賭ケグルイ第12話「賭ケグルイの女」雑感+総括

最終回は、原作者自ら手掛けたアニメオリジナルストーリーだそうで。まだ原作は連載続いていますから、オリジナルの結末を用意するのは正解。でもそうなると、ここでラスボス生徒会長の桃喰綺羅莉(ももばみきらり)とサシ勝負したところで、決着はつかずに終わるだろうなって察しちゃいますね。猛烈に引き分けの匂い立ち込める最終決戦、運命をわかつギャンブルは「運命のタロットカード」。

伏せた22枚のタロットカードにはそれぞれ数字が割り振られており、カードを正位置で引くとプラス、逆位置で引くとマイナス。カードを引くのは、夢子→綺羅莉→鈴井の順で3回。その合計が正数であれば夢子の勝ちとなり、負数であれば綺羅莉の勝ちとなる。ただし例外が1つあり、“愚者のカード”を引いたときだけは、それまでの合計得点にかかわらず、一発で勝敗が決まる。2回合計で大きくプラスであったとしても、3回目で愚者のカードを逆位置で引けば、それだけで夢子は逆転負けを喫するというわけ。

クジ引きに近い運ゲーとはいえ、一発逆転の可能性がある愚者のカードの存在により、最後まで勝負の行方がわからない良く出来たゲームに仕上がっていると思います。ここにカードの数字の読みの材料となるなにかがあれば、グッとゲーム性が高まって面白そうなんですけどね~。

夢子は最初のターンで、「魔術師」を引く。ポイントとしてはたったの1点ですが、正位置で引いたので一歩リード。続く綺羅莉は、なんと最高得点21ポイントの「世界」を悠々と逆位置で引き、合計点数は一気に-20。これにより、最終ドローでは一発逆転の「愚者」を正位置で引くか、20ポイントの「審判」を正位置で引いて同点に持ち込むしか夢子が負けを逃れる術はなくなってしまいました。

ラスト1枚を引くのは鈴井。1/20という紙のように薄い確率に頭を抱える彼は、ここでふと1枚のカードに綺羅莉のキスマークがつけられていることに気付く。勝負の前に綺羅莉が手にしていたカードは「愚者」のカード1枚。つまり、彼女がキスマークをつけられるとすれば、「愚者」のカードのみ。正位置で引かなくてはならないという条件はつくものの、このカードを引けば勝率は1/2にまで高まる絶好のチャンス。

ところが、鈴井はそのキスマークがついたカードを敢えて引きませんでした。その選択自体は、必ずしも批判されるものではないです。これは綺羅莉の仕掛けたトラップで、あのとき「愚者」を手にしていたと見せかけて、重ねた別のカードにキスマークをつけたというトリックである可能性も充分考えられるわけですから。だから、綺羅莉の意志が込められたカードを嫌い、別のカードを引く判断は間違っているわけではありません。

でもそこに、何かしらの確信があればの話です。鈴井が綺羅莉のトリックを既に見抜いていたり、心理を読み切って、キスマークのカードは「愚者」ではないという確信があるのかどうか。もしくは、キスマークのカードを避けても、残りのカードから勝利(引き分け)に持ち込めるカードを引ける確信があるのかどうか。そういった確信がなければ、とてもじゃないですが、こんな1/20の薄い確率には張れないと思うのです。

「選ぶのは僕だ! 自分が負うリスクは自分で決める! これが! これが僕のギャンブルだ!!」

なんか主人公ぶって格好良さげなセリフを宣っていますけど、負けたペナルティで学園を追放されるのは夢子であって、それって別に彼のリスクじゃないんですよね。つまり「僕のギャンブル」じゃない。裏目を引いたとき、全責任を取るのが自分自身であるなら、腹くくって薄い確率で勝負に行く鈴井を「カッコイイ!」と讃えられるんですが、そうじゃないんで、ちっとも格好良くない。むしろ、妄とのESPカード勝負のときもそうでしたが、夢子の運命を決める絶対負けられない勝負なのに、すぐ思考放棄して偶然に頼ろうとするこいつの無責任さに腹が立ちますよ。

鈴井はキスマークのついていない別のカードを選び、見事に正位置の「審判」を引き当てて勝負を引き分けに持ち込みましたが、それはただの結果論。彼はそのカードを選んだロジックを何1つ持ち合わせていなかったのですから。もし鈴井自身が、夢子も綺羅莉気付かない間にこっそりとカードにガンをつけていて、イカサマによって「審判」を引いていたなら(無論、夢子には言わずに)、「こいつやるな!」と大いに彼のことを見直していたんですけどねぇ…。

★今週の顔芸★


最終回だからそれぞれ顔芸の大盤振る舞い。けど、会長の笑える顔芸が見られなかったのは心残り(笑)

★総括★


オリジナルギャンブルを取り扱いながら、ゲームの作り込みが甘く、雑なイカサマばかり。プレイヤーの思考にインテリジェンスが感じられず、「何故、そうなったか」という帰結が論理的でないため、とてもカタルシスの薄いチープなギャンブル。ギャンブルアニメとしては、他と比べて相当程度の低い部類だったと言えましょう。

「ギャンブルアニメなのにギャンブルの底が浅い」というなかなか致命的な欠陥を抱えつつも、“キャラが立っている”という強みが幸いして、それなりに楽しめる作品にはなっていました。個性的すぎる面々は、敵対する相手でもどこか憎めなくて、顔芸という楽しみもあるおかげで、ムカつくキャラでさえ愛着を抱かせてくれます

主人公の夢子が、際立ってクレイジーだったのも素晴らしい。伸るか反るかのギャンブルに欲情してしまう変態体質で、絶対に負けない博才を持っているからギャンブルを好むのではなく、身の破滅を賭けた勝負に委ねるスリル、そのものが好きだという賭ケグルイ。だから、主人公なのに連戦連勝ではなく、そこそこ負けも経験するところがよかったです。

一方で、従者こと鈴井涼太は最後まで大嫌いでした。夢子を陥れる罠に荷担した罪を赦され、多額の借金の肩代わりまでしてもらった莫大な恩があるくせに、夢子が犯されそうになっているのを傍観したり、無為無策の選択で夢子の命を危険に晒したり、極めつけは「スイーツバイキング奢って」というカワイイ頼みすら全力で拒否したりと、極限に人間の小さなゴミ虫野郎だったことが腹立ってしょうがない! たかだか数千円の食事奢るのがそんなに嫌なら、今すぐ立て替えた500万円返せ!! あと、夢子って呼び捨てにすんな。

それでいて、夢子は何故かこの男に惚れている素振りを見せるから、一層イライラが掻き立てられるんですよね…。こんな男の何がいいんだと。取り柄も魅力も能力も何もない男が、理由なくヒロインから一方的に好かれる出来の悪いラノベやエロゲのような、そういった不快感がありました。ムカムカ。

主人公のすごさを際立たせるため、博才を持つ主人公の傍らに凡人を配置することはギャンブル作品のセオリーです。LIAR GAMEの神崎直のように、ただの足手まといだったのが、熱い鉄火場の中で揉まれて成長して、いつしか主人公に欠かせないパートナーになっていくものと信じていましたが、この全12話の間ではちっとも成長の気配が感じられず残念。まずは自らの破滅を賭けたギャンブルを潜り抜けて、いっぱしのギャンブラーとなれ。それまで夢子から好意を持たれるな。夢子って呼び捨てにすんな。

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販売元:エイベックス・ピクチャーズ( 2017-10-13 )

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  1. お疲れ様でした。鈴井の態度には全くの同感です。
    本当にもう、こういう女子主体のアニメにおける男子ってなんでこんなに偉そうで失礼な奴が多いんでしょう……
    そしてどうしてヒロインはこぞってこんな奴に矢印がいくのか(笑)
    相棒か補佐としてきちんと身の程を弁え、成長していく姿が書けていたらまた違ったかもしれませんね。

    • 百歩譲って、偉そうで失礼な奴でも構いませんけど、そういう奴は周りから嫌われていてほしいですね! 何故かヒロインから好かれているから腹立つ!

      自分自身の勝負でギャンブルに勝つ
      立て替えてもらった借金を全額返す
      パートナーとして夢子のピンチを救う

      とりあえず、鈴井は最低限この3つを成し遂げてから、惚れた腫れたの話をしてもらいたいですよ。じゃないと、こんな男に惚れている夢子のことすら嫌いになります。10点の女でも、2点の男と付き合ったら、2点の女なのです。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。