俺物語!!第1話「俺のものがたり」雑感

推定2mの巨漢。ずんぐりした重量級の逞しい体躯に、雄々しい精悍な顔つき。雄としての魅力がこれでもかと溢れ出たナイスガイなれど、悲しいかな女子受けは限りなくゼロ。彼のような益荒男がイケメンとされないのは、世の女どもの審美眼が狂っているのか、今という時代が間違っているのか、世界の摂理が破綻しているのか。

猛男がどれだけいい男かは、冒頭の中学の卒業式シーンで充分に伝わってくると思います。同級生や後輩からこんなにも惜別されるような男、そうそういないですから。同性からの人望は、人間的価値を示す何よりも正確な指標。これから猛男の格好良さはいくらでも見られることになりますが、根底にあるのはこの“同性から支持される魅力”だと思いますね。女からモテる男にクズはいても、男から慕われる男にクズはいない!

性格は見た目通り無骨で豪快。完全に昭和に生きている時代錯誤甚だしい彼ですが、女に無頓着な硬派というわけでもなく、むしろ女性には惚れっぽい性質。卒業前にはずっと気になっていた女子に告白しようと決心するなど、そういう意味での男らしさもちゃんと持ち合わせています。

しかし、いつも一緒にいる親友の砂川誠が超イケメンであるがゆえに、猛男が好きになる女子はみんなそっちを好きになってしまう悲哀。傍目で友人がモテているのを眺めながら、報われない恋に肩を落とすだけの寂しい人生。言わば猛男は、エロゲの友人ポジションだと言えるかもしれませんね。どんなにいい奴でも、ヒロインにモテるのはいつも魅力ゼロの主人公の方ばかりという。いや、砂川はガチのイケメンなんですが。

痴漢されているところを助けた援で知り合った大和凛子との出逢いでも、その幾度となく味わってきた辛酸は繰り返されてしまう。

お礼のために後日わざわざ自宅まで訪れてくれた彼女に猛男は完全に惚れ込んでしまうのですが、その場にいた砂川が席を外そうとすると、凛子は悲しそうな顔で必死に引き留める。それを見た猛男は、彼女の目的が自分ではなく砂川であったことを一瞬で察してしまう

でも猛男が男前なのは、それでふて腐れたり失望感を露わにすることなく、彼女を優しく歓待してあげられるところ。それどころか、彼女の幸せのためならばと、砂川との仲を取り持つために協力を惜しまないなど、自分の幸福を差し置いて他人の力になろうとする最高のイケメン! そりゃ男から慕われるのは当然ですよ!

ヒロインの大和凛子もすごくカワイイ娘ですんで、猛男だけでなく彼女の魅力にも今後の感想で言及していけたらいいですね(比重は完全に猛男でしょうが)。小動物チックな愛らしさを持つ凛子を見て、「なんてピュアな良い娘なんだ! 汚れなき天使のようだ!」と思ったおめでたい奴と、「こいつあざといな。見え見えの計算で純粋ぶりやがって」と思った捻くれた奴の2タイプに分かれると思われますが、ある意味どちらも正解ですので、どうぞご安心ください(笑) ちなみに私は捻くれた奴でしたよ、ええ。

今週の至言

「助けたのは俺なんだがな…」

猛男は見返りを求めて人助けをする人間ではありませんし、イケメンの砂川に女子が靡いてしまうのはいつものことだと割り切っている。それでも頑張った自分が報われない現実に堪えないわけがありません。ましてや一目惚れした女の娘が、自分の方に振り向いてもらえないのは辛いでしょう。そんな未練と悔しさをふと覗かせた猛男の哀愁に、私はグッと来てしまいましたよ。

でも、そういった葛藤があったあとに、「ケーキのお礼をもらったから」「彼女がいい娘だったから」という理由で、彼は「終了だ!」と涙を飲んで良い想い出に変えた。猛男は淡泊すぎず未練がましすぎずの非常に良いバランスを持った男だと感じましたね。

大和「うちの得意な順でいったら次はザッハトルテなんだけど、どうかな? 好きかな?」
剛田「ああ、ザッハルテルトなら大好きだ」
砂川「…おまえ、思いっきり知ったかぶりしたな」

ここのやりとりすごく好き(笑) キリッと決め顔していた猛男にめっちゃウケます。チーズケーキすら食べことない猛男にザッハトルテが好きかと問う凛子ちゃんも凛子ちゃんだと思うけど!

俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)

著者/訳者:河原 和音

出版社:集英社( 2012-03-23 )

定価:

Amazon価格:¥ 432

コミック ( 97 ページ )

ISBN-10 : 4088467566

ISBN-13 : 9784088467566


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
この記事のトラックバックURL
  1. 俺物語!! 第1話 『俺のものがたり』 名前がジャイアン、そして母役が本物のジャイアンの母・青木和代。

    物語シリーズではありません。西尾維新作品とは無関係です。主人公の剛田猛男(ごうだ・たけお)は真面目で熱血漢、同性の友人後輩から人望熱き男。でも異性にはモテない。中学生…

  2. アニメまとめてプチ感想(ミカグラ・俺物語・トリアージ・ダークネスOVA)

    ミカグラ学園組曲  第1話
    エルナちゃん絵に描いたようなガチ百合^^;
    CVみゃーもり演った子か。
    部活に入ってないと待遇がしょぼくなるのには笑った。
    寝床といい、ごはんといい、部…

  1. 猛男は今後ブルース=ウィリスやジェイスン=ステイサムも真っ青の
    ハードアクションに身を投じていく事もありますが、彼のかっこよさはそういった
    ギャグマンガ世界のバイタリティに基づく肉体的強さではなく、
    惚れた女子はもちろん親友スナのためにも、ない知恵を振り絞って気を遣い、
    時に激しく動き、時に踏み止まる事のできるメンタルにあるんですよね。
    そりゃあ同性から慕われて当然だわ。

    スナも実にいい男。その辺はまた後々見せてくれるでしょうが。
    そんな彼の好人物なところや単純にイケメンな部分は、
    猛男といる時にこそ多々見られるというバランスがすごく良いです。
    女子「スナくんってカッコイイけど愛想がちょっとねー」「ねー」
    猛男(いや あいつけっこう笑うけどな)
    みたいなエピソードが小さいながらもとても好きでした。

    大和さんはありていな小動物女子からスタートしていって、
    猛男との交際やスナとの交流によって徐々に「男が守りたくなるし頼りたくなる女子」としての
    天稟を開花させていく面白いヒロイン。後ろ髪を一切引くことなく、頼もしさ100%で
    「砂川くんのところに行ってあげなよ!」
    と猛男を励ますシーンは大和さん個人の名シーンにとどまらず、作品序盤のクライマックスと言えるのではないでしょうか。

    • ジョジョの承太郎といい、デレマスのプロデューサーといい、この俺物語!!の猛男といい、私はガタイのいい主人公が出てこないと満足できない身体になってきたかも…(笑) でも確実に来ているよね、ガタイの良い主人公の波がっ!!

      >時に激しく動き、時に踏み止まる事のできるメンタルにある
      猛男の魅力は肉体的な強さでなく、内面的な強さや優しさにあるのは同意です。今後感想内で言及することになると思いますが、猛男は他人や世間の常識に流されることなく、確固たる自分の価値観を持っているところが一番好き。

      ですが、その恵まれた体格を活かした超人的な活躍も正直もっと見たい! 序盤の方は割とそういうシーンが多かったんですが、先に進むにつれ、段々超人的な部分が鳴りをひそめてしまうのが残念…。

      >(砂川)イケメンな部分は、猛男といる時にこそ多々見られるというバランスがすごく良い
      嫌味のないイケメンっぷり。異性に対してだけでなく、同性に対しても優しさを見せられるのは素敵です。

      >(凛子)徐々に「男が守りたくなるし頼りたくなる女子」としての天稟を開花させていく
      この辺も上手いですね。ピュアなようで作為的な面があって、天然なようで思慮深さがあって、周りに流されがちなようでしっかりした自分の意志を持っていて。 少女漫画は、ただ男に庇護されるだけのか弱い女子は出てこないので安心感があります。