ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第8話「山岸由花子は恋をする その1」雑感

第三部で能力系バトル・やれやれ系主人公を生み出していたジョジョが、四部に入って日常系アニメを始めたかと思えば、ヤンデレヒロインまで! 後世のトレンドをことごとく先取りしている慧眼に敬服いたします。というより、今活躍されている漫画家やラノベ作家の方が、子供の頃に読んだジョジョの影響を大いに受けている結果ってことでしょうかね~。

個人的にはヤンデレはそんなに刺さらない属性なんですが、山岸由花子の場合、他のヤンデレとは確実に一味違っていたというか…。広瀬康一に献身的な愛情を捧げ、教育の名の下に拉致監禁。彼女のヤンデレの源泉はありがちな“嫉妬”ではなく、“理想の押し付け”であるところに深みを感じましたよ。

男して決してイケているとは言いがたい康一が偏愛されるのも通常なら違和感があるものですが、由花子は康一の将来性を見込んで惚れているから納得できる。自分だけはその男が持つ可能性が見える、自分ならその男を立派に成長させてあげられるといった思い込みは、ダメ男にハマる女性心理に基づく現実的な恋愛観念ですから、根底にしっかりとしたリアリティが感じられるんですね~。

「ダメな○○を自分がなんとかしなくては」という使命感は暴走を生みやすいですし、彼女が狂気に駆り立てられる行動原理にも筋が立っています。まぁ、普通はそう思ってもなかなか拉致監禁までは行かないものですが、由花子さんはちょっと人より思い詰めちゃう性格みたいだから仕方ないね!

「私が貴方を教育して、立派な男にしてあげるわ」
「育ち盛りですものね。しっかり栄養取らないと。私のために立派な男の人になれないわよ?」
「康一君。貴方はこれから私のことを恨む気持ちになるかもしれない。でもこの家を出るとき、一回りも二回りも成長した自分を鏡で見て、きっと私に感謝するわ。ああ、自分にはこの女性が必要なんだ、山岸由花子がいなくてはこれから生きてはいけない、ってね」

これらのセリフはマジで背筋が凍ります(笑) リアルに気が違っている人とは、感情を抑制しきれず狂気に走る人間のことではなく、由花子のように、狂気を自覚しながら「自分の行いは正しい」と正当化する人間のこと。ネット炎上でも、有名人への嫉妬からストレス解消で叩いている人間より、「自分が叩くのは社会正義のためだ」と思い込んでやっている人間の方が100倍たちが悪いのと同じ理屈ですよ!

そんな“本物感”が漂う恐怖の中に、とびっきりのチャーミングな一面を見せてくれるのですから、高低差あるギャップでコロッとやられてしまう~! 康一の勉強のためにわざわざ問題と箱を自作して、朝からノリノリでクイズを始めるところなんてめちゃくちゃカワイイじゃないですか! 問題に正解したら、自分のことのように大はしゃぎで喜んでくれていたのも愛しすぎる! 間違ったら、消しゴムや石鹸を食べさせようとしていたのはともかく!(笑)

次の二問目、正解がわからない康一が由花子の表情を伺いで答えを導こうとしたところ、由花子はクレバー・ハンスをすぐに看破。一瞬「この女ちょろいな」と思わせつつ、実はこちらの魂胆なんか簡単に見通されていたってところに興奮(?)しますよ。盲目的な恋で前後不覚になっているようで、極めて冷徹な視点も持ち合わせている山岸由花子に、完全に私はずきゅんと来てしまいました…!


アメとムチを巧みに使い分ける(ムチの痛みが半端じゃないですけど)由花子の手によって、果たして康一はこのまま調教完了されてしまうのでしょうか。頭おかしい女に目をつけられた康一君はとても不幸だと言えますけど、私にとって由花子の可愛さとキツさの比率は7:3ぐらいなんで、まだまだ「羨ましい」と思える範疇。康一への同情を強めるためにも、もっとキツさ出してもらっていいんですよ?(笑)

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 四部のメインヒロインきましたね。当時はとんでもないキャラだと思ってましたが、今見るとそんなでもないところに時の流れを感じます。w

    • え、メインヒロインなの?(笑) 由花子かなりツボですけど、これがメインヒロイン扱いというのは攻めているな~という印象。まぁ、これといったヒロイン格が誰もいなかった第三部に比べたら、まだ恵まれているといえるでしょうか。

  2. 原作を小学校低学年の頃読んでいた当時の私には、山岸由花子は
    恐怖の対象でしかなかったですね、本当に怖かった

    とはいえ、浅生さん(と私の)の大人目線で由花子を考え直してみると
    おっしゃる通り可愛らしさ、リアル感があるんですね
    その上さらに能登さんの声で可憐さも追加されているのですから
    30分があっという間なのも納得、本当に面白かった

    • あまりに上級者向きすぎて、少年誌に出していいヒロインではないですね~(笑) 90年代にはヤンデレなんて言葉はなかったですし、よくもまぁこんなキャラを生み出せたものだと感服するばかりです。すごすぎる~。

      >大人目線で由花子を考え直してみるとおっしゃる通り可愛らしさ、リアル感がある
      ヤンデレというある種突飛なキャラであろうと、「実際にこういう人いそう」と思わせるのは大事と思います。リアリティがあるからこそ恐怖感が真に迫りますし、ご都合的でないからこそ彼女の愛情も心に響く。

      >能登さんの声で可憐さも追加されている
      能登さんの癒やしヴォイスのおかげで、だいぶ由花子のクレイジー感は中和されているような? 声がカワイイというのは得ですね。