クズの本懐第1話「望み叶え給え」雑感

うひゃあ、これまためっちゃ好き嫌いが分かれそうな(笑) 理解できない人は、1点もあげられないぐらいのクズアニメだと思います! しかし、私にとってはゾクゾクするほど甘美なラブコメで、完全に急所刺さりまくりでした。お互い別に本命がいる同士の仮初めの恋人関係、“掛け替えのある恋人”というフレーズにセンスを感じずにいられない!

掻い摘まんで設定を説明しますと、ヒロイン(主人公)の安楽岡花火(やすらおかはなび)は、昔馴染みで今は担任教師でもある鐘井鳴海(かないなるみ)に懸想しているが、鐘井は同僚の皆川茜に想いを寄せていた。また花火の同級生粟屋麦(あわやむぎ)も同様に茜を片想いしており、同じ境遇にある花火と麦は次第に親密になっていくと、互いを慰め合う疑似恋人関係となる。「互いに好きにならないこと。どちらかの恋が実ったら関係を終えること」という約束を交わして。

もし花火が、他に好きな男がいることを黙った上で、自分に好意を持つ男の気持ちを利用して付き合っていたら感じ悪いのですが(そんな悪女も嫌いじゃないけど)、パートナーもまったく同じ境遇で、互いに本命がいることを事前に詳らかに明かした上で結ぶ契約交際ですから、これは極めて健全な互助関係。逃げ恥で見せてくれた契約結婚同様、合理的なWin-Winの関係だといえましょう。

倫理面においても何ら問題はないと考えます。大好きな異性に想いを募らせる純愛感情と、生理現象としての性欲は別物であるのは自然なことですし、付き合っているならまだしも、片想いの段階で別の男と寝ることに倫理的逸脱はありません。もしこれを否定するなら、世にある性風俗産業は軒並み否定されて然るべき。男性はいいけど、女性はダメというならただの性差別ですし。

でも不思議なのは、「2人は何の罪も倫理も踏みにじっていない」と理屈で完全に納得できていながらも、別々の人間を想いながら肌を重ね合う男女の関係性に、名状しがたい不健全さを感じ取ってしまうところで(笑) 2人が初めて性行為に及んだシーンなんか、もんのすごいインモラルで許されないものを見てしまった気分でしたもん!

作画がめちゃくちゃ美麗な上、時折混じる少女漫画的カット割りの演出も効果的で、とても鮮烈に印象が残るエッチシーンでしたよ。前戯のねっとり感は素晴らしく、回を重ねるごとに変化していくキスへの反応、恥ずかしくて顔をそらしたり、口を手で塞いで嬌声を我慢したり、リアリティある花火のアクションが実にエロい! こういうきめ細やかな描写は、女性作者ならでは。もしエロゲだったら、いきなり処女が唾液音を鳴らしながらフェラし始めて、キスも前戯もなく挿入されて膣出しされて終わっていたところです(笑)

結局、このときは最後の一線を越えないままでした。身体の寂しさを埋めあう関係でありながら、セックスまでは至らないところも逆にいい感じ。別にセックスしたらダメとは思わないんですけど、最後の一線を越えないところに薄皮一枚のプライドが残っているというか、まだ純愛にウエイトを置いている気がして。

特にやりたい盛りの男子高校生である麦が自制できたのは、それだけ茜への想いの強さがあるからでしょう。これがもし一般的なセフレになってしまったら、2人の本命への愛情にも懐疑的な感情が挟まってしまうので、2人は最後まで一線を越えない方がいいですね。セックスなしの性行為で、どこまでギリギリを攻められるかという下卑た期待感もありますけど(笑)

少女漫画では、“訳あって恋人のフリしてたら、本気で彼のこと好きになっちゃった♪”パターンが腐るほどありますので、この手の偽装カップル展開は飽き飽きしているはずなんですが、割り切った身体だけの関係となると急に生々しくなって、今までにない新鮮さと面白さを感じています。クズの本懐には、花火と麦が本当のカップルになるというありきたりな終着点ではなく、思いも寄らない切り口で驚かせてくれれば。遂げてみせてね、クズの本懐。

★今週の安楽岡花火★

「長い髪、だっさいベージュのカーディガン。わざとらしいぐらいのシャンプーの香り。控えめのナチュラルメイク」
「男はあんな女子アナみたいな女がいいのよねー」

花火さん、いいキャラしているわ。長年の想い人を他の女に掻っ攫われた悲劇のヒロインとはいえ、メソメソ陰気なだけじゃ見ていてつまらない。敵意剥き出しで、嫉妬混じりに口汚く毒突くぐらいが丁度いい

花火役の安済知佳さんは、響け!ユーフォニアムの高坂麗奈役の声優さんだったのね。“先生に片想いして報われないポジション”を2クール続けて演じているのが笑えます。麗奈も滝先生に届かない想いを、黄前久美子との百合に走って寂しさを紛らわせようとしていましたし(笑)

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. クズの本懐 第1話「望み叶え給え」

    クズの本懐の第1話を見ました。

    第1話 望み叶え給え

    安楽岡花火は幼い頃からお兄ちゃんと慕っていた鐘井鳴海を、粟屋麦は昔家庭教師をしてくれた皆川茜が好きだった。
    それ…

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