ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第10話「イタリア料理を食べに行こう」雑感

杜王町の霊園近くに新規オープンした怪しげなイタリア料理の店「トラサルディー」。外国人オーナーシェフ、トニオ・トラサルディーが振る舞う料理を、仗助と億泰の2人が堪能する。ヤンデレに先鞭をつけていたジョジョの先見性にこの間驚かされたばかりですが、近年急増しているグルメジャンルまで押さえていましたか

ここではお任せで握ってくれる寿司屋のように、シェフが直々に客を見てその人に相応しい料理を提供してくれる。用意された献立は、ミネラルウォーター、モッツァレッラチーズとトマトのサラダ、娼婦風スパゲティ、小羊背肉のりんごソースかけ、デザートのプリンと、一風何の変哲もない庶民的なイタリアンだったものの、そのどれもが今まで味わったことがない美味が口内に広がる絶品料理。更に寝不足・肩こり・虫歯といった身体の不調をも全快させてしまう奇跡の医食同源メニュー

でも、こんなの絶対怪しいじゃないですか~。料理として味が良いのはともかく、持病まで全部治ってしまう効能があるなんて、そんなうまい話があるはずございません。億泰も結果的に健康になったとはいえ、眼球がしぼむほど涙が出たり、肩がえぐれるほど大量に垢が出たり、虫歯が抜けて新しい歯に生え替わったり、明らかに尋常ではない身体の変調を来しており、本当に身体にとっていい料理だったのかさえも怪しい…。

何か危ない食材を使っているのでは? とんでもない調理法で作られているのでは? 食べ終わったあと法外な代償を求められるのでは? 完全に疑念に凝り固まっていた私はあらゆる想定をしながら、これから起こり得るであろうアクシデントに身構えていました。このトニオという男、確実に何かを企んでいる!

警戒を強めていたのは仗助も同様だったようで、クレイジー・ダイヤモンドを使って料理を材料レベルにまで戻して調べてみると(そんなこともできるのね)、食材にスタンドが混入されていた事実が明らかに。体内にスタンドを送り込み、内部から破壊するつもりだった? 何にせよ、トニオがスタンド使いであると判明した今、もう遠慮はいらない。奴の魂胆を突き止めるべく、厨房内に押し入る仗助。すると、そこには無残にもはらわたをぶちまけられた犬の死体が…。

凄惨な現場を目撃されたトニオは、にこやかな態度を豹変させて仗助に襲いかかってくる! 遂に本性を現したトニオに対し、私はどこかホッとする気持ちがありました。ずっと疑いの目を向けていた相手が、予想通りの悪者であってくれたことで、「ほら、やっぱり!」と安堵にも似た感情が沸き起こりまして。

ところが、トニオは不衛生な状態で厨房に立ち入ったことに激怒しただけであって、別段やましいことがあったわけではありませんでした。殺されたと思われた犬も元気に生きていました。トニオがスタンド使いであるのは確かで、料理にスタンドが使われていたのも間違いなかったものの、悪さを企んでいたことはなく、あったのは純粋に美味しい料理を食べさせたい料理人としての気概のみ。散々人を疑わせておいて、怪しませておいて、結局フツーにいい人だったというオチ

まさに「疑心、暗鬼を生ず」ということわざを体現したかのようなエピソードですね。私みたいに、疑り深くてすぐ話の裏を読もうとする嫌な奴ほど、今回の話は引っかかりやすいんじゃないでしょうか(笑) ものすごくいろんな出来事があったかのように感じましたけど、振り返ってみれば本当にイタリア料理を食べただけの話。ずっと頭の中をぐるぐるさせて考え込んでいた自分がバカみたい! でも、そこが良かった。

「トマトを料理させたらイタリア人に敵うものはおりません。これは自慢ではありません。誇りなのです」

自慢ではなく誇り! このセリフ、めっちゃ格好良くてお気に入り~。自国の誇りを堂々と口にできるのってやっぱりいいね。日本の誇りは外国人に褒めてもらうんじゃなくて、日本人自身が自負しなきゃ。

「サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分が絡みつく美味さだ! チーズがトマトを、トマトがチーズを引き立てる!」

作画の素晴らしさと、億泰の表現力豊かな感想のおかげで、画面からカプレーゼの濃厚な旨味が伝わってきます! 億泰にこんな食レポの才能があったなんて(笑) でも、下痢に眼精疲労に肩こりに虫歯に水虫って、高校生なのに持病ありすぎじゃないですかね!?

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  1. トニオさんが、本当に敵で、料理を食べると死ぬタイプのスタンドだったら、恐ろしい敵だと思います。億康も止まらなかったように、三大欲求の食で、攻められて抗える人は少ないと思います。

    まあ、敵だと知っていたら、そのまま倒せば良いだけですけどね。

    あと、トニオさんの話で好きだったのは、仗助が「本当に美味しいものを食べさせたかっただけなのかよ?」って質問に「料理人にとって、それ以上の幸せはありますでしょうか?」って返しが好きです。

    • すいません。なんか違和感があって、見直しました。
      「あんた、マジに億泰に良い料理を食わせようと・・・ただ、それだけなのか。」
      「料理人にとって、他に何があるのでしょう?それが私の生きがいです。」
      の間違いでした。恥ずかしい・・・。
      やっぱ、寝る直前にカキコは、いかんですね

    • トニオがスタンド使いであることは予想できても、料理の中にスタンドが混じっているという発想は微塵もありませんでした。というか、あのスタンドの能力は“料理にして食べさせると健康になる”……ってことでいいんでしょうかね? 名前も明らかになりませんでしたので謎が多いスタンドです(そういや、由花子のスタンド名もわからない)。トマトの化け物みたいな見た目は愛らしいんですけど(笑)

      >料理人にとって、他に何があるのでしょう?それが私の生きがいです
      終始トニオの裏の顔ばかりを探って見ていただけに、心に響く言葉でした。このエピソードが人気ある理由もわかります。

  2. しかも過去に腰痛を患って山形で湯治したことのある高校1年生…億泰の体はボロボロですね。

    今回は原作知ってるのに億泰の食レポ&リアクション芸に笑いっぱなしでした。
    トマトとチーズを食べて喩えにウッチャンナンチャンやあしたのジョーが出てくる発想力よ。(あとすごく時代を感じる。笑)

    オチも面白かったです。3部からの「スタンド使いと出会って倒す」というパターンができてたからこそですよね。
    「新しいスタンド使い=敵」という先入観にとらわれているほど、いい意味で裏切られたのではないでしょうかね。私はそうでした(笑)

    • スタンド使い=敵というのは先入観が覆される話で、今回のエピソードはとても奥深かったです。何気に“食べられるスタンド”というのも先入観を覆すものでした。もし本当にトニオが敵意を持っていて、体内から破壊するような力があれば、億泰は防ぎようがなかったですね。

      食べる前は料理にケチつけながら、いざ口にするとオーバーリアクションで絶賛し始める億泰の食レポはホント面白かったです。

      >トマトとチーズを食べて喩えにウッチャンナンチャンやあしたのジョーが出てくる発想力
      あ、ウッチャンナンチャンって言ってたんですか~。そこなんて言っていたのか聴き取れなくて。まさかカプレーゼの味の比喩にウッチャンナンチャンが出てくるとは思わなかったですから(笑)

  3. 普通に生活していた仗助が度重なるスタンド使いとの遭遇に警戒心が高くなって非日常的な思考をして、逆にスタンドでの切った張ったな世界に生きてきた億泰が警戒心の欠片もない平和すぎる日常的な思考をする、というような二人の送ってきた生活と現状のギャップにそれぞれ別方向に染まって来ているのがわかるのも面白いですよ。
    間田のスタンド使いは引かれ合うが敵か友人かはわからないという言葉まさにその通りなのも4部の楽しい所です。

    • 仗助は祖父を殺され、億泰は兄貴を殺され、スタンド使いに対して思うところは共通していそうなのに、危機感の持ちようは全然違いますね~。億泰はいい意味で脳天気。このキャラはずっとそのままでいてほしいな。

      でも、次の話は早くも兄の仇であるレッド・ホット・チリ・ペッパーが出てくるみたいですので、億泰のシリアスな一面が見られるでしょうか?

      >スタンド使いは引かれ合うが敵か友人かはわからない
      第三部の感覚がまだ抜け切れていないので、どうしても登場するスタンド使いは全員悪者で敵だという認識。悪意を持たないどころか、バトルにさえ発展しないスタンド使いが出てくるとは想像していませんでしたよ。

  4. スタンドは戦うために使うものという今までの常識を一変させた革命的な話でしたね。
    自慢ではなく誇り!というセリフは私も大好きです。

    • 攻撃魔法的なイメージしかなかったスタンドが、第四部で革新的な変化をもたらしてくれたと思います。特にこの第10話は。ネタバレされずに、まっさらな状態で楽しめて良かった(笑)

      >自慢ではなく誇り!というセリフは私も大好き
      自慢と誇り、似ているようで非なる言葉ですからね。

  5. 私がモッツァレラチーズを初めて食べた時
    白カビチーズと比べて味がちょっと薄く感じました
    その時、そういえば億康も単品で食べて同じ様なこと言ってたな、と
    懐かしく思い出されて面白かったです

    浅生さんもモッツァレラチーズ初体験のご記憶はありますか?

    • 私は多分、初モッツァレラチーズはスーパーで売っている既製品の安物で食べているので、初めて食した記憶は特に残っていないですねー。最初にこういった極上のものをイタリアンのお店で食べていれば、もっと鮮烈な印象が残っていたかもしれませんが。

      むしろ私は、初めて塩豆腐をいただいたとき、「モッツァレラチーズみたい!」と驚いた印象が残っています(笑)

  6. 由花子さんもそうでしたが、四部は
    荒木先生の大好きなホラー映画という
    ジャンルそのものを漫画でパロディした
    内容が多いですね。
    トニオさんなんて人肉食わせてないと
    逆におかしいレベルの狂気です。

    それにしても、時代を築いた清純派声優に
    無修正でチンポコ言わせたりする反面、
    肩がかゆいというだけの状態にグロ修正が
    入るなど、製作スタッフのノリもだいぶ
    暖まってきたようで今後が楽しみです。

    • ホラー要素は第三部でも顕著でしたし、作者の荒木さんは余程洋画ホラーがお好きなんでしょうね。トニオ回は、筒井康隆さんの影響が合ったのかなと思いますが。人肉食わせていないと逆におかしいというのは仰る通り(笑)

      >時代を築いた清純派声優に無修正でチンポコ言わせたりする
      古い原作をアニメ化したりリメイクしたりする場合、今の基準にそぐわない部分をどう再現するかが問題になったりしますが、ジョジョは可能な限り当時のままを再現している感じがして、それがまた好印象。

      最初の数話をちらっとだけ見たうしおととらは、変に現代風なところと古臭いところが混じっていて、逆に違和感でした。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。