進撃の巨人第21話「鉄槌 ―第57回壁外調査 (5)―」雑感

勇敢に巨人に立ち向かったリヴァイ班がよもやの全滅。ぶっちゃけ、エルドは死ぬかな~って思っていたんですよ。ペトラももしかしたら…という思いがありました。死んで欲しくはなかったですけど、主要キャラを失う愁嘆場は物語の展開上避けられないことですので、ある程度の覚悟はしていたつもりです。

それでも…、それでも…、オルオが死ぬという可能性は1ミリも想定していなかったっっ!! ていうか、今でもまだ信じられませんよっ。本当に彼は死んでしまったの…? 虫の息なだけで、一命は取り留めていますよね!? オルオのような愛すべきキャラクターが、こんな簡単に死んでしまうだなんて余は信じぬ! 信じたくない! オオオオ…

エルド・ペトラ・オルオが続けて鏖殺された事実は正気を失うほどにショック。彼らがこんなにも“あっけなく死んでいった”ことに呆然としてしまって…。漫画の主要キャラが死ぬときは、事切れる前に何かを言い残してから逝くのが通例だというのに、彼らは臨終の一言という「退職金」すら与えられることなく、拍子抜けなほどあっけなく舞台から退場させられてしまった

この「物言わぬ死」は逆に死の持つ根源的な喪失感の演出となっていて、心に深く突き刺さる悲しみとなりました。死の間際、息も絶え絶えに遺言を残して感動的な死の演出を施す作品は多いですが、それより今回のように「最期に何も言葉を交わせないまま逝く」方が、残された側としては悲劇。本来、主要キャラこそ無言で死ぬべきなんですよ。

女型の巨人と巨人化したエレンの巨人決戦は超ドレッドノート級の大迫力。大好きなオルオの生死ばかりが気になって、イマイチ画面に集中し切れていなかったところはありますけど、このスピード感溢れる作画と大胆なカメラワークで見るものを圧倒するダイナミックなアクションシーンはすごすぎました。

「俺が…選択を間違えたから…」
「俺が…仲間を信じたいと思ったから…みんな死んだ!!」
「俺が最初から自分を信じて戦っていれば! 最初からこいつをぶっ殺しておけば…!!」

このエレンの後悔のセリフも重たい…。通常の少年漫画であれば「仲間を信じる」という選択が絶対に正解であるはず。それが今回は結果的に仲間を信じたことが裏目に出てしまった…。現実は往々にして最善の選択が正しい選択にならないことがありますけど、フィクション作品で「仲間を信じたことは過ちだった」という話をやれるとはなぁ。

あのときリヴァイが「やりたきゃやれ」とエレンに選択を委ねたのは、エレンが自分たちを信頼しているかどうかを試していたのではなく、単純に彼にも本当の正解がわからなかっただけなんですねぇ。百戦錬磨のリヴァイですら、巨人と戦う上で何がベストな選択なのかわからないというところに深い絶望感があります。

仲間たちを殺された怒りを爆発させたエレンは、そのまま女型の巨人を追い詰めてぶっ倒してしまうものだと何も疑わずに思い込んで見ていたら、逆に反撃を食らい、顔面引き裂かれて逆転負けを喫してしまったので「え!?」という思い。

巨人化したエレンに1人で全部解決されてしまうのは萎えるので、私としてはエレンが返り討ちに遭ってくれたのは喜ばしかったのですけど(ひどい)、冷静に考えるとこれってすごい脚本ですよね~。だって、クリリンが死んでスーパーサイヤ人になった悟空がフリーザにボコボコにされたようなもんでしょ?

仲間の死にブチギレた主人公が覚醒して強敵を打ち倒すという黄金パターンは、少年誌の長き歴史で永々培われてきた脅かされざる聖域であるというのに、そのアンタッチャブルに構わず手を突っ込んだ作者は本当にすごい!

仲間の無言の死。仲間を信じて裏目。仲間の仇討ちが返り討ち。そのいずれもが私にとって予想外の出来事であり、思惑を大きく裏切ってくれる秀逸な脚本に驚嘆いたしました。20代半ばでこのような作品を生み出せる作者の諫山創さんに対し、改めて最大限の敬意を表したくなりましたね~。

あぁ…。でもリヴァイ班全滅(の可能性)はやっぱりダメージでかすぎる…。オルオとペトラのコンビ技が炸裂したときはあんなに胸躍っていたのに、直後こんな悲劇に見舞われようとは…。合掌。

★今週のミカサ・アッカーマン★

エレンが巨人に食べられる(2度目)ところを目の当たりにして茫然自失のミカサでしたが、落ち込むより先にすぐ殺戮モードに気持ちを切り替えられるところが好き

「どこにいたって、その女殺して、身体中かっさばいて、その汚いところから……出してあげるから」
「ごめんね、エレン…。もう少しだけ……待ってて」

ミカサを見ているとすごく息が荒くなって動悸も激しくなるんですけど、それが恋心なのか恐怖心なのか自分でも区別が付きません(笑)

進撃の巨人 8 (初回特典:フルカラーイラスト集(48P)) [Blu-ray]

販売元:ポニーキャニオン( 2014-02-19 )

定価:¥ 8,100 ( 中古価格 ¥ 1,214 より )

Amazon価格:¥ 3,500

時間:69 分

1 枚組 ( Blu-ray )


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
この記事のトラックバックURL
  1. 【アニメ】 進撃の巨人 第21話 「鉄槌 -第57回壁外調査5-」 感想

     
    どこにいたって その女殺して体中掻っ捌いて・・・
    その汚い所から出してあげるから・・・
    ごめんねエレン・・・
    もう少しだけ・・・待ってて・・・・

    これはあかん

    進撃…

  2. 『進撃の巨人』 21話 鉄槌

    突如現れた謎の兵士。仲間を殺したその兵士は女巨人へと変化しますが、これは絶望的でしょ…w

  3. 進撃の巨人 第21話 『鉄槌-第57回壁外調査5-』 エレンの生家に行くという目的は結局ダミーだったのか。

    敵を欺くにはまず味方から?女型巨人の捕獲に趣旨が変わってたけど、これってスパイ対策だったんだろうか。そして巨人の捕獲にも失敗、撤退と相成ったわけです。やることなす事上…

  1. ここらへんは本当、凄く面白いですよね!
    悉く王道は外してるんですけど、進撃の中ではこの壁外調査が
    一番王道的に面白い部分かなって思います。
    前にリヴァイが好き~って話をしましたが、
    この辺になると単にかっこいい、強いキャラってだけでなく
    ちゃんとキャラに深みが出てくるので面白い。
    兵士長という立場でも何が正解かなんてわからない、
    一寸先は闇の中で皆を率いなきゃいけない対巨人戦。

    しかしこれ、原作だと壁外調査に3巻も費やしてるんですけど、
    それだけやって「我々は、何の成果も!得られませんでした!!」をやるとは・・・(苦笑)。
    リヴァイも〇〇して〇〇〇〇になるし。
    前進どころか大きく後退した感じ。
    これからどうなっていくんでしょうか!

  2. 浅生さんの希望を断ち切って悪いですがオルオはここで死去してます。
    自分はペトラ派なんでそっちがきつかったですがペトラが死んだ後巨人に斬りかかったオルオは純粋にかっけぇと思いました。
    もっと生きててもらいたかったです。

  3.  ユキさん
    確かに次々と想定を打ち破るような衝撃展開の連続ですが、無理に奇を衒って天の邪鬼な展開を目指しているわけでもない。ただ、通常の少年誌的お約束では計れないシナリオなので、次に何が起こり得るか予測が付かない驚きがあるんですね。本当に感心しきりです。

    壁外遠征はちゃんと人類VS巨人で推移しているので見応え充分。エレンが巨人化してしまいましたけど、無敵の強さではないという指摘はよく理解できました(笑) 普通なら絶対勝てるシチュエーションで無様に返り討ちを食らってしまうエレンがカワイイ。

    >(リヴァイ)強いキャラってだけでなくちゃんとキャラに深みが出てくる
    ストーリーが進むにつれ、リヴァイが人気キャラたる所以を噛み締めることができますね。

    自分だって正しい道なんかわかりゃしないのに、兵長として部下たちに道を指し示さなくてはならないんですから、本当に大変な立場だと思いますよ…。

     神楽坂さん
    そうですか…。まぁ、地面に倒れてぴくりとも動かなかったので存命を願う希望も微かなものでしたけど…。

    オルオはやっぱりペトラのことが好きだったんでしょうか。オルオがリヴァイの真似をしていたのは、リヴァイに憧れていたというより、リヴァイに思慕していたペトラを愛していたからのような気がします。自分もペトラの憧れられる男になりたいと。そんな健気なオルオを妄想すると、ますます切なくなってきますが…。

  4. エレンが今できることって「理性を持ったまま巨人化して格闘術が使える」だけですからね(笑)頭がよくて機転が利くタイプでもなく、作中でも言ってるように巨人化の練度も低いので女型みたいな練度の高い強力な敵に対しては無力なままという(笑)。そういう意味でもアルミンみたいな弱点に気づいて指示を出す軍師やリヴァイやミカサなどのエレンをサポートする強力な兵士とが必要になってくるわけです。

    浅生さんも絶賛されてる巨人戦のダイナミックな迫力ある戦いは諫山先生の「ウルトラマンが総合格闘技をやるところが描きたい」という念願がようやくかなった形になるので漫画でも今相当イキイキしながら描いてるんだろうな~って思えるくらい迫力ある絵柄になってますよ!

  5. >仲間の死にブチギレた主人公が覚醒して強敵を打ち倒すという黄金パターンは、少年誌
    >の長き歴史で永々培われてきた脅かされざる聖域であるというのに、そのアンタッチャブ
    >ルに構わず手を突っ込んだ作者は本当にすごい!

    お久しぶりにコメントさせていただきます。浅生さんは場面の裏にある心情を汲み取って語る文章が本当に上手です。上記の黄金パターンをぶち破るというのは確かにそうだなーと納得してしまいました。
    進撃の巨人アニメは、OP、ストーリー、アクションとどれも凄いなあと毎週思うのですが、個人的な思い入れは背景美術です。血のこびりついた草や木、森の中に生い茂る木々などいつも惚れ惚れしています。

    これからも感想が上がったときは楽しく読ませていただきます。

  6.  smatさん
    大量の兵を犠牲に払いながら、それでも仕留めることができなかった女型の巨人を、エレンがチョット巨人に変身しただけで簡単にやっつけてしまったらやっぱり興醒め。じゃあ、他の調査兵団なんていらないじゃん。もう今度からエレン1人で戦いないよって気持ちになってしまいますから、“エレンが割と無力な存在”なのは嬉しいんですよね~。

    これからもエレンの巨人化はあくまで人類の武器の1つに留めてもらって、人類VS巨人の構図を崩さないで欲しい。最後まで「個」ではなく「軍」で戦う展開を望んでいますよ。

    >ウルトラマンが総合格闘技をやるところが描きたい
    作者は総合格闘技がかなりお好きみたいですね。巨人同士の戦いにその要素が如実に見て取れますが、作品全体にもスポーツの精神が下地にあると思う。他のバトル漫画と比べると、ファンタジー的な嘘やご都合主義が非常に少ないですから~。

     アーグさん
    わ、お褒めいただいてどうもありがとうございます~。

    バトル漫画の多くは、主人公だけが特別、主人公だけはいつも正論といった感じで、主人公中心的な傾向が非常に目立つんですけど、進撃の巨人は主人公エレンもあくまで登場人物の1人に過ぎず、ある意味突き放した描写であるところが好きです。

    だから主人公補正のようなものが(今のところ)存在しないんですね。これからはエレンのような主人公が新時代の主人公像になって欲しい。

    >血のこびりついた草や木、森の中に生い茂る木々などいつも惚れ惚れ
    私も同感です。壁外遠征に出てから空・平原・木々といった自然の美しさが実に印象深い。残酷な世界でありながら、美しい自然に彩られているギャップが何ともいえぬ気持ちにさせてくれますよ。