俺物語!!第16話「俺の弟子」雑感

告白途中に日和ってしまい、「人間として好き」という曖昧な関係に収まってしまったことが、まりやにとって返って苦悩を増す結果に。以前より親密にはなれても、自分の想いはまったく届くことのない近くて遠い関係。猛男を騙し続ける罪悪感にも耐えきれなくなった彼女は、改めて猛男に本当の気持ちを告げる。

「師匠…、好き」
「人間としてじゃなくて、男として好きなのっ…。師匠の彼女になりたいっ……」

原作以上にまりやの告白シーンは感動的でした。「師匠…、好き」というセリフを、震え声で絞り出した前田玲奈さんの演技が出色。これ以上ないほど情感がこもっていて、ものすごく気持ちが揺さぶられましたよ。

そんな真剣な彼女の気持ちに対して、自分も真剣に気持ちを返そうとする猛男。詳しくは後述しますが、告白の断り方1つでも、これほど男としての格好良さに違いが出てくるかと感心させられます。気持ちをさらけ出して想いを告白してくれた相手に対して、きちんと自分も気持ちを明確にして返す猛男はどれほど誠実な人間か。私も人間として猛男のことが大好きですよ!(笑)

魅力的な新ヒロイン登場で、女性2人から言い寄られる垂涎のシチュエーションが築かれながらも、2話であっさり決着をつけてしまうのは少女漫画の潔さですねー。これが男性向けのラブコメとなると、この三角関係がしばらく……下手すりゃ最終回間際まで引っ張られますから(笑) 少女漫画のこういうところ好きです。

とはいえ、ちょっと前の少女漫画なら、イケメン2人の間で気持ちが揺れ動く三角関係モノは主流でした。つまり、これは男女間の恋愛観の違いというより、時代の違いだといえるかもしれません。もう今の時代、鈍感を装ったり曖昧な態度で誤魔化しながら、どっちにもいい顔してぐだぐだ答えを引き延ばす優柔不断なラブコメは受けないのだと思います。

態度をはっきりさせないヘタレ主人公を男性側は支持しているのかというとそうではなく、蛇蝎の如く嫌っている人は多いんですし、その手のラブコメは既に需要がないのだと編集者は早く気付いてほしい! 古いラブコメしか書けない古い感性の作者も、さっさと退場していただきたい! ……ちょっと私情交じりの極論ではありますけど(笑)

今週の至言

「………そうじゃなくて、西城さんがつらいでしょ」
「あの2人は西城さんが何も言わなきゃ一生疑わないだろうからいいんだろうけど、これがずっと続いたら西城さんがつらいでしょ」
「西城さん、大丈夫かなと思っただけ」

彼女のいる男に岡惚れするまりやを責め立てるのではなく、報われない恋愛を続けるまりやを想ってフォローする砂川。立ち位置としては、猛男・凛子側の人間のはずなのに、まりやの気持ちまで汲んで彼女に手を差し伸べるなんて、さすが全方位イケメンですよ。

猛男「西城、すまん」
まりや「…や、予想はしてたし。だよね、彼女いるもんね。遅いよね」
猛男「そうじゃねぇんだ。大和が好きなんだ」

彼女がいるから断るんじゃなくて、彼女のことが好きだから断る。一見同じような意味に感じますが、ここで猛男が自身の気持ちを明確にしているかしていないかで天と地ほどの差があります。

「付き合いたくないんじゃないよ。付き合えないだけなんだよ」という言い訳染みた答えは、相手を思いやっているようで、結局“嫌われたくない”という自分の都合を優先した断り方。断る理由を状況のせいにするのは単なる逃げでしかございません。特に今回まりやは、猛男が彼女いる状況を把握した上で告っているんで、尚のこと自分の気持ちをはっきりさせておくのが優しさだったと思いますね。

「大和、西城に男として好きだと告(い)われた」
「申し訳ないが断った。彼女がいるから、大和とつきあってるから断ったんじゃねぇ」
「オレは絶対に他の女子とつきあったりしねぇ。モテないからでもねぇ」
「オレは大和が好きだからだ」

自分はモテないから浮気をしないなど世迷い言。こんなのモテるようになったら浮気するかもと言っているのと同義ですので。しかし、猛男は実際に他の女子から想いを告げられても、まったく気持ちが揺らぐことはなかった。モテないから浮気しないのではなく、凛子のことが好きだから浮気はしない。そのシンプルな答えに辿り着いた猛男は、やはり男です。

「他に選択肢がないから好き」という状況は自分もまったく好きじゃないので、他のラブコメでも、ヒロインに言い寄る男の存在はもっと出てきていいと思います。自分が彼女に好かれている理由が、「他の男にまったく見向きされないから」なんて悲しすぎる。頭悪すぎて進学できる学校を選べなかったってのと一緒ですもん(違う?)。

「ありがとうって言われたね」
「西城さんと他人になるの寂しいって昨日寝ないで悩んでたから、猛男うれしかったと思うよ」

失恋後のアフターケアまでも欠かさぬ万全のサポート体制。こんな手厚いフォローが受けられる砂川安心パックに私も加入したいわぁ(笑) 振った女に「ありがとう」と言える猛男も何気にすごいよね。

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  1. たけおのいいところって男らしさよりもむしろ
    乙女心を理解している繊細さにありますよね
    無心にいい事をいっているというよりも
    相手が今どういう気持ちにあるのかわかっているからこそ
    それを代わりに口にすることが多い気がします
    鈍いとか言っているけど野生の勘的にもかなり鋭いですよ

    だって友達の姉のパジャマ姿見て「申し訳ない」なんて厨房が普通思いませんって!

    あとへたれ主人公は面白いかどうかじゃなくて売れるから多いのかと
    わたしも面白い作品の方が好きですが、DVDとか買いませんからね。録画するし
    見て、そこから更に見たものを買うという人の趣向に合わせたアニメが多くなるんですよ
    これが変わるとすれば、それこそアメリカのように、TVを見ること自体にお金が動かないといけませんね
    今の日本じゃそれは無理という。ネット配信は可能性を感じるんですけどね

    • 猛男が乙女心を理解しているかというと微妙ですけど、鈍感で不器用な性格でありながら、それを言い訳にせず精一杯自分にできることを頑張ろうとするから、結果として乙女心を奮わす結果になっている感じはしますね。でも、一般的な高校生と比べたら、やっぱり女心に精通している方かなぁ。

      >わたしも面白い作品の方が好きですが、DVDとか買いません
      アニメのDVD買う人ってすごく限られた層だと思うんですよね。アニメを繰り返し視聴する習慣のない自分みたいな人間には、無用の長物。ですから、骨矢さんも仰るように、視聴すること自体に課金するシステムを確立してほしいです。それなら私は喜んでお金を支払いますから。

      実際、私もこの俺物語!!は「日テレオンデマンド」経由で課金しながら視聴しています。TV放送のない地方住みの人間にとって、大変ありがたいシステム。いい作品にはじゃんじゃんお金落としますので、総てのアニメがこのような方策をとってほしいものです。

  2. 『俺物語!!』以前一話を試し読みして「自分には合わないな……」と敬遠していたのですが、毎回感想を読んでるうちに気になってきて、コミックス買ったらめちゃくちゃ面白かったです。

    二巻まで読んだ時点でも「うーん?」だったのですが、三巻あたりから凛子の可愛さが高騰してきて! 山での野宿で赤面しまくる話(この回の感想で興味を持ちました)と、猛男が片想いしていた人が現れて露骨に嫉妬する話が特に良いですね。

    もっとも、猛男と凛子の絆が強すぎて、どんな恋敵(男女問わず)が現れようと全然ハラハラしないので、今後も楽しめるかはちょっと不安です。
    ラブストーリーは「付き合うまで」と「別れないと確信するまで」がキモだと思うんですが、両方解決したカップルはどうするんでしょうね。サブキャラの恋愛をやったりするのか。個人的にはあんまり興味ないんですけど……。

    いっそのこと、『俺物語!!』というタイトルを活かして(?)ラブストーリーはおしまいにして、大学生編・社会人編・新婚編・子育て編みたいに猛男の人生を綴る英雄譚になってくれたらいいのにな~と思います。猛男の子供(妹の成長姿も)が見たい。

    • 俺物語!!はあんまりハラハラ感を楽しむような性質の作品ではないですね。一応、この先猛男側にも凛子を狙う恋敵が登場しますけど。私は、2人がイチャイチャしているのを見ているだけで楽しめるので、あんまりその辺のドラマ的な面白さは求めていないかな。

      >(サブキャラ同士の恋愛)個人的にはあんまり興味ない
      それはもったいない! どうせくっつく(そして離れない)のがわかっている主人公カップルよりも、どう転ぶかわからないサブキャラの恋愛の方が見応え会ったりしますよ。「となりの怪物くん」なんて完全にそっちがメインでしたし~。

      >大学生編・社会人編・新婚編・子育て編みたいに猛男の人生を綴る英雄譚になってくれたらいい
      それはそれで面白そうですね。けど、猛男は成長してもそんなにキャラ変わりそうにないからなぁ(笑) むしろ凛子ちゃんは、大人となり、妻となり、母となったら、今とはキャラが全然違ってきそうですから、そっちが気になるかも。猛男のお母さんみたいになったりして!?

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。