進撃の巨人第1話「二千年後の君へ -シガンシナ陥落(1)-」雑感

うずたかくそびえ立つ城壁は、巨人の侵攻を食い止める人類のマジノ線。その内側で巨人に脅かされない仮初めの日常を謳歌していた人々だったが、突如姿を見せた60m級の大巨人の出現によって、100年の平穏は脆くも崩れ去る

冒頭の入りは、東日本大震災での原発事故を彷彿とさせますよね。安全だと信じ込まされていたものが“想定外”の事態によって壊滅的被害に見舞われる。この作品が描かれたのは震災以前ですので、そういう意味では先見の明があった漫画です。

進撃の巨人で特筆すべき点は、何と言っても巨人の恐ろしさ。漫画に出てくる悪魔や怪物の類に恐怖を感じたことなんて一度もないのに、何故かこの巨人という存在に対しては異様に粟立ってしまう。“でかさ=強さ”というシンプルであるがゆえに実感しやすい恐怖。潜在的に人間が持つ、自分より巨大なものへの畏怖が呼び覚まされるのです。

糅てて加えて、生理的嫌悪感を催すその醜い容姿。気色悪い中年オヤジのような全裸の巨人たちに、無辜の民が次々捕食されていく地獄絵図は見るに堪えません。まさにこれは人類への陵辱そのもの。キモイ変態オヤジどもが逃げ惑う少女を捕まえ、片っ端から犯している陵辱エロゲと性質は一緒ですよ。そういうのに興奮する人はいいんでしょうけど、私は吐き気しかしないんでね…。だから、原作漫画は2巻でギブアップしちゃったわけですが(もう1つ決定的な理由がありますけど)。

荒削りで若干見辛い絵も原作の欠点の1つとなっていましたが、その点はアニメで解消。抜群の作画力によって、原作の短所が逆に長所にひっくり返っています。どの1カットを切り取っても美しく、背景街並みの描き込みの精緻さたるや溜息が漏れるほど。豊富な動画枚数と巧みなCGの使い方でキネティックな迫力も備えていて、非常にクォリティが高い。

OPでの超絶アニメーションを見せられると、否が応でも今後のバトルシーンへの期待感が高まりますよ~! 四方に展開する兵士たちが街を屋根伝いを駆け抜け、素早く巨人の背後へと回り込むと、中空から剣を振りかぶり、弱点である頸椎を全力で叩き斬る! この一連のアクションは最高に格好良くて全身鳥肌! 立体機動アクションこそ進撃の巨人の最大の見せ場だと思っていますので、本編でも是非こういったシーンをたくさん見せて欲しい!

まぁ、ストーリー全体で見ると、そんな心躍る爽快なシーンはほんの一部であって、大半は陰鬱で陰惨なシーンなんですけどね…。第1話から早速トラウマレベルの愁嘆場が放り込まれましたし。

瓦礫に挟まり身動き取れない母親を必死に救出しようするエレンとミカサに対し、母親は自分を見捨てて早く逃げろと叫ぶ。

「どうしていつも母さんの言うこと聞かないの!」
「最期くらい言うこと聞いてよ!!」

聞き分けのない子を叱る母の常套句ですが、この場面でこのセリフはキツすぎる…。自分を見捨てろなんて母の言いつけに従えるわけがありませんよっ。

途中助けに駆けつけたハンネスは、苦渋の選択で母親を見殺しにして子供たちだけを逃がすことを決断。母親は子供たちの無事を祈りながら、その影が見えなくなった頃に「行かないで…」って呟くんですよね…。口を手で塞ぎながら必死に押し殺そうとした本音が超泣ける…。

直後、巨人に発見された母親は、子供たちの目の前で捻り潰され、むしゃむしゃと食べられる無惨。うわぁ…。何なのこのアニメ…。引くわぁ…。もうヤダー。

第1話からごっそり精神を抉られた私は、果たして第2話以降も感想書き続ける気力があるんでしょうか。原作同様、心が折れてギブアップしてしまわないか心配です。とりあえず、開幕からの巨人の快進撃でも見て気分を晴らそう。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)

著者/訳者:諫山 創

出版社:講談社( 2010-03-17 )

定価:

Amazon価格:¥ 440

コミック ( 192 ページ )

ISBN-10 : 4063842762

ISBN-13 : 9784063842760


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 進撃の巨人第1話『調査兵団に憧れるエレン・イェーガー!!』感想

    「人類の力を思い知れ!!」そうして立体機動装置を使って縦横無尽に飛び交います!かっこいい!!作者の初連載作品ではあるが、『オトナファミ』(エンターブレイン)2010 August号の…

  1. 作中の人間たちの絶望感はリアルでジャイアンツに蹂躙された私達ドラゴンズファンのそれに似る。

    それはさておき、つかみの第一話としてはかなり良かったですね。
    キモい巨人、かっこいい立体起動。かわいいミカサ。絵はアニメの方が断然いいですね。よく動いてるし。
    今後もこのクオリティを維持できたら良いのですが・・・。ムリっぽいかな。
    私も原作は2巻の中盤までがピークでした。エレンがあーなって以降の展開が好きじゃないです。巨人という絶望には人間として立ち向かって欲しかった。
    エレンがFAしない話ならば、普段忌み嫌うアニメオリジナル展開でも許せます。むしろそーして!

    あと全然関係ない話なんですが、「オレは少女漫画家」のPC版が発売されましたね。
    あれ? たしか逆移植しない宣言に対して浅生さんがおっきな文字で謝っていたような・・・
    18禁じゃないからセーフなのかな。(パンツ成分は増量されてましたが)

  2. 巨人になす術もなく蹂躙される無力感が少しでもわかっていただけたのなら幸いです。
    …というコメントを用意していたのですが、ちゃっかり今日は勝ってしまいました。3連敗も覚悟していましたが…ノウミサンアイシテル。
    でもこれで3連勝できるなんて浮かれていません。こうやって淡い期待を持たせておいてまた蹂躙するつもりなのでしょう!?「やったか…!?」みたいな感じで。

    進撃の巨人は有名な作品ですし、「グロい・怖い・悲しい」と私が苦手な要素がてんこもりだと聞き及んでいたので、完全にスルーするつもりだったのですが…なんと言いますか、ちょっとした怖いもの見たさで、軽い気持ちで1話を見てしまいました。
    そして後悔しました。身の程を知りました。

    というか、悲惨だとは聞いていましたが、一話からあんな最大級に残酷なシーンが出てくるのは流石に覚悟していませんでしたよ。ひど過ぎです。
    ただアニメとしては凄く出来が良いと思ったのが正直な感想です。よく動いていましたし、見ていて本気で気持ち悪くて恐ろしくて絶望的になりましたので。人気の理由もうなずけます。
    問題はこの先見続けるかどうかですが…迷います。ここで見るのをやめてしまったら、母親が悲惨な死に方をしたという最悪な記憶だけが残りますし、アクションシーンも非常に気になるのですが、これからも悲惨なシーンが続くという話も聞きますので…
    近いうちに浅生さんの感想だけ見る感じになりそうです。

  3.  ヒンメルさん
    さすがに今年のジャイアンツは優勝して当たり前の戦力なので、勝ってもあんまり嬉しくないんですよねー。いっそ勝率7割で優勝するぐらいぶっちぎって欲しい(フラグ)。

    >エレンがあーなって以降の展開が好きじゃない
    ですよねー(笑) やっぱりみんな、あそこで「思てたんと違う!」になっちゃったんじゃないでしょうか。絶望的な巨人の脅威に対して、無力な人間がどう立ち向かうのか。絶対そこが見どころだったはずなんですよ。

    仲間がリフトから巨人の注意を集めて、その隙に仲間たちが背後から奇襲するとか、こういう感じの戦いをたくさん見たかったのになぁ…。まともに戦っても適わない相手だからこそ、緻密な作戦を立てて、仲間を信頼してチームで戦う。それこそが巨人に対抗しうる人類の強さなのに。

    >(オレは少女漫画家)逆移植しない宣言に対して浅生さんがおっきな文字で謝っていた
    これですか。よく憶えていましたね(笑) まったく、あれだけハッキリ逆移植はないと明言していたのに、誤り損じゃないですか! 私の安くない謝罪を返せ~。

     カズさん
    勝ってもあんまり嬉しくないのに、負けると少しイラッとする。巨人ファンは幸せになれないなぁ…。

    よって、今年の私は横浜DeNAファンですよっ。負けてもしゃーない、勝てばハッピー。今週土曜日はパウンだーさんと一緒に甲子園でDeNAと阪神の一戦を観に行きますしね! 頑張れベイスターズ!

    いずれカズさんとも東京ドームか甲子園で野球観戦行ってみたいものですね~。土曜日はパウンだーさんと観戦するので横浜ファンになりますが、カズさんと一緒に行くなら阪神ファンになります(笑) でも実際、横浜も阪神も好きなんですよ。

    >一話からあんな最大級に残酷なシーンが出てくるのは流石に覚悟していませんでした
    悪者に親を殺され、復讐に燃え立ち上がる主人公! というのは1話としてありがちなプロットなのに、この作品の憂鬱っぷりは凄まじい。復讐に燃えるどころか、いきなり心がボキボキに折れてしまう絶望感。

    でもこれだけ恐怖感や絶望感を植え付けられる敵だからこそ、成敗したときの快感は格別。やっぱり悪者はこうでなくちゃ。漫画やゲームの悪者は、“実はいい奴”みたいな好敵手が増えすぎました。

    >問題はこの先見続けるかどうかですが…迷います
    2巻で投げてしまった私が言うのものなんですが、もう少しお付き合いいただきたいですね。まだまだショッキングな展開は続きますが、ここから先の展開は超面白いです。むしろ進撃の巨人の全盛期なのかもしれません。エレンがああなってしまう前がね。