ジョーカー・ゲーム第12話「XX ダブル・クロス」雑感+総括

ドイツ人記者カール・シュナイダーには、ドイツとソ連の二重スパイの容疑が掛けられている。D機関のスパイ小田切は、そんな彼を張り込みで監視していたが、よりによって監視中にターゲットが何者かに殺されてしまうという失態。予想外の事態に動揺が走るD機関は、メンバー総出で調査に乗り出し、事件の真相を突き止める。

ジョーカー・ゲーム最終回、その最後のエピソードが推理モノだったのは残念。繰り言になりますが、私がジョーカー・ゲームに求めていたのは、工作員としてのスパイで、探偵としての活躍はそんなに望んでいないのですよ…。最後はもっとスパイらしいエピソードで締めくくってほしかったなぁ。ていうか、「柩」がラストに相応しかったのでは。

「シュナイダー殺しの犯人は誰だ!?」というフーダニットを30分の単発エピソードでやられても、容疑者が少ないので必然的に犯人が絞られてきますしね。恋人の野上百合子か、その友人の安原ミヨコか。それ以外の選択肢がないんで。

疑わしさでいえば恋人の百合子でしたが、シュナイダーの死に対して舞台上で流した涙は、女優といえど演技じゃない。ということで、犯人はミヨコの方でした。彼女はソ連のスパイで、劇場から祝い花を回収する業者を経由して、シュナイダーと情報のやりとりをしていた。シュナイダーが二重スパイであることはソ連側も承知していましたが、更にイギリスにも情報を流そうとする動きを見せ始めたので、ソ連は安原ミヨコに排除を命じた。

まぁ、あの花屋のオッサンは私も怪しいと思っていましたよ! だって、どう考えてもカタギの面構えじゃなかったんで!(笑)

ミヨコは暗号文解読のヒントに使うと騙して、シュナイダー自身に遺書の文面を書かせ、自殺を偽装したという手口。ミヨコがシュナイダーを殺した理由には、愛憎のもつれによる私怨も含まれていたという。

「貴様は、D機関への採用が何故男だけだと思う?」
「女は必要もないのに殺すからだ。愛情や憎しみなどといった取るに足らないもののためにな…」

ずっと気になっていた“D機関に女性スパイがいない理由”がここで明らかに。女性は感情に流されやすいから、スパイには向かないってことらしい。この前、元ジブリのプロデューサーが「女性は現実主義だからファンタジー映画の監督には向かない」と発言をして、世界中から猛バッシングを受けたばかりですが、こりゃ結城中佐の発言も確実に炎上しますよ!(笑) 今すぐに発言を撤回して、女性スパイも採用してください!!

情に流される人間はスパイとして不向き。今回の小田切も、シュナイダーの恋人百合子が自分の少年時代の想い人と瓜二つだったことで、正常な判断ができない状態になっていた。そんな自分はスパイ失格だと悟り、辞表を提出する。自分は他のメンバーのように、人間の感情を一切持たないモンスターになることは不可能だと。

スパイが途中で足を洗いたいなんて言いだしたら、ケジメとして小指の一本でも落とさないと抜けられない気がするんですが、結城中佐は慰留することなくすんなり辞表を受理して、次の職場の手配までしてくれる至れり尽くせり。D機関、ホワイト企業すぎません!? しかも、次の仕事場は傷心の百合子が旅だった満州だったという粋な計らい。結城中佐、最後まで男前っすわ~。

総括

高度な思考で、凡人の想像を遥かに凌駕するスパイの活躍ぶりに毎度うっとりと魅了させられていました。ちょっと難点だったのは、あまりに内容が高度すぎて、私の足りない頭では繰り返し視聴しないと理解できなかったことでしょうか(笑) いつもは1回見て適当に書き殴っている感想も、ジョーカー・ゲームに関しては思い違いや事実誤認をしていないか、すごく慎重に気を遣いながら書いていましたので…。いつもより3倍しんどかったですよ!

作品で最も印象深かったのは、D機関のモットーである「死ぬな、殺すな」。常に死と背中合わせで、死を恐れない覚悟で任務を遂行してこそのスパイ。時には冷徹に残忍に敵を屠るアサシンとしての一面を見せてこそのスパイという先入観が私の中にあっただけに、価値観が180度逆転しているジョーカー・ゲームは、正直戸惑いもありました

「こんなのスパイだとは認めない!」という拒否反応が出る可能性もあったぐらいですが、それぞれのエピソードの中でスパイが死ぬことの愚かさ、殺すことの愚かさが雄弁な説得力で描かれていたことで、すっかり私も「死ぬな、殺すな」の考えに感化されてしまいましたね~。

あっさり手の平を返したのは、結城中佐というキャラの存在が大きかったです。元よりオッサンキャラが大好物な自分ですが、結城中佐は異質なまでの格好良さがあり、堀内賢雄さんの渋い低音ボイスには、無条件で従いたくなるような説得力がありましたから。作中の結城中佐の発言は総て「そうだったのか!」と納得させられ、ほとんどマインドコントロールの域でした(笑)

主人公が悪人面のオッサンで、周りは女っ気なく野郎ばかり、堅苦しく小難しくなんか薄暗いアニメ、世間の需要はとっても低そうですが、今後もこういったビター風味のハードボイルドなアニメ、期待していますよ!

■ D機関好きなメンバーランキング ■


推しメンといっても、最後まで顔と名前が一致しなくてあやふやなんですけど(笑) 全員顔が似ている上に偽名まで使われるから、本当に1人1人の見分け方が難しかったです。ほとんど声(声優さん)で識別していたようなもの。

1,田崎(CV櫻井孝宏)
2,小田切(CV細谷佳正)
3,三好(CV下野紘)
4,実井(CV福山潤)
5,福本(CV中井和哉)
6,甘利(CV森川智之)
7,神永(CV木村良平)
8,波多野(CV梶裕貴)

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ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1.  とにかく人物に極端な属性付けがされており、登場人物たちの見分けがしやすくなっている最近のアニメを逆手に取った手法ですよね。全話視た視聴者自身にスパイたちの顔と名前を一致させないという、計算された鮮やかな手並みでした。

     残念なのは、私も最終話は「柩」がよかったということですね。あの話でようやく三好の顔と名前が一致しましたし、死んで初めて認識されるというのがこの作品のスパイにとって象徴的で、最終話にもぴったりだったと思います。

    • スパイとしては没個性である方が有利ですし、「キャラの顔と名前が一致しない!」というのはスパイに対する賛辞なのかもしれません。視聴する方は大変ですけど(笑)

      >死んで初めて認識されるというのがこの作品のスパイにとって象徴的で、最終話にもぴったりだった
      そうなんですよね~。超人めいたD機関の人間が事故に巻き込まれてあっさり死んじゃうのがショッキングでしたし、スパイは死後こそが重要というのも、なるほどと思わせられる驚きがありました。表立ってスパイの活躍が目立ったわけじゃありませんので、内容的にはめちゃくちゃ地味でしたけど、これぞジョーカー・ゲームの神髄みたいなエピソードだったと思います。最終回に相応しいのはこの「柩」だったと。