ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第36話「アナザーワン バイツァ・ダスト その2」雑感

デデーン! 仗助、承太郎、億泰、康一、アウトー。年末の風物詩の如く、無情なコールが4人に突きつけられる。早人から何一つ吉良の情報を聞き出していないのに、早人に取り憑くキラー・クイーンの姿を視認しただけで全員アウトになっちゃうなんて、“絶対に探ってはいけない吉良吉影”のルール、シビアすぎません?

本気でキッツイですよ、このバイツァ・ダスト。防御不能の即死技でありながら、発動条件がゆるゆるすぎて回避しようがないんですもの。そもそもそんな能力があること自体知りようがないので、仗助側は避けるという意識すら持てない。もう完全に詰んでいるとしか思えないのですが…。「無理っしょ!」「いけないっしょ!」と私の中の天宮奏が棒読みで叫んでいます。

えげつないのは、一度バイツァ・ダストの犠牲となった者は、繰り返される世界線においても死が運命付けられてしまうこと。Steins;Gateでいうところのアトラクタフィールドの収束。前回、「バイツァ・ダストで殺されるたびに時間が巻き戻ったら永久ループになるんじゃないか」という疑問を抱えていましたが、2週目以降は死亡時刻が来ればバイツァ・ダストを介さずに自動的に死が訪れるため、時間の巻き戻しが発生しないという理屈だったのですね。

バイツァ・ダストは発動してしまった時点でゲームオーバー。早人はその事実をよく理解した上で、吉良との繋がりを仗助らに悟らせないよう、あの手この手を使って誤魔化しにかかり、果ては自刃にまで至りましたが、バイツァ・ダストは早人に自害すらも許さない。十重二十重の対策が施されたバイツァ・ダストは、過言ではなく無敵の能力だと言えますよ。

私も早人になった気分でこのゲームの攻略法を思案しておりましたけど、さっっっぱりクリアできる気がしません!! こんな無理ゲー、諦めてさっさと中古屋に売りに行こうと思ったところで、当の早人は驚くべき着想でこの悪夢を断ち切る算段を閃く。

それは自分自身の手で吉良吉影を倒すこと。冷静に考えてみれば、それが最も手っ取り早い解決方法であるのは確か。私は「どうやったら仗助たちに助けを求められるか」という逃げの思考にばかり固執してしまい、自ら立ち向かうという発想が完全に欠落していました。とはいえ、早人はスタンド能力も備わっていないフツーの小学生。彼が吉良を殺すというのは、常識的に考えて不可能に近いことです。

そこで吉良殺しの秘策として思いついたのが、屋根裏部屋に捨て置かれていたストレイ・キャット。強力な空気弾を発射するストレイ・キャットを武器に用いれば、吉良を一撃で葬り去ることもできる。ストレイ・キャットは結局何も解決されないまま放置されていた案件だったので気にはなっていましたが、まさかこの時のための布石だったとはね! 痺れる展開に興奮してきました。

何より熱いのは、この絶望的な状況下で早人が自ら戦おうと思い立ったことですよ。無力な小学生の立場なら、早々に反抗の意欲を失って諦めの境地に至ってもおかしくないところ。それが自らの危険を顧みず、吉良との戦いに駆り立てたメンタルが半端じゃないです。ガキの精神やあらへんで。

「神様、どうかこの僕に、人殺しをさせてください」

このセリフすごくないですか? 小学生の身で殺人を決心すること自体並大抵じゃないですが、普通神頼みといったら、「神様、どうかあいつを殺してください」と他人任せにするのが人の常。でも、早人は脅威から逃げ出さず自分で向き合おうとしている。使命感に突き動かされ、迷いや恐れの一切を振り切り、瞳に決意の炎を宿らせた早人は最高にクールでした! マジ早人、第四部主人公!

そして、作戦決行。不用意に近付いてくる吉良の隙を見て、ランドセルの中に隠し持ったストレイ・キャットを取り出し、至近距離から空気弾を喰らわせる。弾は見事心臓にクリーンヒット! ところが、吉良の息の根を止めることはできなかった。偶然胸ポケットに入れていた腕時計が盾となり、致命傷に至らなかったという吉良の悪運によって…。

最後まで本当にハラハラさせてくれます。吉良は、このあと起こる露伴・仗助・承太郎・億泰・康一の死を見届けたあとにバイツァ・ダストを解除してしまうでしょうから、ここが吉良殺しのラストチャンスだったんですよね…? 千載一遇のチャンスを逃してしまった早人は、今度こそ万策尽きたとしか思えません。うーん、やっぱりこれ無理ゲーですよ…。もう諦めて中古屋に売りに行こう!

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 今回は元になった原作の良さもありますが、演出がかみがかってましたね
    不意打ちでOPがバイツァダスト風になったり(画像にもありますが完全に逆再生ではなく早人の表情が変わってたり芸が細かい)歌詞も大さびの部分が使われたり、この部分でもうテンション最高でした
    そのあと早人が主人公たちと合流するっていう本来希望にあふれるシーンがバイツァダストのせいで絶望しか感じない場面になったり、早人の決死の作戦の緊張感など全体的に個人的に今までで一番の回だったと思います。
    最後もあんなところで引いておいてからの次回予告のタイトルもずるいですよね

    • オープニングの演出神ってるわ~(流行語)。第三部でも「ザ・ワールド!」で時間停止する特殊オープニングありましたが、今度はバイツァ・ダストの時間逆行を取り入れてくれるとは! いつものオープニングが逆再生されることで、あれだけ不気味な印象が増してくるのも不思議。

      >早人の決死の作戦の緊張感など全体的に個人的に今までで一番の回だった
      話としては繋ぎの回だったと思いますが、ストーリー的にはベストといえる盛り上がり。ジョジョ三部はラスト周辺は神回連発でしたけど、四部もそうなってくれるかな?

      >最後もあんなところで引いておいてからの次回予告のタイトルもずるい
      絶望しかない終わり方に、希望を感じさせる次回タイトル。いよいよラストに突入するという興奮も相俟って、来週が待ちきれないです!

  2. バイツァ・ダストは荒木先生自身が強くし過ぎたと後悔し、倒し方が思い付かず打ち切りすら頭をよぎったらしいですからね。早人くんの活躍に期待ですw

    • え、それ本当ですか? じゃあ、早人君の絶望感は作者の絶望感に通ずるところがあったのでしょうか…。ラスボス戦は綿密に構想を立てていたのかと思ったら、意外と行き当たりばったりだった?(笑)

  3. 「どうか、このぼくに人殺しをさせてください」
    これは本当にすごいセリフだと思います。これを言う早人の精神力と、これを思い付く荒木先生のセンスの2つの意味で。
    多くの読者が4部で一番印象に残ったセリフとしてこれを挙げるんじゃないかなーと思います。もちろん私も含めて。

    >自動的に死が訪れるため、時間の巻き戻しが発生しない
    先週分のコメントの続きなんですが、露伴にバイツァダスト(2回目)が発動したのはおそらく1回目は少し会話をしていたなどの理由で1回目よりも数秒〜数分早く条件を満たした為に上書き発動したのだと思います。
    上書き可能じゃないと巻き戻り直後からの1時間以内なら露伴に情報を伝え放題になってしまいますしね。

    >マジ早人、第四部主人公!
    ここ数話は本当にそうですね(笑)
    四部は確かに仗助が主人公でありながら、同時に「杜王町」の物語でもあるので、杜王町一般人代表みたいな意味で早人もまた主人公なんだと思います。まあ一般的な小学生にあるまじき精神力の強さですが。
    そしてこの「杜王町の物語」というのはこれからクライマックスを迎えるにあたってほんのちょっとだけ大事なことで、意識の片隅にでも置いておいてくれると物語を楽しみやすいかも知れません。もしかしたら。

    >今度こそ万策尽きたとしか思えません
    露伴爆死まで1分しかないからもう何もできない…と思うけどジョジョ世界で1分あれば結構いろいろやれそう(笑)

    • 「人殺しをさせてください」は言葉自体ショッキングですし、この境地に至るまでの早人の並々ならぬ思いを想像すると、とても心に響くものがありました。割と会話の中でさらっと出てきたセリフでしたけど、やはり原作ファンにとってもこれは印象に残る名言だったのですね~。

      「姉ちゃん! 明日って今さ!!」とポコ君が勇気を見せたシーン(第一部)が今でも心に残っているように、子供が1人で一生懸命考えて悩んで、そして勇気を持って行動するところが私は大好きです。

      >1回目よりも数秒〜数分早く条件を満たした為に上書き発動した
      今度こそようやく納得できました(笑) そう考えると、ちゃんと意味は通るようになっていますね。作者がそこまで考えてあのシーンを描いていたのかはやや微妙ですが、考えていたということにしましょう!

      >「杜王町」の物語でもあるので、杜王町一般人代表みたいな意味で早人もまた主人公
      大きな意味での群像劇なんでしょうねー。仗助・承太郎・ジョセフという主人公3人が勢揃いしている上に、康一や露伴も主人公と呼んでもおかしくないほどの存在感を発揮していました。これは第四部の大きな特徴なんだろうと思います。最終回を迎えたら、総括で書こうかなと思っていたところですけど(笑)

      >ジョジョ世界で1分あれば結構いろいろやれそう
      ザ・ワールドも時間停止は5秒と言いつつ、その間めっちゃ長い一人芝居が始まったりしていましたもんね(笑)

  4. 早人君かっこいいですよね!
    荒木先生は登場人物が道具や仲間に頼って困難を解決するのが嫌いらしいので、こういう絶望的な展開になってるんだと思います。
    仗助や承太郎に頼るだけでなく、自分の知恵や覚悟で立ち向かわないと解決できない状況になっているわけです。
    ただその考えのせいでたまに登場人物の察しが異様に悪くなっている気はしますが(笑)

    • 他力本願の主人公ほど見ていてつまらないものはありませんので、荒木先生の理念に全面的に賛同いたしますよ。最初は“スタンド”という概念そのものが他力本願の極致じゃないかと心配していましたけど、蓋を開けてみれば全然そんなことなかったのもさすがという感じで。

      >たまに登場人物の察しが異様に悪くなっている気はします
      いや~、ジョジョの登場人物は察しが悪いと感じることはほとんどないですよ。他人の気持ちがわからない鈍感野郎もいないですし。鈍感だったのは、第三部のオインゴのときぐらいじゃないですか?(笑)

  5. 質問してはいけないことに承太郎が気づきかけて、ここから!と思った直後に全滅。
    無理ゲーすぎて中古屋に売りに行こうとする気持ちわかります。

    早人が猫草の空気弾を百科事典で防いだシーン、作画ミスっぽいんですよね。
    原作だと辞典の途中で止まってたはずだけど、空気弾が辞典を貫通しちゃってる。
    そんな威力を防いだ、胸ポケットに入っていた腕時計の強度がとんでもないことに!

    • あの場面の承太郎の洞察力はさすがでしたね。でも個人として危険性に勘付いていようとも、他人の巻き添えで一緒に爆破されるんですから、バイツァ・ダストのゆるゆる判定が恐ろしいです(笑)

      >猫草の空気弾を百科事典で防いだシーン、作画ミスっぽい
      あまり気にしていませんでしたが、言われてみると百科事典貫通したのに腕時計で防げたのはちょっと変かも。それよりも、日光が当たらない雨天の状況で、ちゃんと猫草の空気弾は打てるのかを心配していました。てっきり「天気が悪くて失敗!」というオチかと。

  6. おお、今回は珍しく早いな。
    今回の評価が☆10だったことにも関係しているのかな?

    どう足掻いても絶望な状況からの脱却。以下に道を切り拓くかがジョジョの鍵となる。

    • レビューをアップする早さは、内容自体はあんまり関係なくて、単にリアルでの都合に左右されていたり。先週遅かったのは、i☆Risのライブのために東京行っていたからですし(笑)

      >どう足掻いても絶望な状況からの脱却
      残り1分でどうひっくり返すんでしょうね。何らかの弱味を握って、吉良にバイツァ・ダストの解除を迫る……とか?

  7. しっかりした主人公格がたくさんいて、それに負けないぐらい濃いラスボスがいて
    そうして全体としてバランスが取れているという

    ものすごく忙しいとされる週刊連載なのに、さすがですよね

    • そうですよね…。これ週刊連載されていたんですよね…。アニメだけ見ていると感覚が麻痺してしまいますが、こんなにアイディア豊富なエピソードの数々を毎週に渡って提供し続けていたって驚異的ですよ。変な粗探しとかしちゃダメですよね…(笑)

  8. この4部ラストの頃って荒木先生は風邪引いて体調最悪だったらしいです。
    それでこんなずば抜けて面白い展開思いつくんだから凄すぎです。
    しかも1回も原稿落とさずに、ですからね
    どっかの先生にも見習ってほしいです(笑)

    • そんな体調が悪い中で、こんな傑作を描き上げるなんてすごい! でも、風邪を引いたら無理せず休んでください(笑) 昔の週刊漫画家は、休みなしで酷使させすぎだったと思いますよ。休まず仕事するのが当たり前だったのでしょうがないですが、今はそういう時代でもありませんから、身体壊すぐらいなら原稿落としてもいいと思います。