くまみこ総括

世間知らずがゆえの天然さと、ちょっぴりアンニュイな一面を持つ田舎少女雨宿まちの尋常じゃない可愛さ! そんなラブリーな彼女の日常を描くスローライフ癒しアニメだと思っていたら、残念! 都会暮らしに憧れる純粋な少女の夢と希望を打ち砕く、悪趣味極まりない畜生アニメでした!

最終回は地獄そのもの。村おこしのためだと、嫌がるまちを強引に都会のアイドルグランプリに出場させたら、緊張と恐怖のあまり被害妄想をこじらせて精神を病んでしまい、逃げ帰るように村へ帰還。あれだけ都会に憧れていた彼女が、もう二度と都会には行かないと完全に心折れてしまう。心神喪失するまちに人語を解するクマのナツは告げる、「もう難しいこと考えなくていいよ」と。

まちを「村の生け贄」と事も無げに言い放った従兄の良夫も絞め殺したくなりましたが、最後のナツの「何も考えなくていい」というセリフには心底ぞっとしました。過酷な体験を経て人格を否定させたあと、思考力を奪って依存させるよう仕向けるなんて、カルト宗教の洗脳の手口ですか?

“閉鎖的な田舎に生まれ落ちた人間は、生涯田舎の因習から逃れられない”とも捉えられかねない内容なのに、これがまちにとっては幸せであるかのように描かれ、ハッピーエンドとして締めくくられていたことが何より気持ち悪い! 「お前ら! いつまでもまちは都会に染まらず純粋なままだよ! 良かったね!」という勘違いした作り手側のメッセージが何より腹立たしい!

確かに、まちには末永く熊出村での暮らしを続けてもらいたいという望みは私も持っていましたが、それはまちが都会に出てもやっていけるほどに成長を遂げて、その上で自分の意志で熊出村に留まろうとすることが絶対条件。こんな風に一切成長しないどころか、ますますコミュニケーション不全を悪化させて、夢も希望も失って田舎に引きこもるような悲惨な結末、これっっっぽっちも望んでいなかったですよ!

今にして思えば、最終回に至るまでにこれらの兆候は見えていたんですよね…。まちの可愛らしさをアピールする一方で、やたらとまちを追い込んでイジメるような描写が目立っていましたから。私はそれらを“彼女が人間的成長を遂げるための乗り越えるべき試練”だと捉えていましたが、実際はそうじゃなかった。単にまちが怯えたり泣いたりする姿を見せるのが目的だったんですよ。

くまみこという作品は、無垢な少女が苦しんで生気を失っていく様を見るのが好きな人のためのゲスな作品だったということ。散々いたぶられて、玩具にされて、騙されて、最後は希望さえもへし折られて、考える気力も奪われたまま、田舎の寒村に閉じ込められ生涯を終える少女の救いのない結末に、異常な興奮を憶える人のためのね!

どうやらアニメの最終回はオリジナル展開で、原作の趣意とは大きく異なっていたようですが、それが本当なら尚更ひどい話。アニメスタッフは何を考えて、こんなにまちちゃんを虐待するような脚本を作ったのか? どうしてもそういうのやりたけりゃ、公共の電波ではなく自費出版で本にして夏コミにでも出しておけ! 最終話まで見てこんな胸糞悪い気分にさせられたアニメは初めてです。

くまみこ 壱 - くまぼっくす - [Blu-ray]

販売元:KADOKAWA メディアファクトリー( 2016-06-24 )

定価:¥ 19,440 ( 中古価格 ¥ 2,430 より )

Amazon価格:¥ 4,190

時間:144 分

3 枚組 ( Blu-ray )


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 確か3話くらいまではすごく楽しく見てたんですよね私も。
    4話だったかな?ヤンキーがまちをしまむらに連れていく回で「あれ?」ってなってそれ以降何となく見なくなっちゃいました。
    ヤンキー(名前忘れた)にとっては好意の裏返しでも、まちが本気でトラウマを負っているのを見て居た堪れなくなったと言うか。ただのイジメじゃんみたいな。あと何かに憑かれたかのようにしまむらの薀蓄を語る展開もつまらなかった。
    3話までは本当に面白く見れていたんですけどね〜。ユニクロに行く話や神事でダイエットしようとする話は大笑いでした。
    でも浅生さんの感想を見る限り見なくなって正解だったかなー。
    時々頓珍漢なこと言っちゃうまちが可愛いだけのアニメで良かったのに…!

    • 4話切りは実に正しい判断ですよ。あそこからもう下り坂でしたもん…。

      ヤンキー女は響というキャラですが、この不快な暴力女の登場が最初の躓きでした。まちを都会で挫けない強い女に鍛えるためとか、それなりの理由があっての狼藉ならまだ理解できますが、最初から意味もなく恫喝して暴力を振るっていたので印象最悪。その後、ある程度良い一面も見えてきて持ち直しましたけど(一応、彼女が作品唯一の常識人なので…)、クズ男の良夫にベタ惚れしている時点で、彼女の好感度がプラスに転じることはありませんでしたね。

      >ユニクロに行く話や神事でダイエットしようとする話は大笑い
      この頃は、くまみこが今期で一番面白いアニメかと思っていましたよ。まちの可愛さをアピールするだけで充分だったのに。日岡なつみさんのなんとも言えない声の魅力もあって、ロリコンじゃない私(重要)ですら絆されるほど、まちの魅力は強烈でしたから!

  2. 原作者自ら苦言を呈してましたし、担当した脚本はスタッフロールの名前やツイッターアカウントを消して逃亡しました。
    逃亡した戦犯「ピエール杉浦(杉浦理史)」

    • あとから調べてみると、いろいろ一悶着あったみたいですね。やっぱりこの終わり方は物議を醸して当然でしょうか。

      ピエール杉浦(杉浦理史)さんの経歴を調べてみたら、ばらかもんのシリーズ構成ではないですか! ばらかもんは一点の曇りもない素晴らしい作品だったのに…。

      ※私信 書き込みが勝手にスパム設定されていたみたいです。ごめんなさい。

  3. 途中で切ってしまっていたんですが、最終回こんな感じになってたんですか…。
    設定がちょっと変わった日常モノかと思っていたら、1話でいきなり獣姦っぽい話が飛び出して色んな意味で掴みはバッチリでした(笑。
    その後はまちの可愛さを堪能して楽しんでいたんですが、段々と不穏な感じがしてきて、結局半分ぐらいでフェードアウトしてしまいましたね。
    我慢して観ておくべきだったかなぁなんて思ってもいたんですが、観なくて良かったかもしれません。最後まで観続けていたら、恐らく相当ストレス溜まってましたよ。
    癒しを求めた作品でストレスが溜まると、本当にやるせない気持ちになりますので…。

    • ただのゆるふわ日常アニメではなく、設定に生け贄・獣姦・トラウマなど生々しくダークな側面が見え隠れするのは構わないと思うんですよ。まちの不憫さや救われなさに萌えるのも自由。

      でもそこから先は、視聴者が妄想を膨らませて薄い本にしたためる範疇。エロ同人でやることを本編でやられるとたまったもんじゃないってことです! そういうのが好きじゃない人だって大勢いるんですから~!

      まち自身も、最後まで成長することがなかったので、すっかり魅力が失せてしまいました。結末に賛否両論あろうと、まちだけは全員が「カワイイ」という印象のままで終わらないとダメでしょ。そこが既にアニメの失敗ですね。

  4. 私もとうとう飽きて8話ぐらいで見るのをやめましたが、浅生さんの総括を拝見して、最終話まで見なくて良かったと心底思いました(笑)

    今から思えば、1話か2話で小学生がエロ妄想でまちを恥ずかしがらせていたシーンが1番楽しかったです。あんな風に「恥ずかしがらせる」感じだったら良かったのですが、段々大人が寄ってたかってまちが本気で嫌がることをやり始めたので、最早ただのイジメにしか見えなくなり…。

    最大の戦犯は周りのキャラでしたね。良夫は論外でヤンキーも大概でしたが、もっと言うとナツもよくわからない…というか、ずっと疑問を感じていたキャラでした。
    まちと長い間一緒に過ごした良き理解者みたいな素振りをみせていましたが、まちが都会に行きたいと言い出すと途端に必ずネガティブなことを言って都会行きを阻止しようとする辺り、結局まちの思いよりも自分が離れたくないという思いを優先する独占欲の強い自己中に見えてきまして。極めつけに最終回のその台詞ですから、やっぱりそういうことだったのですかね…だとしたら引きますわ…。
    あ、この嫌悪感は決してまちとイチャついていたことに対する嫉妬心から来ているわけではないですよ!多分!

    まちは何もかもがあざとさ100%ながらも、それでも猛烈に可愛かった稀有なヒロインだっただけに、ホント勿体ないですよね。なんでこんなイジメアニメにしちゃったんでしょうか…。

    • まちちゃんは、無知をバカにされたり、エロの辱めを受けたり、過酷な試練に堪え忍ばされたりして、持っている魅力が輝くのは確か。だから、イジメだイジメだと過剰に騒ぎ立てたくないんですが、当人が心折れて終わってしまったら本当にイジメにしか見えなくなる…。最初は魅力を引き出す有効な手段だったとしても、エスカレートしすぎてまちが本気で嫌がることをやらせてしまったら、もうイジメですよ~。

      それもこれも、周りのキャラが変な奴ばかりで、弄りが雑だったせい。弄りとイジメの境界線を見誤っているからこうなる。「まちちゃんだけ可愛けりゃいいや!」と周りのムカつくキャラは意図的にスルーしてきましたけど、やっぱりそれじゃダメですね。主人公1人が頑張ったところで、周りもちゃんとしたキャラじゃないと良作にはなり得ないのを学びました。山田哲人がいくら気を吐いても、投手陣がぼっこぼこじゃチームは勝てないんです!

      >ナツもよくわからない…というか、ずっと疑問を感じていたキャラ
      私はその辺が見抜けていなかったです…。幼少からまちと共に過ごしてきたナツはちょっと過保護なだけで、最終的にはまちの気持ちを汲んでくれる理解者だと信じていました。それが「本当は都会で失敗しろと願っていた」とか、「もう何も考えなくていいよ」とか、まちの本当の幸せを考えてあげられない自己中心的な人間(クマ)だと知って、軽蔑しましたよ。悪夫とヤンキーはクズでも仕方ないですけど、ナツが最後までまちの味方でいてあげられなかったのは後味悪すぎ…。

      >あざとさ100%ながらも、それでも猛烈に可愛かった稀有なヒロインだった
      ヒートテックを身に付けてどや顔していたまちちゃんは最高に可愛かった…。あの笑顔を曇らせた(作品内外の)奴らを許せない。