ゴールデンタイム第16話「ウェイクアップコール」雑感

居眠り運転であわや大惨事も、間一髪ブレーキが間に合い、悲劇に至らず。ホッと胸をなで下ろして話がまとまるかと思いきや、警察に連絡して、調書取られて、親御さんに謝罪して、修繕費に修理費を弁償して……と、事後処理までしっかり描かれているのが、ゴールデンタイムが並みのラブコメじゃない所以。ていうか、こんなに警察のご厄介になるラブコメ、他に知らないよ(笑)

事故後はすっかり塞ぎ込んでしまった香子。一歩間違えれば、友達全員を死なせてしまっていた罪悪感に加え、事故の後始末は結局全部親任せだったという無力感。いくら大人ぶったところで、自分はただの未熟な子供だったことを思い知らされた恥ずかしさから、みんなに合わせる顔がないと泣き喚く

「合わせる顔がない、もうダメ、はい消えるって、そんなの責任取るって言わないんじゃないの!?」
「事故った、そのあと何もできなかった、それは恥じたっていいよ! でも、その恥から逃げるなよ! 恥ずかしい自分を抱えて、それでも生きていくしかないじゃん!」

すると、万里君が珍しく怒りを滲ませながら、香子を叱りつける。私は彼の一言一句が正論だと思いますし、その言葉に強い感銘を受けました。問題を起こした張本人が、謹慎、辞任、自殺などの手段で姿をくらますことが正しい責任の取り方とは思いませんし、恥ずかしさに耐えながらしっかりと自分のしでかした出来事に向き合うことが大事。「責任をとる道は、身投げのような行為の中にはない。責任をとる道は、もっとずーっと地味で全うな道」だと麻雀の上手い人も言っていましたよ。

「自分が受け入れられない自分はなかったことにして、それで、もしまた自分が事故ったら、またあれは今の自分とは関係ありませんって面して逃げるのかよ!」

万里君が声を荒げていたのは、単に香子を説教したかったからではなく、自暴自棄になっている彼女を励ましたかったから。敢えてキツイ言葉を投げかけて、早く彼女に立ち直ってもらいたかったんだと思います。

実際、通常のラブコメであれば、そういう流れで丸く収まっていたはずなんですよ。愛の叱咤で立ち直れた香子が、ますます万里のことを好きになってハッピーに解決。……しかし、残念ながらそれは、現実に即さない「男の論理」なんですよねぇ。

「うるさい! うるさいんだよ! アンタこそ何言ってんの!?」

男女間の対話において最もやってはならないタブーは、女性を正論で追い込むこと。論理的に言い負かせると、必ず相手は感情で反発してくる。感情的になった女は、まったく関係のない過去の話題を持ち出してきて、「あのときの貴方はこうだったじゃない!」と、昔の非を責め立ててくるからたちが悪い(笑)

「万里は全部捨ててきたじゃない! 置き去りにして、やりなおして、過去なんか全然受け入れてないじゃない!」
「だって、そりゃそうでしょ! だって、アンタ、“過去の俺はリンダが好きだった”とか言うじゃない!」
「万里は最初から過去の自分なんか受けいれる気なんかなかったじゃない!」

万里君が偉いのは、ここでかちんと頭にきて自分も感情的にやり合うのではなく、一度自分の正論を引っ込めて、彼女の理不尽な怒りを受け止められるところ。クレーム処理なんかもそうですけど、相手が感情的になっていたら、まずその言い分を受け止める。ちゃんと相手の言い分に耳を貸して、その気持ちを理解してやる(“従う”ではなく)ことがクレーマーとの……もとい、彼女とのケンカを解決する第一歩ですよね。

「そんな面倒臭いことやっていられるか!」はごもっともですが、そんな面倒臭いことをやれる男こそ、女にモテる男というもの。男女間に限らず、他人と良好な関係を続けていくには、ときに自分の正論を引っ込めなくてはならない。世の中、正論だけで話し合いができるなら国家同士のいざこざが起きるはずありませんから。日本と韓……いや、なんでもございません。

修羅場を乗り越え、二人が愛を確かめ合っていたら、空気読まず香子の親父が闖入してきたのは大笑いしました。万里君が機転を利かせて、親父さんの存在を香子に気付かせないよう配慮しても、「嘘は良くない!」と台無しに!

「父さんは正直だった! だが、彼は嘘を吐いた! ……憶えておくんだ」

こんな状況でも、娘の彼氏と張り合おうとするお父さんが可愛くって仕方ない(笑) 事故を起こしたあと、娘に思いっきりビンタしてすごい厳格な父親だと思っていたら、このチャーミングすぎるギャップ。くそ~! お父さんに一番萌えるっっ!!

最後のオチを含めて、今週も本当に面白かったです。ゴールデンタイムのこういったリアル感、狂おしいほど好き。人間の感情に踏み込んだ部分にリアリティがあり、なんていうか“頭の中で考えられたラブコメ”って感じがしないんですよね~。もう全部作者の実話なんじゃないかと疑いたくなる(笑) 竹宮ゆゆこ先生の私小説だと思っていますよ、私は!

★今週の加賀香子★

香子とのガチのケンカは楽しかったなぁ。こういう後味の悪くないケンカなら大歓迎。謝罪の仕方、励まし方、ケンカの収め方、いずれも対応を誤ると交際関係に破綻をもたらしてしまう重要な局面を、完璧な対応でこなしてしまう万里君。こんなに女性の扱いが上手いアニメ主人公を見たことがない!

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. アニメ感想 14/01/31(金) ストライク・ザ・ブラッド #16、ゴールデンタイム #16

    ストライク・ザ・ブラッド 第16話『観測者たちの宴篇I』古城のお母さんが登場しました。なんとなく予想はしてたけど、こういう主人公の親って、必ず変わり者ですよね。相変わらず …

  1. 流石に原作者が女性なだけありますね。
    こういう女にはこういう対処が一番なんだよ、と作者の主張が感じてとれるような気がしないでもありませんw

    • 確かにそういう意図もあるかもしれませんね~。私は元々ラブコメに関しては女性作者の方が好き。男性作者のラブコメ(ニセコイ)はどうも自分の肌に合わないみたいです。