ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第5話「虹村兄弟 その3」雑感

バッド・カンパニーとのバトルはあっけない幕切れ。もう一波乱あるだろうと期待して1週間待っていましたが、やっぱり先週で決着はついていたみたいで肩透かし。それでも形兆を狂気に駆り立てた原因に、グレートにヘヴィなドラマが存在していて思わず見入ってしまいました。そこには現代社会が抱える病理、厳しい介護疲れの実態が…。

虹村兄弟の父親はDIOに肉の芽を体内に埋め込まれており、DIOの死後おぞましい異形の怪物へと変化。当初はどうにか父親を救う方法を模索していた形兆も、それが叶わぬと知った今、今度はひと思いに殺してやりたいという考えに

しかし、怪物と化した父親は不治であると同時に不死。あらゆる手段を施そうと父親を絶命させる術はなく、そこで形兆は“父親を殺せる”能力を持つ人間を探し出すため、手当たり次第弓矢でスタンド使いを覚醒させていった経緯があったんですね…。

彼の行いは決して肯定されるものではないですが、そのやりきれなさには共感できる部分があります。痴呆症の父親を抱え、その介護に苦しむ人たちの悩みは今の高齢社会では珍しくない事例だけに、誰しも形兆と似たような状況に立たされる可能性はある。私も自分の身に置き換えて想像したら、なんともコメントしにくい問題ですよ。

まったく、少年誌の敵キャラが悪事を働く理由なんて、もっと身勝手でどうしようもない理由にしてほしいよね!(笑) 同情する気にもなれないカスみたいな奴が丁度いいんです! 「介護疲れ」なんて告白されてしまったら、もう責めるに責められないよ! 憎むに憎みきれないよ!!

「殺すスタンド使いよりよ、治すスタンド使いを探すっつーんなら、手伝ってもいいぜ?」

そんな中、仗助の優しさが心に染み渡る。承太郎に続いて高校生ヤンキーキャラが主人公で、最初は承太郎の劣化版みたいに見えていた時期もありましたが、この「優しさ」は間違いなく仗助を語る上での大きな個性であり魅力です。

形兆と和解して一応の解決を見るのかと思いきや、ここで急展開。電気コンセントを通じて、突如見知らぬスタンドが姿を現した。不意を突かれて弓矢を奪われてしまった挙げ句、形兆は一瞬にして黒焦げに…。文字通りの電光石火。

この電気スタンド(なんか意味が違ってくる)の名前はレッド・ホット・チリ・ペッパー。……って、レッチリさんじゃないっすか!(笑) ジョジョのネーミングは欧米のミュージシャンや曲から引用されているのは知っていますけど、レッド・ホット・チリ・ペッパー(ズ)はさすがに有名どころすぎて、あっちの方を連想するなー。

「兄貴はよぉ…、ああなって当然の男だ…。真っ当に生きられるはずがねぇ…。宿命だった…」
「でもよぉ、でも兄貴は最後に、俺の兄貴は最後の最後に、俺を庇ってくれたよなぁ!? 仗助! 見てただろう!?」

悲しみに暮れる弟億泰の問いに、「ああ、確かに見たよ。おめーの兄貴は、おめーを庇った」と答えてあげたのもまた仗助の優しさ。ここで2人はわかり合えて、親友同士になったのがいいですね。仗助と康一の組み合わせはイマイチ面白味がなかったですが、億泰とはお互いヤンキー同士馬が合って掛け合いも面白そう

「聞き慣れない声だな。誰だ? そういうアンタは」

承太郎に電話で警告してきた謎の男が、形兆を殺したスタンド使い。森久保祥太郎さんの特徴ある声で、個人的にはめっちゃ聞き慣れている声ですが(笑) つい口を滑らせて自分が学生であることがバレてしまい、思い切り逆ギレしていたのは笑えたなぁ。冷酷で恐ろしい男を想像していましたが、意外と愉快な奴なのかもね。

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  1. 良放送回でしたね

    冒頭からシリアス進行で泣き、感動を混ぜ込みつつ最後にはクスッと笑えるオチまで付けてくれて、とても満足できました

    物語の続きも気になります

    • グレートにヘヴィな話であったものの、脚本としてはすごく良いお話でした。最後に明るく終われたのが救い。あれだけ悲惨な目に遭いながら、引きずることなく明るさを見せてくれた億泰の存在がありがたい。

  2. 身勝手でどうしようもない理由で悪事を働きつづけた結果
    サザエさんみたいな髪型の少年を怒らせて杜王町の名物になった人がいましたね。

    >「兄貴はこうなって当然の男だ」
    億泰の心根の良さを表す独特なフレーズだと思います。
    似たような悪役で、しかも後に更生する輩はこういったケースの際
    「ここまですることはないじゃないか!」と悲憤して復讐の念から主人公に協力したりしますが、
    億泰はたとえ実の兄弟であっても悪い事をしていたから罰やしっぺ返しを受けて当然だと言う。
    それでも兄が最期に自分をかばったという事実から目を背けることができない、
    弟としての感傷も包み隠さず出し、それをさっきまで命のやり取りをしていた仗助たちに訴える。
    今後も億泰はいくつか「自分は頭が悪い」という自認を出してくるところがありますが、
    ただの馬鹿では終わらない、愛すべき単細胞なのが彼の魅力。

    >まんますぎる「レッチリ」
    そのダイレクトさもジョジョの魅力のひとつです。特に4部はそのまんま要素多すぎて笑います。
    同時にただの小ネタでは終わらず、まさしくそのスタンド能力と本体の性質を象徴するような
    シビれるネーミングセンスである事もまた。

    • そういう意味では、アンジェロは悪役として最適でしたね~。ぼっこぼこに殴られた挙げ句街の名所として生涯を過ごす惨い仕打ちを受けようと、まったく同情心が沸いてこないんですから!(笑)

      >億泰はたとえ実の兄弟であっても悪い事をしていたから罰やしっぺ返しを受けて当然だと言う
      おおよそバカという者は、己がバカであることに気付かず、バカな頭を捻って無理に考えて、思いついたバカな答えが正解だと思い込むからバカ。億泰においては、自分がバカであることを自覚しているがゆえに、下手な考えに固執することなく、自分の感覚を優先して行動できるのがいいですね。

      それでいて感傷に左右されることなく、物事の善悪は客観的に判断できているのですから、むしろ地頭は賢いともいえるかも。兄が悪いと理屈でわかっていても、兄の亡骸を前にそれを認めるのはなかなか難しいですし、兄の死の遠因を作った仗助を逆恨みしてもおかしくないケース。バカだけど賢い億泰は、実に奥深いキャラクターであると感じます。

      >(スタンド名)4部はそのまんま要素多すぎて笑います
      洋楽に疎いので、三部までの元ネタアーティストはほぼ知らない人ばかりだったんですよ。マライア・キャリーはさすがに知っていましたが、マライアだけじゃ元ネタは連想できなかったですし。

  3. 要約すると「認知症の父親が不死だから尊厳死させてやりたい」で大体合ってる気がする…!
    父親が家族写真を見て号泣するシーンは、見た目は醜悪な化け物なのに(だからこそか)こっちもうるっと来てしまいました。

    >ジョジョのネーミングは欧米のミュージシャンや曲から引用されている
    3部はタロットだったので目立ちませんでしたけど、4部以降はバシバシ有名どころが使われてますね。
    荒木先生の趣味丸出しなのですが、そんななか7部で唐突に登場した「チョコレート・ディスコ」に一時ネット界隈がざわついたりもしました(笑)
    ちなみに設定では仗助の好きなミュージシャンはプリンスで、この間訃報を聞いた時はタイミング的にジョジョの事を思い出したりしていました。

    >(レッチリ)意外と愉快な奴なのかも
    そう奴はハンサムの系譜に連なる男…

    • 怪物となり自我を失くしながらも、まだ家族への愛が残っていたというのは感動的でしたね。無意味な行動だと思い込み、10年間もその意図に気付けなかった形兆のやるせなさも加味されて、心締め付けられるワンシーンでした。

      >7部で唐突に登場した「チョコレート・ディスコ」に一時ネット界隈がざわついた
      マジですか! それはざわつきますね(笑) 長い連載の間に荒木先生の音楽の趣味が変わられてしまったのでしょうか。

      有名どころから直接的すぎる引用をされると、気が散るというか物語にノイズが入ってしまう恐れがあるんで、もう少しマイナーどころから引用するか、元ネタが連想しにくいぐらいもじってくれると良かったんですけどね~。「レッド・ホット・チリ・ペッパー」はいくらなんでも…!

      まぁ、ドラゴンボールだって、最初は「なんじゃそりゃ」という変な名前ばかりでしたが、気付いたら普通に馴染んでいたので、レッチリさんもいずれ気にならなくなるかな。

      >奴はハンサムの系譜に連なる男
      なんとなくどういうキャラか想像できてしまいましたよ(笑) 今度はどんなハンサム顔なのか期待。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。