一週間フレンズ。第12話「友達になってください。」雑感+総括

「旦那になって」という軽率な発言で桐生君の不興を買ったと思い込み、気まずさから顔を合わせられずにずっと彼を避けていた山岸さん。しかし、桐生君は決して怒りを感じていたわけではなく、直接彼女と対話することでその誤解を解いた。些細なきっかけによる擦れ違いはこれにて一件落着。雨降って地固まりました。

この勢いのままお付き合いすることになるものと思っていましたが、仲直りしただけで男女の仲としては進展せず。少しすっきりしなかったですけど、とりあえずこじれていた2人の関係が修復できたのは何よりですよ。

余談ですが、「踊り場」という場所は男女で最もその価値に隔たりがある場所かもしれません。男性作者の作品において「踊り場」が何かしらの意味を持つことはまずありませんが、女性作者の作品だと、とかく学校の踊り場でイベントが起こりやすい。運命的な出会いから、衝撃の事実の発覚、愛の告白まで、学校の踊り場は重大イベントの宝庫。女子にとって踊り場という場所は特別で神聖な場所なのですね。

さて、前座が片付いたところで、ここからがメインイベント。桐生&山岸ペア同様に微妙な亀裂が走ってしまっている長谷&藤宮ペアは、如何にして関係を修復させることができるのでしょうか?

といっても、こちらの擦れ違いは長谷君が一方的に仕掛けたもの。山岸さんのケースと違い、泣いて謝罪すべきは長谷君の方なんですよね。さっさと長谷君が己の過ちに気付いて、藤宮さんに詫びを入れてくれるのを私は待っていたんですが、結局長谷君は最後まで自分から歩み寄ろうとせず、藤宮さんが泣いてすがってくるまで放置し続けました

仲良かった友達を意味もなく遠ざけ、向こうが耐えきれず泣いて謝ってくるまで待ち続けるだなんて、あまりに見下げた根性じゃないですか…。長谷君にそういう下卑た魂胆はなかったかもしれませんが、実際やっていることは一緒。まったく擁護できません。

何も悪いことしていないヒロインが泣いて許しを請う胸糞悪い展開に、本当にこれは「一週間フレンズ。」なのかと疑いを持たずにいられませんよ。これって本当に原作通りなの? こんなので雨降って地固まるのハッピーエンドはとても承服できない!!

涙を流す藤宮さんの姿を見て、ようやく己の愚かさに気付き改心しただけマシでしたけど、ハッキリ言って私は長谷君のことを見損なってしまいました。独り善がりな考えに取り憑かれてウジウジしていたのは、最後に男を見せてくれるための前振りだと信じていたのに、最後の最後でこれかと。本当に……ガッカリです。

総括


記憶喪失の症状を持つ藤宮さんは、日々の生活で人一倍不安を抱えています。だから、長谷君が何より心を砕くべきは彼女を不安を取り除くこと。藤宮さんに信頼と安心をもたらす存在となり得ることが彼に課せられた使命なのに、あろうことか長谷君が藤宮さんを不安にさせるとは言語道断

序盤の長谷君は実に理想的な主人公でした。積極性と行動力があり、拒絶されても絶対にめげない鋼鉄のメンタルの持ち主。それに反する女々しい一面は序盤から見せていましたが、それも人間らしさ学生らしさとして私は充分許容範囲の中で受け入れられていました。

しかし、山岸さんが登場した頃から、徐々に持ち前の積極性と行動力を失い始めてくる。明らかに藤宮さんを異性として意識しているくせに、友達という関係から進展させようとはせず、気を利かせて友達が作ってくれた数々の告白チャンスもことごとく無為に終わらせてしまう情けなさ。

そんな中で九条君という不穏な男の影がちらつくと、完全に余裕を失う。九条君は藤宮さんの元カレでもなければ気があるわけでもない人畜無害の一般人だったのに、勝手に疑心暗鬼を生じさせて弱気になった長谷君は、自ら藤宮さんを遠ざけてしまう羽目に。序盤・中盤・終盤と見事に男を下げていきましたねー。

そりゃあ、人間欲しいものを得てしまったら、保守的な性格になってしまうのはわかりますよ。藤宮さんとの関係維持ばかりに頭が回ってしまって、多少ヘタレてしまうのも仕方ない。でもそれならそれで、意地でもその関係を守ろうとしなきゃ! どうして自ら手放そうとするんですか!

長谷君は、どこまでも愚直に藤宮さんのことを想い続けられる主人公であって欲しかったです。器用な性格をしていない彼の魅力は、真正面からぶつかって、決して気持ちが折れないところ。その初心を失ってしまったのはとても残念でした。

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ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 九条君登場あたりからかなり原作を改変したりはしょったりしてますね。
    原作では長谷君、藤宮さん、九条君の関係性をもっと丁寧に描写してるのですが
    アニメではそういうエピソードがすっぽりと抜け落ちているので、長谷君の藤宮さんから離れるという決断が独りよがりにしかみえなくなってしまったように思えます。
    もっとも原作の長谷君も情けないことには変わりはないですが(笑)

    • なるほど~。10話・11話・12話は悪い意味で急展開すぎる印象でしたが、やはり原作にかなり手が加えられた結果、ああなってしまったのですね。アニメサイズに変換する上で多少強引さがでてしまうのは仕方ないかもしれませんが、これなら桐生君と山岸さんの擦れ違いを端折って、長谷君と藤宮さんの関係をじっくり描いてくれた方が良かったな。そっちがメインなんですから。

      >もっとも原作の長谷君も情けないことには変わりはない
      なんだかんだ言いつつ、原作の長谷君も自分から藤宮さんと距離を取ったのか。それじゃやっぱり擁護できないかも(笑)

  2. 太字の所だけ見てるとまるでサッカー選手に対するレビューのようで、ちょっとクスッと来てしまいました。

    >踊り場
    男性作品でもハッテン場、もとい出会いの場所としてそこそこ多く描かれているものですが、コッチの場合主人公の命を狙うとか学校に潜伏する為に転入してきたナゾの美少女だったりするのがなんとも。
    そういう意味では男性は学校の踊り場には日常とかけ離れた異界を、女性は学校という日常のエアポケットを意識している印象があります。

    >藤宮さんを泣かせた長谷君
    ある意味で、視聴者を尊重し過ぎたゆえのズレた展開ではないかと思ったりしました。
    視聴者は当然主人公の長谷君に感情移入して見るべき作品なので、明確に長谷君の非があるとそれが妨げられる恐れがある。本来ならそれでも長谷君に非がある事が見取れつつも、それだけではない、この流れはしょうがないと思わせるのが丁寧なドラマメイクというものです。
    が、長谷君を下げないために藤宮さんに腰を低くさせて相対的な上下を取らせてしまったように見えました。
    そうじゃないよ。僕たちが見たいのは藤宮さんという天使の為に泥にまみれる長谷君。
    高校を飛びぬけて全日本トップ級センターと評価される丸ゴリよりも、ライバルのかつらむきで覚醒した角ゴリの方が見たいんだよ!

    • 私が知る男性作者の作品の中で踊り場がクローズアップされたものがなかったので、勝手に決め付けてしまっていましたが、一応そういうものもあるにはあるんですね。男性にとっては「日常と懸け離れた異界」、女性にとっては「日常のエアポケット」という定義付けは興味深い。

      >長谷君に非がある事が見取れつつも、それだけではない、この流れはしょうがないと思わせる
      そうなんですよね~。長谷君の未熟さゆえの擦れ違いでも良かったんですけど、今回のケースでは長谷君に一切の共感・同情が感じられないので、ただただ長谷君がダメな奴になってしまっている…。

      だから、私の言うように九条君を藤宮さんの元カレにしておけば良かったのに!(笑) それがショックで長谷君がふて腐れていたなら、まだ彼の肩を持つことができましたよ!!

      >長谷君を下げないために藤宮さんに腰を低くさせて相対的な上下を取らせてしまった
      そもそも第1話で友達になりたいがために頭下げてお願いしているんで、もう彼はどろんこ塗れですよ(笑) 今更長谷君を下げないようになんていらぬ気遣いです。私は彼が泥臭い主人公であるからこそ惹かれていたのですから。