然と(笑) 霜月監視官役の佐倉綾音さんは、監督直々に「嫌われてください」というオーダーがあったみたいですね。指示通り嫌われたんですから、名演です。


      劇場版でも、引き続きイラッとさせてくれそう!(笑)

  2. こんにちは、あっさり終わっちゃいましたね。
    ようやくPSYCHO-PASS2で上がった犯罪係数をその後の30分で浄化する日々から開放されます。
    ちなみに後の30分は己の汚れを突きつけられる某「耳をすませば」みたいな荒療治ですが。

    いやぁ、東金さんにはホントがっかりでした。実は母親を憎んでいて、だからといって朱の味方もしない…孤高?的なのを期待してたんですけどね。

    全体の尺が1期の半分だった上に凄惨な事件の派手パートに分量を割きすぎて、日常的場面とか落ち着くパートがあまりなかったせいで全体通してガチャガチャと雑な印象になっちゃいましたね。しかも話自体はあまりテンポよく進んでいかなかったし。
    「刑事ドラマであるという根本を忘れていた」ところに重なる部分かもですが、展開に緩急つけて、その間にキャラクターの掘り下げとかも混ぜたりとか、そういう丁寧な部分がないと失敗するって「テロル」の失敗で学ばなかったのかと。物語の基本じゃないですかね。
    朱のおばあちゃんもなんだかやっつけで連れて来られて、超雑に退場させられて。お年寄りはもっと大事にして欲しいです。
    全体的にショッキングなシーンの作り方が雑なんですよね。事務的というか。フラグ立てたらすぐ殺す的な。
    この脚本の方の人のTVアニメは「テロル」しか見てないのですが、劇場版の「AURA」はよく纏まっていた気がしたんですけどね。TV苦手なのかな?

    ある意味最後まで問題児の霜月ちゃんについては、結局あの子の役割って霜月ちゃんである必要なかった、というか霜月ちゃんだからこそ余計に違和感とか不快感を感じてしまったんですよね。結局、過去のあれこれも一切絡まなかったし説明エピソードもなかったわけだし。てきとーなツインテールのゆとりスイーツな新キャラで十分だったんじゃないかと。

    あと、東金母がだいぶ出張ってたわけですけど他の脳みそから突っ込まれなかったんですかね?幸三郎くんは何かあればすぐに呼び出されてた気がするんですけど。

    あ、なんか「複数ライターのエロゲ」に対する不満みたいだわ。

    今回も最後まで朱は一応クリアでしたけど、1期のモンタージュ?の時とか今回のラストの上がりかけてうやむやにされた件を見ると劇場版でついに…て展開もあるんですかね。まぁ、すでにセミヌードまではあった(?)わけですが、カラダはともかく心は最後まで清純派を通せるのか期待ですね。

    劇場版の方はメインのスタッフも元に戻るし、安心して見れる内容だといいなぁ。

    • 全体的なストーリーは良く出来ていたのに、終わってみれば不満が残ったのは脚本。まさに、シリーズ構成の冲方丁さんは有能でも、脚本の熊谷純さんは○能だということでしょうか。今後、熊谷純さんが絡むアニメは色眼鏡で見ちゃいそうで怖いなぁ。

      >(東金)母親を憎んでいて、だからといって朱の味方もしない…孤高?的なのを期待
      私も同じくです。このパターンもベタっちゃベタですけど、何の捻りもないマザコンキャラよりは断然マシでした(笑) ハードボイルドな世界にぴったりな危険な香り漂う男だったのに、ストーカーだわ、マザコンだわ、ヘタレだわ、回を重ねるごとに小者になっていく…。

      東金朔夜・雛河翔・鹿矛囲桐斗・霜月美佳と、第2期の新キャラクター(厳密には霜月は違いますが)が押し並べて魅力に欠けていたのは残念。物語ばかりを突き詰めるのではなく、もっとキャラクターの魅力も意識しないと、良い作品は生まれませんよ。

      >全体的にショッキングなシーンの作り方が雑
      朱ちゃんのお婆ちゃんといい、その前の青柳監視官といい、ほとんど殺されるために駆り出されたような生け贄キャラでしたからね~。単にストーリーの都合上でキャラを犠牲にするから、愛が感じられない。事務的という表現はぴったりだと思います。1クールじゃなかなかキャラの深みを持たせるのも難しいのはわかりますが…。

      >(霜月)てきとーなツインテールのゆとりスイーツな新キャラで十分だった
      あはは。それは実にてきとーなキャラですね(笑) いやでもホント、霜月美佳という既存の脇役キャラをメインの抜擢した意味がわかりませんでした。仰る通り、色がついていない完全な新規キャラで良かったんですよ。1期の面影を完全に消してしまうぐらいなら。霜月ちゃんが朱ちゃんに反発していた理由は、最後までよくわかんなかったですし…。

      >カラダはともかく心は最後まで清純派を通せるのか期待
      朱ちゃんは生娘である限り、いつまでもクリアな色相のままですよ!

      >劇場版の方はメインのスタッフも元に戻るし、安心して見れる内容だといいなぁ
      「やっぱりメインスタッフは違う!」というところを思い知らせてほしいですね。虚淵さんは「楽園追放」の片手間で脚本書いていた可能性が高いですけど…(笑)