進撃の巨人第8話「心臓の鼓動が聞こえる -トロスト区攻防戦(4)-」雑感

「ワンダと巨像」が「ワンダも巨像」だったというオチ。小さな人間が巨大な生物に勇敢に立ち向かっていくのが爽快なゲームなのに、自らも巨大生物になってしまってはもはや別ゲーじゃないですか。あれだけ巨人を憎んでいたエレンが実は巨人だったなんて、忌憚なく言わせてもらえれば、すっげーつまんない展開ですよ。

こんな風に巨人が巨人を倒したところで何も爽快感なんて生まれないと思うんですけどねぇ。アンチジャイアンツファンが、巨人と巨人の紅白戦を観て楽しいですか? 石仮面で吸血鬼になったディオに勝つため、ジョナサンも同じように石仮面で吸血鬼になって対抗したら白けるだけでしょ? やっぱりそこは人間として勝利しなきゃ意味なくないですか??

今後ピンチに陥るたび、エレンが巨人になって戦うようになったら興醒めってレベルじゃない。これじゃあ、せっかくの立体機動アクションも霞んじゃうんじゃないかと今後が心配。

巨人=エレンだったことに対する不満は止まる所を知らない私ですが、その直前の戦いはまさに手に汗握る興奮があったというか、これまでの話の中でも最も燃えたシーンだったんですよね~。

ガス補給室を占拠する巨人を駆逐するために、アルミンが発案した作戦。まず数人の兵士たちがリフトで降下して、中央で囮役となる。通常種の巨人は目の前の人間に襲いかかる習性があるため、注意を充分引き付けた上で構えた散弾銃を一斉掃射。一時的に巨人の視界を奪うと、その隙に上方で待機していた精鋭7人が背後から飛びかかり、一撃で巨人たちを仕留めにかかる!

互いの呼吸が完璧に合わさって初めて成功する高度な作戦は、途中まで理想的に推移していていましたが、コニーとサシャが巨人を仕留め損なったことで、一転して絶体絶命の窮地。

しかし、そこはすかさずミカサとアニの2人がカバーしてくれた! 仲間が仲間を信頼しあって戦い、仲間のミスは仲間がカバーする。まさにチームワークで掴んだこの勝利は格別の味ですよ! こういう戦いこそ、私が進撃の巨人に求めていた戦いなんです!!

自分の指示によって仲間が大勢死んでいったことに罪悪感を抱えるジャン。そんな彼に対してマルコは励ましの言葉を口にする。

「ジャンは強い人ではないから…。弱い人の気持ちが理解できる」
「それでいて現状を正しく認識することに長けているから、今何をすべきか明確にわかるだろ?」
「ジャンの指示は正しかった。だから僕は跳べたし、こうして生きている」

マルコは良いこと言いますね~。確かにリーダーというのは、必ずしも強者であることが前提条件ではなく、弱者であることも資質となり得る。エレンほど血気盛んだと周囲が見えなくなりますし、ジャンのように臆病だからこそ慎重さと視野も広さが身に付くんですよ。まだまだ未熟な面は多々あるものの、将来は理想の指揮官として成長していくんじゃないでしょうか。

「普通に考えれば簡単にわかる。こんなでけぇヤツには勝てねぇってことぐらい…」

このセリフとカットは、原作でもものすごく印象に残っていました。“でかい奴には敵わない”という単純明快だからこその絶望感。ジャンは率直であるがゆえに、そういった視聴者の共感を生みやすいキャラクター。今ジャンが作中で最も好きなキャラクターに登り詰めようとしている。

こんなに面白くて見どころのある作品なのに、エレンが巨人になってしまったことはつくづく残念…。

余談ですが、エヴァンゲリオン初号機のような巨人の正体がエレンだったので、「これじゃあエレンゲリオンだよ!」と感想内でツッコミを入れるつもりでした。「エレンゲリオン」は我ながら上手いこと思いついたなと自画自賛していたんですけど、検索してみたら既に同ネタ多数。みんな思いつくことは一緒なのね…(笑)

★今週のミカサ・アッカーマン★

エレンの生存を確認して、わんわん子供のように泣き出したミカサの姿は可愛かったです。……けど、ここであっさりエレンが生きていた展開もどうなんでしょうね? エレン=巨人という衝撃が大きすぎるせいでスルーされがちですが、このご都合展開も結構ひどい。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 来ましたねー、原作でも読者を二分した展開が。
    浅生さんは進撃の巨人を二巻まで読んだと、以前にどこかで書かれていたおぼろげな記憶があるのですが、そうするとちょうどここまでになりますよね。
    私はエレンが巨人化することは事前に知っていて原作に入ったので特に感想なくそのまま読み進めましたが、やはり知らないで読んでいた人はここで冷めてしまった人はかなり多いようで……。アニメもたぶんそうなるんでしょうねぇ。

    エレン=巨人化ですが、今週のジャンや今後の登場人物もチラホラ口にする「普通に考えて勝てるわけない」ってのはそりゃその通りだろって話なので、(世界全体で見て)巨人に勝つためのストーリーとしてはある意味当然かなと私は思いました。
    ミカサや極一部のスーパーエリートが局所的に巨人を圧倒したところで、それ以外は初陣でトーマスたちのようになっても何も不思議はない世界ですしね。
    ストーリーとは別ですが、作者が「ウルトラマンをやりたかった」と言っていたり、格闘技が好きだという話を聞いたら納得したというのもあります。
    あと、ネタバレになるので詳しくは書けませんが、たぶん浅生さんが心配されているような展開にはあまりならないんじゃないかなー、と思います。

    あ、でも最後のエレン生還、そんなに変でしたか?
    よくご都合主義と言われる「主人公がどんな状況からでも生還する」というのは、基本的に物語って「主人公だから絶対に生き残る」のではなく「最後まで生き残った一人に焦点を当てたお話だから絶対に生き残る」だと思うので、銃弾の雨霰が何故かまったく当たらないとかでなければご都合とは言えないかなと思うのです。
    もう少し遡って、エレンを瀕死にさせて覚醒させるということ自体は確かに作者のご都合と言えるかもしれませんけど、ああでもそれ言い出したら……なんだか果てしない論になってしまいそうです。ここら辺でやめておきます。

    長々と、しかも批判的な内容になってしまいましたが、通して「こう考えると不満が緩和されるかも」という気持ちで書いていますので、なんというかその、ご参考までに。

  2. エヴァの様に、ピンチの度にエレンゲリオン無双って展開だと思わせておいて実は・・・
    って言うのがこの漫画が凄い!!って所だと思います。
    二巻で読むのやめたという意見があちこちで聞かれますが、この先の予想を裏切る希望と絶望の波状攻撃への反応を楽しみにしています。

  3. 浅生さんはちょっとご自身の見解でこの先の展開を決めつけすぎちゃってる気がします。
    こうなるに決まってるじゃないかーというお言葉を見るたびに、いや、今原作は…とネタバレしそうに。
    もう今回の時点でもエレンが巨人化しても圧倒的な戦力になるのではなく、作戦の幅が広がる程度の力しかないのはお分かりいただけると思います。
    ちなみに格闘技好きの私には今回のエレン無双は、ジャンの目前でのスローモーションあたりから鳥肌立ちっぱなし。
    やっぱこの展開は面白いなあ、という人も最新刊が変わらず売れ続けていることからいっぱいいるんじゃないかと思います。

    まあ、あまり考えすぎずミカサに見とれながら見続ければ、ご期待に沿う展開も待っているかもしれませんよ?
    それにしても今回のミカサは可愛かった…。
    原作の地味美人なミカサもいいですけどアニメの女の子らしさが強調されたミカサもいいものです。

  4.  イノウエさん
    仰る通りで、私は今週放送分のコミックス第2巻で購読を中断(断念?)しました。次週以降はまったく未知のゾーン。

    今更ガタガタ言ってもエレンが巨人になった事実は変えられませんので、この設定を今後どのように活かしていくのか、今までとは違った目線で進撃の巨人を楽しみたいと思います。

    >「普通に考えて勝てるわけない」ってのはそりゃその通りだろって話
    現時点の人類の力で巨人に勝てるとは思っていません。いくらミカサのような戦士がいようと、アルミンのような策士がいようと、それだけで人類が巨人を駆逐できるとは到底思えませんから。

    しかし、彼らが巨人との戦いを繰り返すことで人類は巨人の生態を知り、その特性や弱点を研究していけるはず。エレンの世代が巨人に勝てなくてもいいんです。その知識と経験を次の世代へと繋げてもらえればいい。人類の文明が今より進めば、立体起動装置もパワーアップできるでしょうし、まったく新しい対巨人用必殺兵器が開発されるかもしれない。どれだけ時間を費やすことになろうとも、最後には人類の力で巨人に打ち勝つときがやってくる。私はそういう未来を思い描いていたんですね~。

    >作者が「ウルトラマンをやりたかった」と言っていた
    な、なるほど。そっち方面に行かれてしまうとチョット今後厳しいかな…? 訓練兵の仲間たちがウルトラ警備隊程度の存在だと思うと寂しい…。

    >最後のエレン生還、そんなに変でしたか?
    どう考えてもエレンは巨人に食われて死んでいましたので、なんで普通に生きているのかな~という純粋な疑問。来週ぐらいにエレンが生き延びた明確な理由が語られるんですかね? それにただ生きていただけならともかく、ちぎれた手足まで再生して元通りだったところにご都合主義的な匂いを感じずにいられなくて…。その辺もちゃんと納得の説明があればいいのですが。

    >「こう考えると不満が緩和されるかも」という気持ちで書いています
    ありがとうございます。感情的にならず理性的に反論されるのは大好きですので、どうぞお気遣いなく。私も別にこの作品が嫌いになったわけではないですよ。

     ゲストさん
    いろいろぶつくさ申しましたが、原作でエレンが巨人化する展開を知った上でこうやったアニメを見続けているのは、その先の展開に期待感を持っているから。私のマイナス予想を裏切る展開が待っているなら大歓迎ですよ! それで満足したら、コミックスも続きを買い足していこう~。

     yukiさん
    す、すいません。「どうせ○○なんでしょ?」と先入観で決めつけて、それが裏切られたときが何ともいえぬ快感なので、ついつい物事にフラグを立ててしまうんです。私が「どうせ○○なんでしょ?」と発言してるときは、「お願い! そうならないでくれ!」という心の叫びなのです。素直になれない系なのです。

    >今回のミカサは可愛かった
    エレンが死んだと聞かされても、悲しみを押し殺してずっと気丈に振る舞っていたミカサが、エレンの生存を知って思わず感情を溢れ出させたシーンは感動的でした。

    ミカサは本当に魅力的なヒロインですね。何やら腹筋がバキバキらしいですが、私は全然ありなんで、これからも末永く愛でていきたいと思います。

  5. 浅生さん

    >エレンの世代が巨人に勝てなくてもいい
    なるほど。たしかにそういう視点で見ていたなら巨人化のくだりはいかにも興醒めな展開だったでしょうね……。
    けれども壁を破壊して巨人を侵入させてくる超大型巨人と鎧の巨人が出現したところから物語が始まっていますから、100年平穏だったけど人類はもう悠長に構えていられなくなったというストーリー展開なので、そういう方向性は最初から難しかったと思います。
    またそれならなぜ次の襲撃まで5年もの間隔が空いたのか? という当然の疑問は、現在原作でもようやくそろそろそれが解かれそうかな、という段階です(笑)

    >ウルトラ警備隊
    エレンの同期がただの噛ませになったりすることはありませんのでご心配なく!

    >エレンが生き延びた明確な理由
    ああ、なるほど。確かに言われてみればその通りです。私は不思議な部分が出てくると「何かしら理由があってそうなったのだろう」とその場は保留にして先に進む(そして最後まで不明なままだったら突っ込む)タイプなので、考えが及びませんでした。マンガ単行本だとそのままパッパ読み進められますけど、アニメの放送じゃそうもいきませんもんね……申し訳ないです。
    実際、エレンがパックンチョされたあとにどうなったのかはすぐにエレンの視点で描かれていましたし、予告を見る限りアニメでも来週で消化されると思います。
    手足の再生に関しては……原作でもまだ明確にはされていないのでなんとも言えませんが、たぶん巨人の体が再生するのと同じ理由かと。つまり「今の人類側の知識では原理不明」ということでひとつ。

    ネタバレにならないように疑問を解消するのはヒヤヒヤで怖いです……(笑)
    世界観としての謎が多いので、今後も疑問に思われる点が出てきたらひとまずは「まああとで説明されるだろ」というスタンスで視聴を続けられるとよいのでは、と思います。
    少し関係ない話になってしまうのですが、ご都合と言えば、立体起動装置のブラックボックスや、ブレードの素材になっている特殊な竹の存在なんかはものすごいご都合だなぁと私は感じます。ネガティヴなものではありませんが。

  6. 原作者が着想の1つに上げているウルトラマンをやりたかったっていうのはウルトラマンみたいにヒーローが活躍して仲間がさすがはウルトラマンだ!って言う展開がやりたかったってだけじゃなくて(特撮好きらしいのでそれももちろんあると思いますが)巨大なサイズのキャラが格闘術を使ってダイナミックに戦うっていうのを描きたかったっていうのがあるらしいです。

    実際浅生さんのように軍記物として進撃の巨人を見ていて何世代にも渡って戦い続けた結果巨人に勝つ!ってストーリーだと思って楽しみにされていた方にはかなり不満の残る展開だと思います。僕もある程度巻数が進んでから読みだしてある程度の展開を知っていたので原作者のやりたいだろうことがわかってたから全く反発しなかったってのが大きいですし。
    でもみなさんがおっしゃっているようにこの作品は予想を裏切る展開が多いので楽しみにしていていいと思いますよ!少なくともエレンが無双し続けて同期?アイツらは置いてきたよ…これからの戦いにはついてこれそうにないってどこぞのDBみたいな展開にはなりませんのでそこは大丈夫です!

  7.  イノウエさん
    エレンの巨人化に萎えたことだけが見限った原因ではなく、その後の展開をいろいろ耳にするつれ、気持ちが薄れていったのが真相ですね。何やら超大型巨人が○○○とか鎧の巨人が○○○とからしいですし…。そういう話を聞いてしまうと、やっぱり自分が求めていたものとは違うな~と思ってしまって。

    >「今の人類側の知識では原理不明」ということでひとつ
    バトルの勝敗や恋愛の行方といった根幹部分でご都合主義が炸裂すると最悪ですが、エレンの手足が戻ったことぐらいなら別にぶつくさ言いませんよ(言ってるじゃねーか!)。

    大筋さえしっかりしていて面白ければ、小さな矛盾なんて気にならなくなるもの。ジョジョなんかがまさにそうでしたね。多少ツッコミどころを残しておくぐらいの“キッチリしすぎていない感”がある方が楽しく見れたりもします。

    何でもかんでも理路整然と設定を突き詰める必要はないので、作者は枝葉末節の小さな辻褄合わせに躍起になる必要はなく、もっとスペクタクルな展開を考えていれば宜しい。ただ、そっちに不満があるときは、小さな矛盾を取りあげてネチネチ文句が出てしまうんですが!

    >ネタバレにならないように疑問を解消するのはヒヤヒヤで怖い
    そんなに気を遣っていただいてありがとうございます。でも前述のようにネットやっているとあちこちで進撃の巨人のネタバレに出くわしますので、今更って感じもしますね(笑) 一応、感想は知らない体で書いて行きますが~。

    >ヒーローが活躍して仲間がさすがはウルトラマンだ!って言う展開
    自分だけが特別で、自分の力だけで多数相手の戦争に勝ってしまうのが一番苦手なので、そうじゃないなら少し安心ですよ。人気ゲームの無双シリーズとか、私の哲学と正反対すぎてやる気も起きません!

     ゲストさん
    進撃の巨人コミックス最新刊の売り上げが半端ない勢いらしいので、それは3巻以降の展開もちゃんと見どころはあるという証明ですよね。

    とりあえず、1番人気として名高いリヴァイが来週のアニメに出てくるみたいなので期待。ちっちゃいのはあんまり好きじゃないんですけど。

    >アイツらは置いてきたよ…これからの戦いにはついてこれそうにない
    良かった…。チャオズはいなかったんだ。

    原作漫画ではエレン・ミカサ・アルミン以外のキャラは然程注目していなかった(というかキャラの見分けが付いていなかった)んですが、アニメではウォール・ローゼ襲撃前に訓練シーンを挟んでくれたおかげか、仲間たちにものすごく感情移入できるようになりました。

    今では、ジャン・ライナー・アニの3人が特にお気に入り。あ、勿論サシャも。だからエレンやミカサだけでなく仲間たちの活躍をもっともっと見たいのです。彼らが巨人VS巨人の戦いを傍らで見守るだけの実況要員になられたらつまらないことこの上ない。