ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第6話「広瀬康一(エコーズ)」雑感

前回が重い話だっただけに、ちょっと力を抜いた軽めの話を所望していましたが、リクエスト通りいい感じの軽さ。ジョジョのスタンドバトルとして生き死にが絡まないものは初めてじゃないでしょうか? 戦士ではない、普通の一般人がスタンド能力に目覚めているって点が、第四部の最大の特徴ですかね。

小林玉美は、虹村形兆に弓矢で射貫かれてスタンド能力に覚醒した人物の1人。彼は罪悪感に苛む人間の心理につけ込み、ザ・ロックというスタンドで対象者の心に錠前を掛ける。その人間の罪悪感を強めれば強めるほど錠前の重量が増し、心身への負担が増大。最近女児アニメにどっぷりと浸かり、日々罪悪感を抱えながら生きている私が食らってしまったら、待ったなしで即死でしょうね…(笑)

これといった防御手段がないところに恐ろしさを感じる一方、罪悪感に無縁な人間にはまったく効果がなさそうなのが面白い。DIOのような根っからの悪は勿論、承太郎なんかも全然苦にしないんじゃないでしょうか。他人に何を言われようと自分が正しいと思うことを貫き通すタイプですから。

曲者揃いだった三部キャラクターと比べ、四部は割と優しい心を持つ常識人が多いようで、このザ・ロックのスタンド能力は効き目抜群。ヤンキーで悪ぶっている億泰も、殴られた小林が前歯が折れたと泣き喚いたら、急にびびって罪の意識を感じ始めちゃう始末。このワルになりきれていない感じがカワイイ。

対象者が限られると同時に、このザ・ロックの能力は使いこなせる人間も限られてきそう。罪悪感を煽り立てるには、まず口が達者じゃなきゃ無理でしょうし。無実の相手に、言いがかりで罪の意識を芽生えさせる小林玉美の弁舌は、ある意味スタンド能力以上にすごい。悪知恵も相当働く奴で、騙し取った7,000円を返還するとき、お札の切れ端だけを見せて返したように見せかけたのは、むしろその手口に惚れ惚れするほどでした。

小林は7,000円を騙し取るじゃ飽き足らず、康一の家にまで押しかけて、今度は家族を巻き込んで追い込んでくる。母と姉を人質に取った卑劣な小林に、康一の怒りは沸騰。ここで前々回登場した康一のスタンドの卵が遂に孵化。ラブリンな“ペアとも”が誕生するかと思いきや、出現したのは可愛げゼロの気色悪い生物で…。

戦闘能力は極めて低いものの、攻撃の際に発せられる音が対象者の身体に文字となって張り付き、その音が耳鳴りのように不協和音として響くというスタンド能力。バキッとかビシッとかならまだ耐えられそうですが、メメタアとかパパウパウパウとかルチャッとか、ジョジョ特有の意味不明の擬音が連呼されたらとても正気を保っていられないね!(笑)

しかし、わざわざ卵の状態で登場させて、「一体どんな怪物が産まれようとしているんだろう?」と期待を煽った割りには結構フツーだったというか、イマイチ地味な能力だったので拍子抜け…。時間を止めるDIOの“ザ・ワールド”のような、もっと反則級のとんでもないスタンドが出てくると楽しみにしていたのにな。

「信じて!」という叫びを母親に張り付かせて説得を成功させたように、敵への精神攻撃のみに用いられるスタンドでないところは深みを感じましたが。今後は「こんな使い方があるのか!」という斬新な用途に期待したいです。

それにしても、康一のお姉ちゃんがやたらと美人だったのはなんか釈然としない(笑) 康一の姉なんてちんちくりんなのを想像するのに、めちゃくちゃグラマラスなおねーさんじゃないですか! こんな最高のお姉ちゃんがいるなら、康一君にはもっと罪の意識を感じてもらわないと…!

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
この記事のトラックバックURL
  1. 今回のようなバトルこそ4部の真骨頂と言えるようなバトルでしたね。
    アニメではカットされたのですが原作では玉美が途中で言う
    「俺は暴力は使わねぇ!暴力は嫌いだからな!」ってセリフがあるんです。
    暴力という一見悪党が行いがちな行為を嫌ってるのにその実誰よりも
    浅ましくて悪どい。こう嫌らしさこそ4部の敵の最大の特徴なんですよね。
    3部で言うとラバーズのような能力にダービー兄の狡猾さを併せ持つ本体ですかね。
    で、プライドだけ抜け落ちてるから強者はガン無視で弱者狙い撃ち。いや~~カスです(笑)
    荒木先生が単行本のコメントで「自分の弱さを攻撃に変えた者、それこそが本当に恐ろしい」
    と言ってましたが、この玉美はそのコメントを体現する実に恐ろしい敵であったと言えます。

    >ジョジョのスタンドバトルとして生き死にが絡まないものは初めてじゃないでしょうか?
    いや、生き死には思いっきり絡んでましたよ。お母さんはあのままだったら確実に自殺してましたから。
    スタンドは一般人には視認不可ですからもし死んだとしても完全に「自殺扱い」になり、玉美は無罪です。
    そこがこのスタンドの一番怖い点なんです。3部のスタンドのような攻撃力が皆無なので「表面上は自身の
    手を一切汚さずに相手を始末出来る」というわけでして。一度に複数に付加出来るのも非常に怖いです。

    >時間を止めるDIOの“ザ・ワールド”のような、もっと反則級のとんでもないスタンド
    あんまりネタバレするとアレなんで詳細は伏せますがお楽しみに、とだけ申しておきます。

    • 初期のスタンドは、必殺技・攻撃魔法という性質が強かったですが、今は敵に何かしらの条件を課すようなスタンドが増えてきましたね。これなら非力であっても戦いに勝てるチャンスがありますので、必ずしも暴力が伴わない戦いは増えてきそう。まさにジョジョは現代に息づく異能バトルの源流ですね。

      更に奥深さが増してきそうな戦いに大きな期待が膨らむ一方、今後スタンドの強さだけで勝負が決まるようになってくるんじゃないかという不安も…。私は何の変哲もないフツーの高校生が、努力もなしにご都合的に目覚めた能力で最強気取りの現代的な異能バトルが決して好きではありませんので、ジョジョが現代的な異能バトルの性質を帯びてくるのは、ポジティブなのかネガティブなのか微妙。

      まぁ、三部でスタンドバトルが始まったときも似たような懸念はあってすぐに杞憂に終わったので、四部も大丈夫だと信じていますが!

      >お母さんはあのままだったら確実に自殺してました
      そうなんですけど、もし本当にあのまま母親が自殺しそうになったら、小林は先に折れて能力解いていたように思えるんですよね。ハッタリで金を騙し取ろうという魂胆の彼が、本気で人殺しにまで手を染めていたとは思えなくて。そういう意味では、従来のようなやるかやられるかのバトルではなかったなと。

  2. 康一が善良だからあんまりぱっとしませんが、音を染み込ませることによる洗脳力は敵側だったらかなりやばかったりします。やりようによっては人格を作り替えられたりしちゃいますからね。射程も長いので攻撃をくらった後に逃げ回られでもしたらノイローゼ必至!w
    4部はジョジョとしては丈助が主役ですけど、異能バトル物としてみると康一の方が主役ポジにいたりします。
    ・普通に暮らしてたけど丈助達と出会うことで色々巻き込まれる。
    ・困難に立ち向かう勇気がある。
    ・壁を乗り越えるたびに成長していく。
    ・姉ちゃんと母ちゃんが美人。
    等々、異能バトル物のテンプレの一つですよね。
    卵から幼体になってるので何となく想像できると思いますが今後のエコーズにご期待ください!

    • 音による精神攻撃は想像以上にキツイものと思いますが、強敵相手に果たしてこの技は本当に通用するのかという疑問。例えば、カーズやDIOみたいな敵が、耳鳴りが煩くて辛いから降参するというのは考えにくいですし…。このスタンドの有用性はまだ見えてこない感じ。

      >異能バトル物としてみると康一の方が主役ポジにいたりします
      実は康一が主人公ポジションというのは確かに。康一は現時点ではそんなに好きなキャラじゃないんですが、成長を遂げてどんどん格好良くなるキャラであってくれれば嬉しい。今回のエピソードでも既にその片鱗が垣間見えましたしね。梶裕貴さんのドスが利いた声が素晴らしかった。突然の松尾芭蕉の一句の引用だけは「?」でしたけど(笑)

      >卵から幼体になってるので何となく想像できると思いますが今後のエコーズにご期待
      あ、なるほど幼体ですか。すいません、そこに気付いていなかったです。本人と同じくまだまだ成長の余地を残しているってことですね。このまま大きくなって声変わりしてCV若本規夫になったりするのかな(笑)

  3. 他の能力バトル作品は、戦闘に特化して、見た目からして派手に強くって感じで、強さもインフレ
    してしまうのを目にするのですが、対して、「音をしみこませる」対「罪悪感を感じさせる」という戦いが面白いです。

    「信じて」の使い方も、康一くんだから信じてもらったのであって、
    仮に玉美が親に使っても効果ないだろうとw
    能力も万能ではないところが好きです。

    勝負には負けましたが、玉美のスタンドは実生活の中ではかなり怖いと思います。

    罪悪感から一生涯会社のために尽くす社畜が・・・。
    罪の意識から連帯保証人に・・・。
    流行りのハーレムも罪悪感で・・・。

    玉美は家や土地や、娘を奪おうとしましたが、自分の能力がよくわかってるんですね。

    • 「音をしみこませる」「罪悪感を感じさせる」という能力のアイディアもすごいですけど、一見戦闘に結びつきそうにないような能力を、戦いの中で活用させていくアイディアもすごいと思う。

      能力バトル漫画として後発ならともかく、ほとんど元祖といえるジョジョがここまで踏破していたのが恐ろしいですよ。時代を先取りしていますねー。

      >玉美のスタンドは実生活の中ではかなり怖い
      スイーツを食べさせた直後の女子なんて、きっと全員どでかい錠前の重さに苦しむと思いますよ(笑) 小林が仲間(舎弟)になったということは、今後は敵相手にもザ・ロックを使っていくのかな? 罪悪感の重さでやられちゃう敵がいるのかは疑問ですが…。

  4. >戦士ではない、普通の一般人がスタンド能力に目覚めているって点が、第四部の最大の特徴
    言いえて妙です。
    社会から半歩はみ出した戦士ではなく、苦楽と共に日常に根を降ろしている一般人だからこそという
    能力の使い方をしてくるのが4部の人物たちの特徴だと思います。
    形兆兄貴のバッド・カンパニーも、彼が口にした几帳面な物事のたとえと、
    コレクション人形のような風体のスタンド群との関連を感じさせるものがあります。
    塵も積もれば山となる破壊力のスタンドでしたが、それだけにあのあばら家の中で
    自分の部屋は日々きちっと片付けてそーな形兆兄貴を思うと何だか微笑ましい。

    能力があるからって義務感に駆られたように悪人を裁いて回ったりもしなければ、
    社会や世情を根底から覆すような壮大な悪巧みに走ったりもしない。
    善人も悪人も、社会の恩恵を無視していないところがこの部の魅力だと思います。

    >曲者揃いだった三部キャラクターと比べ、四部は割と優しい心を持つ常識人が多いようで
    えっ ああ、ハイ(既読組特有の苦笑い)

    • 同じスタンドがメインであるとはいえ、三部と四部でまたガラッと作風を変えてきましたね~。世界を股に掛けた壮大なロードムービーだった第三部に対して、第四部は1つの街の中で起こる奇妙な怪事件という感じで、いい意味で規模が小さい。ゲームなんかでもそうですが、こういう小さな世界でちまちまディテールを詰め込んでいく箱庭感のあるものが個人的には好きだったり。

      際限なく規模が大きくなっていって、いずれインフレを起こすのがバトル漫画の定番だというのに、敢えて世界観をダウンサイジングしたジョジョは異端の感性。

      ただ、最後までこの調子だと、ラストはどう収束させるつもりなのか気になります。三部はDIOの居城に近付けば近付くほど、否が応でも盛り上がってきましたが、四部は後半どうやって盛り上げていくつもりなのかという点が不安でもあり楽しみでもあり。

      >自分の部屋は日々きちっと片付けてそーな形兆兄貴を思うと何だか微笑ましい
      見かけによらず几帳面な性格っぽかったですからね(笑) 形兆良いキャラしていたんで、死んじゃったのはちょっと残念でした…。重傷ってことで、また後半ぐらいに復帰してもらいたかったな。

      >善人も悪人も、社会の恩恵を無視していないところがこの部の魅力
      社会の規範の中に存在する悪というのも逆に恐ろしいものですね~。遠くの国の戦争よりも、身近に感じる小さな脅威の方が恐ろしいもの。ジョジョ四部にはそういう恐ろしさを期待します。