ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編第34話「ダービー・ザ・ギャンブラー その1」雑感

私自身はギャンブルを一切嗜みませんが、ギャンブルを“見る”のは血が騒ぎます(愛読書は銀と金)。大金や命を賭けてヒリついている鉄火場の緊張感……を見ているのが好きなんです。要するに、自分は安全圏にいながら、他人が破滅をかけて勝負している姿を見ていたいという悪趣味な卑怯者ってことですけどね(笑) いえ、破滅を望んでいるわけではないんですけど。

ギャンブルと一口に言っても様々な種類がございますが、競馬やパチンコのような胴元ありきのギャンブルではなく、麻雀やポーカーのような差し勝負ができる対人ギャンブルが望ましい。やはり、直で金(命)の取り合いをする構図の方が燃えますね。ギャンブルの醍醐味は、騙し合い、化かし合いにあると思いますから。

当然、イカサマも戦術のうち。鋭い洞察力で相手の思考を出し抜く行為、それこそがイカサマなのであって、頭脳ゲームにおける正統な手段です。ズルイ・卑怯・せこいなどの雑言は負け犬の遠吠えであり、己の無能さを周囲に喧伝しているのと同じ。相手がイカサマを仕掛けてくるなら、こっちもイカサマを使って裏の裏を取る。その瞬間がギャンブルにおいて何よりも痺れる瞬間ですよ! 私はしたことありませんけど!

ゆえに、根っからのギャンブラー気質で、狡知に長けたダービーは、敵ながら非常に共感が持てるタイプのキャラクターです。これまでのスタンド使いとは違い、自身のギャンブラーとしての腕だけで勝負してくるのもカッコイイじゃないですか。ギャンブルに負けた相手は、スタンドの力で魂をチップ(コイン)に変えられてしまいますが、スタンド自体に攻撃能力はなく、あくまで厳正なルールを守るための立会人のような役割みたい。

ポルナレフを挨拶代わりに葬ったあとは、ジョセフとの差し勝負。ギャンブル内容は、なみなみと酒がつがれたグラスにコインを入れあい、中の酒を溢れさせた方が負けという表面張力を利用したゲーム。こういう単純なギャンブルほど、イカサマのセンスが問われて面白いものです。

ジョセフが仕掛けたのは、投じるコインの裏に液体を含ませた脱脂綿を忍ばせておき、指で液体を絞り出すことで、相手が1枚もコインを投じることができなくなる限界値まで強引に嵩ましさせるというイカサマ。シンプルながらこれは効果的。更に相手の名前をわざと間違え挑発することで冷静さを失わせるなど、用意周到に罠を仕掛けていた老獪さはさすがです。

元々、ジョジョ一行において最もギャンブルを得意としているのはジョセフだろうと思っていました。バトルにおいても常に駆け引きを持ち込み、相手を欺くことを得意としているジョセフだけに、ギャンブル対決となれば誰よりも頼りになる存在だと。……だからこそ、そのジョセフがあっさり破れてしまったことには大きな衝撃がありましたね。

もう1枚もコインが入らない限界状態で順を回されたダービーは、そこから1枚のコインを投じてみせた。実はダービーはグラスをチェックする際に実は底面にチョコレートを付着させており、僅かながらグラスを傾けさせていた。そして、直射日光でチョコレートの破片を溶かすことで、傾きを正常な状態に戻し、1枚のコインを投じる猶予を作り出していた。

即ち、ジョセフの仕掛けよりも早く彼は手を打っていたということ。この表面張力のゲームはジョセフの方から提案されたゲームなのに、すぐさまこのチョコレートトリックの着想に至り、先手を打ったダービーは並大抵の知力ではないです。もはやこれはイカサマを超えた純然たるダービーの頭脳勝利だと言えますね。

一番の手練れと思われたジョセフが敗れ、残るこちらの人員は承太郎・アヴドゥル・イギーの2名+1匹。イギーはどう考えてもこの戦いに参戦できそうにありませんし、激情家のアヴドゥルは恐らくギャンブルには向いていなさそう(笑) 平然とした顔でイカサマできる性格でもないでしょうし。

となれば、やはり頼みの綱は承太郎でしょうね。承太郎はギャンブルの王道ポーカーで勝負を挑む。常に冷静沈着でポーカーフェイスの承太郎は、文字通りポーカーには抜群の強さを発揮するはずですが、ダービー相手に通用するものなのか。どこまでもクールに、それでいて大胆に、相手の裏の裏の裏までかく熾烈なポーカー対決を期待したい!

先に釘を刺しておきますが、イカサマを駆使した対決は大いに結構でも、後付けのスタンド能力を絡めたイカサマだけは禁じ手にしていただきたいです。例えば、ダービーのオシリス神は、相手のカードを透視できる能力を持っていたとか…。そういうゲームの根底を覆す都合の良い能力(設定)があとから明らかになると興醒め。超常的な力を用いない、“正々堂々としたイカサマ”で勝敗を決してほしいですね!

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. ある種のネタバレですので少し迷ったんですが……やはり断言しておきます。大丈夫です。
    ご期待くださいッ!

  2. ジョースター一行は情報がだだ漏れなのでこういう相手はつらいですね。

  3. >ジョセフがあっさり破れてしまったことには大きな衝撃がありました
    ジョセフに勝ってほしかったという人もいますが、これでこそ強敵感が出るというものですね。いくら承太郎でもいきなりグラス勝負を始めるとは思えませんし。ポーカーの相手が承太郎なのには主人公だからという以外にもちゃんと理由が…とあまり言うとネタバレですね(笑)

    ちなみに以降の部でも賭けやゲーム的なバトルは出てきます。オインゴボインゴもある意味そうですが、特にこのダービー戦がジョジョのバトルの多様性を決定づけた気がしますね。

    • ギャンブルを得意としたジョセフが敗れたことで、一気に緊迫感が張り詰めましたもんね。しかし、ジョセフは波紋の力でグラスの中の液体を固体化すれば勝てたんじゃないかと、ふと頭に過ぎりましたけど(笑) まぁ、それだと誰の目にも明らかなイカサマだからダメか~。

      >ダービー戦がジョジョのバトルの多様性を決定づけた
      ちょっと趣向を変えて、いつもと違ったことをやってみた……という軽い感じでもなく、質の高い本格的なギャンブル対決を見せてくれているので、この多様性はすごいなと感心させられます。このダービー戦、決着も納得行くものであれば、私の中でジョジョ3部は確実に1ランク上のステージにステップアップしますね。

  4. このダービーとの一戦は大人になり、子供時の純粋な気持ちが無くなった頃(笑)再び読んだのですが、子供時には感じられなかった面白さが凄まじかったのを覚えています。ジョジョは大人になったからこそ分かる面白さというのが多い気がします。

    「ばれなきゃイカサマでは無い」……今は納得してはいけないと分かっていても、頷けてしまう自分が悲しい。歳をとったなぁ(苦笑)

    エジプトに入り、いよいよバトルの方も多様化、本格化していきます。ジョジョを愛する一人として、管理人さんが楽しまれることを望むと共に、感想を期待しています。

    • こんなガチのギャンブル対決なんて、本来少年誌でやるような戦いではないですからね(笑) 子供より大人になってからの方が楽しめるエピソードなのは間違いないでしょう。

      バトルの多様化は、以前の段階から感じていましたけど、こういう切り口も見せられるのは想像していなかっただけに、ジョジョの懐深さを再認識した次第。エジプトに入ってからのバトルは、全部種類がバラバラで面白い。

  5. 自分が初めてジョジョをジャンプで読んだのもこのエピソードからでした
    (我ながらまた辺鄙で濃いところから・・・)

    非暴力であれイカサマであれ魂を奪う能力であれ、「自分の土俵に引っ張り込んでハメ殺す」という
    今では当たり前なバトルの展開を最大級のインパクトと緊張感で演出したダービー戦は、
    こののちのジョジョにおけるバトルの方向性、ひいては漫画的な駆け引きのバトルにおいて
    大きなスリルとカタルシスの典型を提示し「超能力・異能力」の強さや悪辣さを再定義した、
    地味に歴史的な一戦だと個人的に思います。
    思えばコレ以前の異能力の大抵は「覚醒して超パワーを得るための何か」とか
    「相手の攻撃が一切効かなくなるような何か」といった、単純な出力で相手をブッちぎるための
    鍵でしかなかった気さえするほど。

    OVA版では今は亡き内海賢二御大が演じるなど、ジョジョを愛好し手がける方々の多くは
    このギャンブラーに並ならぬ愛着と敬意を懐くようで、今回のTV版でも劣らぬ名優であられる
    銀河万丈さんがものすごい存在感を出してくれてました。
    音響演出にも気合がみなぎっており、「では頂きましょうか → 魂をですよ!」の瞬間
    BGMがブレークするなど、ダービーの強者感あふれる物腰を助長していたのがキモチイイ!
    「ゴーアヘッド! ミスタジョーストゥァー」と言う際の、人を食ったような煽るような
    トーンも最高にイラッときました(笑)

    ちなみに今のCMにおいて中田譲二ボイスでカブト虫カブト虫言ってるアブナイ人も
    (ジョージつながりなのか)教会の神父さんです。いちおう。まがりなりにも。

    • ジョジョ3部の連載時期っていつ頃なんだろうと思って調べたら、1989~1992年なんですか。ドラゴンボールがフリーザと戦っていたぐらいでしょうか? 少年ジャンプ最盛期ですねぇ。

      >スリルとカタルシスの典型を提示し「超能力・異能力」の強さや悪辣さを再定義した
      超能力・異能力を、「必殺技」としての攻撃スキルではなく、戦闘のツールとして利用し始めた(広く一般化した)のは、ジョジョの影響が相当大きかったんですねー。私はてっきり、幽☆遊☆白書の魔界の扉編(仙水編)あたりが発端だろうと、今までの人生ずっと思い込み続けてきたのですが!

      海藤が「禁句(タブー)」のゲームを仕掛けて魂を奪い合った戦いは、完全なるジョジョのオマージュだったのね(笑) あの辺の話は、幽☆遊☆白書で一番好きでした。

      >「では頂きましょうか → 魂をですよ!」の瞬間BGMがブレーク
      声優さんの演技も、音響演出も気合い入りまくりで見応えありました。どうやらジョジョの中でも相当な人気エピソードのようなので(いつになくコメント数も多いし!)、それだけアニメ側も力を入れていたんでしょうね~。「Go ahead, Mr.Joestar!」も痺れましたし、「Good!」のグゥゥゥーッドという発音もたまらなかったです。