ラブライブ!第11話「最高のライブ」雑感

抽選を外してしまったことで学園祭ライブを講堂で行うことができず、校舎屋上をステージにせざるを得なくなかったことが不運の始まり。ただでさえ観客を呼び込むのが困難な場所なのに、当日は土砂降りの豪雨に見舞われ、文字通り暗雲立ちこめる。大事な学園祭ライブを前にして、これでもかと悪条件が重なりまくるシチュエーションに、私はいつになく物語へのめり込んでいました! 途中までは!

降りかかるアクシデントの火の粉はメンバー個人にまで至り、ことりは届いた1通のエアメールに沈痛な面持ち。どうやら自分の将来とμ’sの未来が二者択一の秤にかけられているようで、そのことをメンバーに打ち明けようとしながらも、タイミングを逃して思わず言い淀む。

対照的に、学園祭ライブに必要以上に燃えている穂乃果。そんな空回り気味の気合がオーバーワークを生み、当日高熱を出すという大失態。こちらも自身の体調の悪さをメンバーに明かすことないまま、無理をしてステージに立とうとしますが、案の定ライブの途中で気を失って倒れてしまう

不謹慎で申し訳ないですが、穂乃果が倒れた瞬間ちょっと笑えましたね。3DCGで作られたPVでは、満面の笑顔を浮かべながら、病人とは思えぬキレッキレのダンスを披露していたというのに、そのPVが終了した直後にタイミング良くバタッと倒れましたから(笑) こういうとき手描きの作画だったら、しんどそうな雰囲気を出しつつのパフォーマンスを描けたんでしょうけど。

さて、この穂乃果の一連の行動。脚本家の思惑としては、「病気を抱えながら頑張った穂乃果は偉いでしょ!」という美談のつもりだったのかもしれませんが、私はそんな感動は鴻毛ほどにも感じず、ただただ穂乃果の無責任さを象徴する最低な行動の1つとして受け止めていました。体調管理を怠った時点で責任感は欠如していると言えるのですが、それをメンバーの誰にも打ち明けずに抱え込んで、舞台上でぶっ倒れるなんて言語道断ですよ。

このシーンは、Wake Up,Girls!の佳乃が本番前に足を挫いてしまったシーンと重なります。佳乃も最初怪我を隠し通して本番に出ようとしていましたが、結局は自分の怪我の状態をメンバーに告白した。それが当たり前だと思うんです。団体競技において自分のミスが足を引っ張りかねない状況なら、自分の状態が万全でないことを即座に報告する。そういう当たり前のことができない身勝手な人間は、集団行動には向いていません。

ことりも「ライブ前に動揺させたくないから…」と周りに気遣ったフリで黙り込んでいましたが、そんなことでパフォーマンスに影響が出ると思い込んでいること自体、信頼感の希薄さの表れ。確かにことりがμ’sを脱退せざるを得ないような状況を打ち明けたとしたら、少なからずメンバーに動揺は出るでしょうが、ステージ袖で起きた問題をステージ上には引きずらないのが本物のアイドルってもんですし、μ’sだってさすがにそれぐらいは弁えているでしょう。

これら逆境の数々は、μ’sをアイドルとして輝かせる絶好のお膳立てにもなっていました。ステージの状況もメンバーの状態も劣悪な中で、それでも「最高のライブ」をやりおおせたなら、きっと私は「μ’sすげぇ!」「カッコイイ!」と心から賞賛を送っていたはず。そういう意味では、またとないビッグチャンスに恵まれていたんですけど、残念ながらことりは最後まで悩みを打ち明けず、穂乃果はライブ中にぶっ倒れていたんで、超ダサかったですね。

ことりが悪い・穂乃果が悪いという個人の問題ではなく、もはやμ’sという組織が抱える構造的欠陥のような気がします。指導者もいない。リーダーもいない。先輩と後輩の垣根すらない。それでいて、お互い何でも本音で話し合える仲の良さもない。責任の所在がどこにもないから、グループにとって大切な情報の周知徹底ができないんです。これじゃあ、野盗の群れと大差ないですよ。

この失敗をきっかけに、グループとしての在り方を今一度見直し、責任感・信頼感・連帯感が芽生える成長を見せてくれれば、“雨降って地固まる”の良エピソードとなるのですが、果たして次週はどうなるんでしょうかね~。あんまり期待できそうにないな~。

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  1. ラブライブに全く興味が無いのですが浅生さんの辛辣な感想がただただ面白くて毎回の更新楽しみにしています。
    浅生さんの感想を読む限りだと、なぜこんなにラブライブが大人気なのか不思議になりますね。ただのヘッポコアイドル志願のお遊戯会にしか見えませんから。
    勿論私は実際動いてるμ’sを見聞きしたことが一度もないので実際に見てみれば魅力的なのかもしれませんけれど。

    先日東京に遊びに行ったときも天下の公道でラブライブ仕様のトラックとか結構見かけましたし、すごい人気なのだなぁとは思いましたけど。
    とらのあなとか同人ショップを眺めてもラブライブデレマス艦これと私の興味ないものが主流で肩身が狭かった感。人気作の一極集中はなんとかなりませんかねぇ。未だにそれなりの面積を占める東方もあれは一体何者なんだろう。

    • 誰も得しないラブライブ!批判に自己嫌悪しかけていたところだったので、そういってもらえると少し気が楽になりますよ~。本当にラブライブ!が嫌いなわけでも、叩きたいわけでもないんですが…。掌返す準備はいつだって万全です!

      >動いてるμ’sを見聞きしたことが一度もないので実際に見てみれば魅力的なのかも
      μ’s(アニメの方)のライブはクォリティが高くて、普通に良い出来だと思います。私は最初ライブのPVを見せてもらって、それからアニメを見るようになったんですけど、キャラをまったく知らなかった頃の方が純粋に楽しめていたという皮肉。今や大半のメンバーが嫌いですから、ライブPVを見てもノリきれません(笑)

      >人気作の一極集中はなんとかなりませんかねぇ
      ネットで情報共有ができると、アニメに限らず何でも人気作は一極集中になりますね。私も多様性を求めたいですが、やっぱり共通の話題で盛り上がれる楽しさというのは麻薬的なもので…。ついつい自分もミーハーに、人気作に手を出してしまう傾向です。ラブライブ!然り。

  2. 初めまして、レビューいつも楽しませていただいてます。
    私はラブライブのファンですが、管理人の仰る通りシナリオの出来は、
    あまり良くないと思います。特に脚本に合わせてキャラを動かしている感が強いと思います。

    また、学生としての未熟さからの失敗には、肯定的に捉えられるのですが、
    それを成長につなげるような描き方が出来ていなければ駄目だと思います。

    ちなみにこの作品がプロを舞台にしていたなら、管理人の仰る通りステークホルダーに
    貢献出来ない我儘は全てNGだと思います。

    最後に、ラブライブの主観的レビューかつ厳しい視点で分析されているのは理解していますが、
    若干批判的で煽りも含んでると感じました。

    • 初めまして~。管理人の浅生です。こんなに辛辣に批判しているのに、冷静にコメントしていただけるラブライブ!ファンの方を心から歓迎致します。

      >ステークホルダーに貢献出来ない我儘は全てNG
      そこは少し誤解があるというか、μ’sは学生の部活としてお金をもらっているプロではないのですから、「観客のために」ではなく「自分たちのために」でもいいと思っています。

      彼女たちが楽しくやっているだけの現状で満足しているなら、こういう馴れ合いグループでも全然文句はないんですが、一応彼女たちはスクールアイドルとしてのランクを上げて、高みを目指そうとしていますので、そうであれば、やっぱり向上心や真剣さは必要ですし、いつまでも馴れ合いでやっていてはダメだと思うんですよね。

      言っても、μ’sもいろいろ研鑽を積んできたグループのはずなんですが、未だに言うべきことも言い合えない関係の彼女たちに、ついつい寂しさと苛立ちを感じてしまいまして…。いっそ他校のスクールアイドルとの競争なんかやめて、音ノ木坂学院のローカルアイドルとして活躍してくれればいいのにな。

      >若干批判的で煽りも含んでる
      それに関しては言い訳できませんね。勿論、煽っている自覚はまったくないのですが、レビューとして大袈裟に誇張している部分はありますので…。批判的であっても、読み手に不快感を与えないレビューを心掛けていながら、実力不足でその理想に至っていないのが申し訳ないです。

  3. 個人的な意見ですが、ラブライブはアイドルアニメではないと思っています。けいおんからずっと続いている、部活アニメでたまたまテーマがアイドルのステージだったって話ですね。

    • テイストとしてはけいおん!に近いですね。近いというか、10話は丸々けいおん!でしたし。アイドルアニメとして評価できなくても、部活アニメとして、もしくは日常アニメとして評価できる部分があればそこを全面的に評価したいんですけど、正直どういう目線で見てもいいところが…。

  4. はじめまして。レビューいつも楽しみにしています。
    私も再放送を機にラブライブ!を見ているのですが、管理人さんとほぼ同じ感想で、わかる!となっています…ライブシーンは華やかでかわいくてすごいと思うんですが……シナリオが。
    アニメを見ている限りだと、疑問符やツッコミばかりが浮かんで、μ’sの女の子たちへの共感や応援する気持ちがちっともわいてきません。11話にしてこんな調子で、あと2話?しかないのに…という状況。
    好きになりたいのに、脚本がそうさせてくれない。そんな感覚のまま最終話を迎えそうで、なんだかなぁ…と思います。

    • 「ラブライブ!は人気作である」という前提があっての視聴なので、ハードルはかなり上がってしまっていましたし、リアルタイムで視聴した人と温度差が生まれるのも仕方ないことなんですが、まさかこんなに「面白さがわからない」とは想定外でした。最後まで一通り見終わったら、ラブライブ!ファンの感想にも目を通してみたいです。一体このアニメのどこに魅力を見出していたのか。って、こういう言い方が煽りっぽいんですよね…。すみません。

      >好きになりたいのに、脚本がそうさせてくれない
      本当にその言葉が私の心情をそのまま表現してくれていますよ。信じてもらえないかもしれませんが、私はラブライブ!のことを真剣に好きになりたいんです! でも脚本が邪魔をして、そうさせてくれないんです! 艦これもそうであるように、花田十輝さんの評価は賛否両論ですね。

  5. ラブライブ!は管理人さんの求めている方向性のアニメではないと思うので
    個人的には1話と6話のレビューだけで充分だったのではないかなと・・・。
    嫌なら読むなと言われればそれまでですが、ラブライブ!のファンであり
    エロゲレビュー時代からのなでしこやまとファンでもあるので(氷菓ファンでもある(笑))今回コメントさせていただきました。

    • 貴重な箴言ありがとうございます。確かに6話である種“見限った”ところがありますので、そこで視聴をやめ、筆を止めるべきだったかもしれません。

      でもμ’sが全員揃っていない中で視聴を止めるのは抵抗があったのと、私がアニメ視聴前に見せてもらったμ’sのPVを、アニメの中で見てみたい思いが捨てきれなくて…。そのPVに感激したことが、このアニメを見始めた最大の動機でしたから。つまり、これだけ批判的ではあっても、ラブライブ!にはまだ未練が残っているのです。申し訳ありません。

  6. とても興味深く読ませて頂いております。
    ラブライブをひとつのアニメとして見たい人の気持ちがひしひしと伝わってきます。
    2年前も管理人さんのように思った方がたくさんいましたし。
    私も当時は思っていました。けいおんぽいなとか、花田脚本がとか。
    管理人さんには余計な情報を入れずにこのスタンスで見続けてほしいです。

    • ご理解いただき、どうもありがとうございます。自分が感じた思いは正直に伝えるというスタンスを曲げることなく、意見が異なる人にご覧になっていただいても不快感を与えないような感想を、可能な限り心掛けていきたいと思います。

      >私も当時は思っていました。けいおんぽいなとか、花田脚本がとか
      けいおん!も2期以降は不満の方が増えてきたぐらいだったので、けいおん!のエピゴーネンに近いラブライブ!は、相性の面で良いとは言えなさそうですね…。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。