PSYCHO-PASS第14話「甘い毒」雑感

怪しいヘルメットを被った不審な男が、人通りの多い道端で突然ハンマーを取り出し、女性を数回に渡り殴打。目撃した通行人たちはそれを制止する気配もなければ、悲鳴すら上げずにただ遠巻きに傍観しているだけ。衆目の中、女性への暴行が容赦なく繰り返されるという異様な光景に、吐き気を催すような嫌悪感がありました。

ものすごく嫌なものを見せられて本気で気分悪いんですけど、ようやくこれで「PSYCHO-PASSの世界観」を実感することできたかなと。往来で女性が撲殺されても通行人が黙って見ているだけなんて、「あり得ないだろ!」と突っ込みたくなるほどでたらめな世界。しかし、逆にそれこそがリアルだと思うのです。現代に住む私たちとはまったく異なる常識と価値観で動いている世界、それが「未来」だと思いますから。

きっと100年前の日本人が今の日本人を見ても同様のことを感じるはず。1世紀もの隔たりがあれば、人間の持つ常識が大きく違っていて当然。進化したテクノロジーだけでなく、常識・文化の違いも描くことが本当の未来感。だから、今の私たちにとって「理解できない」ことが重要なのです。100年後の人間の考えに安易に理解できてしまう方が不自然なので。

感情的には「あり得ない!」と思っても、冷静に考えると「もしかして」と思わせる絶妙な匙加減もポイント。目の前で女性が殺されているのをただ傍観して見守っていたのは、いわゆる他人に無関心で平和ボケした日本人の極致

シビュラによって統制された世界であれば、他人を疑う必要はなくなりますし、恒久的な平穏が約束される。つまりそれは、今の日本人が持つ他人への無関心と平和ボケを加速させるということ。自分もこの世界に生まれ育っていれば、もしかすると同じようにただ傍観するだけの立場になっていたかもしれません。異常な光景のように思えて、実は今の私たちもそういう感覚に片足を突っ込んでいるんだと考えると薄ら寒くなります。

未来世界を想像する際、「100年後はきっとこういう世界になっているだろう」というのは誰でも想像できることですが、「100年後はきっとこういう人間になっているだろう」という部分にまで考えが及ぶ人は僅か。未来を舞台とした作品の数多くは、世界観こそ未来であってもそこに住む人間が現代人と変わらない場合が往々にしてあります。PSYCHO-PASSが「未来の人間の在り方」までキッチリ描いていることに、今回私は甚く感心させられました。

PSYCHO-PASSの世界観を最も的確に表現できている回だったので、本当はこういう話を第1話に持ってきた方が良かったように思いますね~。

★今週の常守朱★

サイコパスがコピーされるから来るなって言っているのに勝手に追いかけてきたね! でも、あとからとことこ追いかけてきた姿は可愛かったね! 来週も頑張れ朱ちゃん!

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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