ガーリッシュナンバー第12話「烏丸千歳と……」雑感+総括

SHIROBAKOもそうだったんですが、アニメ最終回って「間に合わない! 走れ!」って終わり方多いよね…。お手軽に疾走感とハラハラ感を演出したいからでしょうか。しかし、最終回アフレコに遅刻、イベントライブに遅刻と、二度も千歳の遅刻シーンを見せられる必要ありました?

諸問題はあらかた片付いたあとなので、最後は特に山場もない穏当な終わり方。最終回そのものがエピローグみたいなものでしたから、ぶっちゃけ今回は特に見るべきものはなかったです。

「私、最初はさ、何も思ってなかったんだ。当たり前に仕事して、それが普通だって思ってて。

でも、違った。別に私特徴のある声じゃないしさ。ぶっちゃけ、代わりなんていくらでもいるし…。だからこの役、百花ちゃんでも、万葉ちゃんでも良かったじゃんって…。なんで私なんだろうって。

いや、知ってるよ? スケジュール余裕で、イベント稼働できて、使い勝手いいんだろうなって。私も普通にわかる…。新人なら誰でも良くってさ。八重でも京ちゃんでもよくて…。なのに、気付いたらめっちゃ差がついてて…。いや、勿論マジで私がダメだからなんだろうけど…。

だから、私がいなくても誰かがその枠埋めちゃえるんだよ。けど、それって誰が悪いとかそういうことじゃなくて。あ、いや、私も悪いし、選んだ人も悪いし、止めなかった人も悪いし、何ならこの業界も結構悪いまであるっていうか…。だったら、このまま使い捨てで消えちゃうのかなって…。もうしょうがないなって…。

けど、私この作品のこと……私この作品のこと、ぶっちゃけよくわかんないんだけどさ! 私が売れるために全力で頑張るよ! 結果、この作品も売れればWIN-WINだよ! なんでもやる! 超頑張る!」

唯一最終回らしさがあったのは、この千歳の語りでしょうか。でも、セリフが長い割にはちっとも響くものがなかったですね。「○○だと思う。いや、○○なんだけど」といった逆接の接続詞ばかりで、彼女が何を言わんとしているのか理解しにくくて。千歳自身も気持ちがまとまっていないってことを表現したかったのかもですが、それにしても拙すぎます。

クースレ最後の収録が終わったあと、感極まりながら千歳がこのセリフを述べたならまだ意義があったと思います。でもこれ、千歳が収録に大幅に遅刻してきた直後のセリフなわけですよ。早く収録始めなきゃヤバイって時間が迫るシチュエーションの中で、遅刻してきた謝罪の言葉の代わりに、こんなまとまりのない長尺の自分語りをされたって迷惑なだけですって。何故か、周りの声優にスタッフ、原作者の心を奮わせて、しんみりとした感動的ムードになっていましたけど…。

前回で意識を変えることができた千歳が、新しい一面を見せるべき最終回で、遅刻させてしまうこと自体そもそも余計でした。しかも、この遅刻のあとに、もう一回また別の遅刻をやらかしていたのも意味不明。尺あまりでやることないからって、二度も遅刻のシーンを繰り返さないでくれませんかね。

最終回はまったくと言っていいほど見どころなかったですけど、「売れちゃいましょう! 気楽に!」「勝ったな、ガハハ!」で締めて最後までブレずにちーさまらしくあったことは評価したい。彼女が彼女らしくあることが私の望みでしたから、微妙な終わり方ではありますが、一応ハッピーエンドとして受け取りたいと思います。

★今週の烏丸千歳と総括★


ガーリッシュナンバーは業界ものとして、アニメ製作の裏側や声優の実態を描こうとした作品ではなかったと思います。視聴者はそっち方面への期待が大きかったようですが、実際は千歳の成長もの。千歳というキャラクターありきの千歳物語でした。

しかし、これは成長ものとしても特殊な部類。何故なら、最終回を迎えた今でも、千歳は最初のスタート地点から大きく成長しているわけじゃないからです。声優としてのスキルは上達しましたが、クズと呼ばれる根本的な考え方な然程改まっていません。服装も替わっていません。かといって、彼女が人間性を改めて、別人のように生まれ変わることが望まれていたのかというと、それも違うと思うのです。

ひたむきに頑張っている娘なら、最後は努力が報われて終ればいいに決まっている。本気で腐った性格の娘なら、最後は改心して終わればいいに決まっている。千歳の場合はどうでしょう。千歳は性格に難がありますけど、性格を改めると彼女の個性が死んでしまいます。ここにガーリッシュナンバーの難しさ、“成長ものでありながら、成長させてはいけない”というダブルバインドがあります。

さすがに適当な考えの彼女が、ずっと挫折もなく売れっ子街道を突き進むだけでは反感しかありませんので、どこかで彼女を挫折させなくてはいけませんでしたが、挫折を乗り越えても大きく人間的成長はさせられない縛りがありますので、どのように着地させるか、脚本作りも悩ましかったと思いますよ。

私案としては、まずいったん彼女を完全に綺麗な千歳にして、それこそ七海ちゃんみたいな嫌味なほど真面目な良い子ちゃんキャラにしてしまって、でも周囲はそういう千歳を求めていなかった&本人的にも猫被りの限界が来たということで、最後にちゃぶ台をひっくり返し、元の木阿弥になる方が良かったんじゃないでしょうか。「結局、最初と何も変わらなかった」と思われるよりは、「いろいろあったけど、最初に戻ってきた」という方が、同じ着地点でも最終回における印象は良かった気がするんですよね。

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2 Responses so far.

  1. ゲスト より:

    毎週ガーリッシュナンバーの感想を楽しみにしていました。レビューお疲れ様です。
    先行していたコミカライズが魅力的でアニメの放送を楽しみにしていたのですが、千歳がネットでの中傷される下りで脚本の雑さに断念して視聴を中断しました。

    この作品は何をしたいのかが不鮮明でエピソードもネットで見た事のある話ばかり。
    これが新人の作った作品ならまだ分かるのですが、原案者はアニメ化経験者でゲームやアニメ関係の企画や制作などを行っている会社で働きながら作家業をしているのですから色んな意味で驚きです。

    個人的に良かった事と言えば、総括でも書かれているように千歳が最後まで性格が変化がなかったことでしょうか。
    ゲーム作品ですが千歳と同じようにクズとして描写されているテイルズオブジアビスの主人公のルークみたいに作中で異常なまでに人の顔色を窺うようなキャラクターにならなくてほっとしています。

    • どうもありがとうございます~。途中で飽きて感想を放り投げることなく、完走できて何より。

      コミックの方がまだ声優業界を描いた作品という印象でしたが、アニメは本当に千歳物語になっていましたね。そのぶん、突っ込んだ業界話はなく、素人でも想像できる範疇のエピソードに留まっていたので、その点が不評を買ってしまったのはしょうがないところ。もう少し取材なりを綿密に行う必要はあったと思います。

      私としては、特に面白かったわけでもつまらなかったわけでもなく。期待値のラインは多少下回りましたけど、まぁこんなもんかなという感じで…(笑) 業界ものとしては、SHIROBAKOがやり尽くした感ありますので、そこはあんまり求めていなかったんですよね。

      >テイルズオブジアビスの主人公のルークみたいに作中で異常なまでに人の顔色を窺うようなキャラクター
      やったことないのでわからないんですけど、それは嫌な主人公ですねぇ(笑) RPGの主人公は自分の意志がなく、付和雷同に周りに流されるだけの奴が多いのは事実ですけど、人の顔色を窺ってばかりなのは気持ち悪すぎる…。