ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編第39話「地獄の門番ペット・ショップ その2」雑感

地面に凍結され、身動きが取れなくなったイギーは、左前足を犠牲にしながら、なんとか水中へと逃げ込む。スタンドで作り出したドーム型シェルターの中で息を潜め、さすがにここまでは追ってこれまいと安心していると……敵は平然と水に潜って襲ってきた! どこに逃げても隠れてもしつこく追い続けてくるペット・ショップに戦慄!

シェルターに向かって氷柱ミサイルが何発も発射され、このままではシェルターが持ちそうにない。イギーは氷柱攻撃をタイミング良く跳ね返すことで反撃に成功するものの、今度はシェルター全体を凍らせて、そのまま押し潰そうと画策するペット・ショップ。本当に次から次へと、こちらが嫌がることを的確にやってきます。

逃げ場を失ったイギーは慌てて地面を掘り、地中へと活路を見出しますが、そこには先回りして待ち構えていたペット・ショップの姿が…! 空中を舞う隼が、水中まで、地中まで追いかけてくる異様な執念に肝を冷やしますよ。暗闇から薄ぼんやりと浮かび上がるペット・ショップの顔に超びびる!

ホラーにおいて、最も効果的な演出は“安全圏をなくすこと”だと思います。逃げ込んだ先の安全地帯にも、追跡者の魔の手が及ぶというのは、精神的に相当追い詰められてしまうもの。ストーカー被害だって、自分の部屋まで侵入されることが一番怖いでしょうしね。どこまでも執念深く、そして容赦なく、対象を追い詰めてくるペット・ショップは心底恐ろしい…。

逃げ道を塞がれたイギーは、空気圧を利用した加速で間合いを詰めると、ペット・ショップが氷柱ミサイルを発射する直前にくちばしを噛み切り、間一髪での勝利。ジョジョにしては珍しく正統派といえるバトルであり、最後まで息つく暇のないスリリングな一戦でした。

私がこの対決で感心させられるのは、勝敗がスタンドの優劣で決まったわけではないこと。特殊能力や必殺技を持つ同士が戦うと、どうしても最後はその“技の優劣”で勝負が決まってしまいがちですが、ジョジョはそこに焦点を置かないんですよね~。

ペット・ショップの恐ろしさは、スタンドの能力ではなく、ペット・ショップ自身の執念深さですし、イギーがペット・ショップに勝てたのも、スタンドのおかげでなく、本人の勇気と機転を利かせた判断力。スタンドはあくまで武器として、戦うのは生身のイギーとペット・ショップであったところを私は大いに評価したいです。

以前からイギーとペット・ショップの戦いは要注目だと聞かされていましたけど、まさに噂に違わぬ名勝負。特にペット・ショップはその強さと恐ろしさに敬意を示したくなる天晴れな敵役でしたね。なのに最後は、「鳥野郎、死亡!」って(笑) ナレーション、口悪すぎ~!

門番ペット・ショップの撃破に成功したことで、とうとう承太郎らは禍々しい妖気を放つディオの根城へと足を踏み入れる。ここが50日間にも渡る旅路の終着点。否、100年間にも渡る因縁の決着点。ディオとの雌雄を決するラストバトルを眼前にして、各々決意を新たに気合を入れる様がめちゃくちゃ格好良かったです!

恐らくこの居城にはディオだけでなく、選りすぐりの親衛隊が待ち受けているはず。そいつらを全員片付け、ラスボスのディオに引導を渡すことはできるのでしょうか? 再びこの門をくぐって外に出るとき、承太郎・ジョセフ・アヴドゥル・花京院・ポルナレフ・イギーの5人+1匹のメンバーが全員揃ったままであることを願います。誰1人犠牲者が出ることなく、みんな無事に生還してほしい!

一番不安なのは、「こいつは俺に任せて先に行け!」→相討ちというジャンプの黄金パターンですね(笑) あと、主人公の秘めたる力が覚醒するきっかけのために、友達が死んじゃうパターンもあるからな~。

ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース エジプト編 Vol.1 (オリジナルサウンドトラック付)(イベントチケット優先販売申込券付)(初回生産限定版) [Blu-ray]

販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント( 2015-04-22 )

定価:¥ 10,260 ( 中古価格 ¥ 1,602 より )

Amazon価格:¥ 6,200

時間:94 分

2 枚組 ( Blu-ray )


この記事のトラックバックURL
  1. ペット・ショップが地中の暗闇からぼんやり浮かび上がってくるシーンはアニメならではの表現で、展開を知っていてもゾクゾクしてしまいました。
    ここは大丈夫だろう→そこまでするか!の連続で、3部でも随一のスリルと恐怖を与えてくる敵でしたねー。

    >本人の勇気と機転を利かせた判断力
    ジョジョって、普通のバトル漫画の当たり前の展開である「敵よりも強くなって勝つ」って展開がほぼ無いんですよね。
    「強い」「弱い」って概念自体が希薄で、絶体絶命のピンチの中、敵の裏をつくアイディアで勝利するのが魅力の一つだと思います。
    それと、王道バトル漫画と違って、敵を倒すカタルシスよりもそこに至るまでの恐怖や奇妙さを表現することに重点が置かれてるように思いますね。

    • 第3部は全体的にホラーに傾倒していますが、その中でも屈指の恐怖感がありました。J・ガイルのハングドマンのときと同じように、どこまでも追ってくる恐怖というのは竦み上がるものです。

      >バトル漫画の当たり前の展開である「敵よりも強くなって勝つ」って展開がほぼ無い
      同時期の連載作品であるドラゴンボールとは、根本的に思想が異なる作品だったんだなぁと。ドラゴンボールは相手を戦闘力で上回って勝つ、強い必殺技を使って敵を倒すが基本線。ジョジョはそういった必殺技の力押しではなく、その場の閃きと戦術で活路を見出す戦いですもんね。個人的には後者の方が好きですけど、少年ウケがいいのはやっぱりドラゴンボールだったでしょうね(笑)

  2. >最後は、「鳥野郎、死亡!」って(笑)
    つくづく大川透さんのナレーションはアニメジョジョの影の立役者だと思います。
    漫画原作のナレーションはわりと淡々としており、福本作品のような自己主張はない方なのですが、
    大川さんのキレッキレの無闇に勇ましい声がここまでピッタリだとは思いませんでした。

    1部の頃はまだヒロイックファンタジーな要素があったし、ナレーションを超える究極の解説生物こと
    スピードワゴンがいたおかげでさほど目立ちませんでしたが、彼が勇退する2部になってからは
    ガンガン前に出てこられるようになりました。そして3部でその存在感が花開き、
    いまや7人目のスターダストクルセイダースと言っても過言ではありません(笑)

    >「敵よりも強くなって勝つ」って展開がほぼ無い
    ジョジョの、特にスタンド戦は言ってみれば狙撃銃の撃ちあいみたいなものですからね。
    銃弾なんだから当たれば殺せるし殺される。でもなかなか当たらないからどう必中させて行こうか、みたいな。
    普通の少年漫画は弾が当たるのはもはや前提であり、どっちが先に相手を貫ける弾を撃てるようになるか、ですから。

    • 確かにナレーションの自己主張の強さと面白さはカイジに通ずるものがありますね~。大川さんのナレーションは滑り知らずで笑えますけど、頻度としてはそれほど多くないのも、しつこくなくていい感じ。いくら面白いからって、ナレーションばかりが目立ってしまうのも違いますから。

      >スタンド戦は言ってみれば狙撃銃の撃ちあいみたいなもの
      スタンド=代理バトルという当初のイメージは完全になくなりました。スタンド同士が殴り合いのケンカをして、主人公と敵スタンド使いはそれを側で見守りながら応援しているだけ……という最高につまんない構図を危惧していましたが、ジョジョのスタンドは全然そんなのじゃありませんでした。

      むしろ元祖というべきスタンドバトルがこれほどの深みあるバトルを演出できているのに、何故それ以後に出ている似たような作品が、単なる代理バトルにすぎないのか…。

      やれやれ主人公もそうですけど、承太郎をエピゴーネンをやるつもりなら、承太郎の格好良さも全部コピーしてくれと。パクるくせにオリジナルの表面的な部分だけをパクるのが一番良くないですよ~。

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。