ジョーカー・ゲーム第10話「追跡」雑感

日本に潜伏中のイギリス人スパイアーロン・プライスは、日本のスパイを統べる結城中佐の調査を始める。結城中佐とは如何なる人物で、如何なる過程においてD機関設立に至ったのか。謎多き結城中佐の経歴は視聴者としても大変に興味深いものですので、注目していました。

結城中佐の過去を探る手掛かりとして入手した陸軍幼年学校の在籍名簿を調べているうち、主席合格ながら素行不良で中途退学させられていた有崎晃(ありさきあきら)という1人の人物が浮かび上がる。“ゆうき”とも読めるこの名字、もしや彼が現在の結城中佐その人なのか? 有崎晃が幼少期を過ごした家で執事を務めていた里村という男を尋ね、その生い立ちを語ってもらった。

有崎晃は有崎直哉子爵の養子であり、幼い頃から勉学・武術を徹底的に叩き込まれ育てられた。やがて陸軍幼年学校に身を置く秀才となったが、同輩とのケンカにおいて卑劣な手段を用いた彼は、日本陸軍の人間として相応しくないと退学処分を命じられる。

その後、イギリスに留学。向こうで彼の後見人を務めていたのは、なんとイギリス諜報機関MI6を設立したマンスフィールド・カミング海軍大佐だったという。

幼少の折りから英才教育を施され、陸軍学校の理不尽さを学び、本場イギリスの伝説的スパイマスターから師事を受ける。こうして経歴を紐解いて行けば、結城中佐が日本最高のスパイマスターと呼ばれるまでに至った理由も、充分納得できるものです。やっぱり結城中佐はただ者じゃなかった。

と思ったら、これらは全部作り話! 全部デタラメ! そもそも、有崎晃と結城中佐はまったくの別人で関係なかった! ええーーーっ!!?

本物の有崎晃は、先の世界大戦で負傷してしまい現在意識不明で入院中なれど、ちゃんと存命している。結城中佐は有崎晃の治療費を肩代わりするのと引き替えに、偽装した自分の経歴を有崎晃に与え、もし今後自分の過去を探ろうする不届き者が現れたら、有崎晃に辿り着くよう画策していたのでした。アーロンはまんまとそのトラップに引っかかり、捏造された情報を掴まされた挙げ句、スパイとして炙り出されてしまったというわけ。

隠蔽された情報をネットで知ると鵜呑みにしてしまいやすいように、人は自ら能動的に詮索して得た情報は真実であると信じて疑わないもの。結城中佐はそうした心理を見越した上で、詮索する人間が欲する通りのカバーストーリーを作成し、煙幕に使ったというのが恐ろしい。日本で10年も暗躍していた熟練のスパイが見抜けなかったのも無理からぬことですよ。ましてや私なんかが見抜けるはずもございません(笑)

知りたかった結城中佐の過去は結局有耶無耶になってしまいましたけど、結城中佐の凄みを改めて思い知ることができて大満足。なお、捕らえたアーロンは処刑されることなく、すぐに釈放。結城中佐は彼をスパイ稼業から引退させた上で、妻との第二の人生をスタートさせてあげる計らいを見せたのでした。まったく、どこまで粋でカッコイイ男なのでしょうか。

「晃様は立派な紳士になられ、ご婦人方の注目を嫌でも集めました」

偽りの経歴を創作して欺いた結城中佐ですが、この設定も結城中佐が考えたのかもしれないと思うと、ちょっとカワイイ(笑) どうせならモテキャラでいたいよね!

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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