ガーリッシュナンバー第3話「邪道な千歳と王道展開」雑感

アフレコが始まる前に、新人が自己紹介を兼ねて先輩1人1人に挨拶する仕来りは「それが声優!」で学習済み。しかし、我らが千歳は新人ながらふんぞり返って逆に挨拶を待っていたという。「挨拶した方がいいよ~」と注意されても、「え、主役もやるの?」と素で返すちーさまは、曹軍100万の野を単騎で駆け抜けた趙子龍の如き一身是胆(いっしんしたん)。

千歳「ひゃあ。な、なんで着替え中の私の部屋にいきなり男がぁ。だ、誰にも見せたことなかったのにー。こ、このままだと結婚しなきゃー。ふええー」
男性声優「えぇ、なんだって? 血痕? 血の跡なんてどこにも…」
千歳 「ば、ばかぁー。で、出て行けぇー」

やっと始まった第1話収録。千歳の素人丸出しの棒読みがひどすぎ(笑) 声はよく出ているんですが、常に一本調子でまるで感情が乗っていないのが笑えます。「呟き方向で」と指示が入っても、意に介さず声を張る強心臓。養成所で実力トップクラスとは何だったのか。でも何気に作品のセリフもひどいっていうか、主人公が結婚を血痕と聞き間違えるところなんて、実際どっかのラノベにありそうですげーイラッとするなぁ(笑)

「今のいただきましたー!」

怖いのは、千歳のゴミ演技に対して、周りは何も指摘してくれないところ。先輩声優は「うん…。まぁ、そんなもんでしょ」と笑顔でかわし、音響監督は「はーい! 結構でーす!」と声のトーンを濁らせず明るくOKを出す。そして裏では「この娘はこれ以上変わらないかもですね」と痛烈なダメ出し。誰もはっきり注意してくれないのが恐ろしいわぁ…。

「ぶっちゃけお前はド下手クソだ。実力もないし、経験もない。頭もそんな良くない。その上性格もゴミだ」

声優さんは従業員じゃないですし、実際こんなもんなんでしょうね。ヘタクソだからといって注意されることも叱られることもないけど、ただ次回から使われない。そう考えると、こうやってはっきり本音でダメ出ししてくれる兄の存在が貴重すぎますよ。

悟浄「音監さんに相談してみよう」
千歳「げっ。でも音監さんに相談なんて、できない子みたいで印象悪くない?」
悟浄「既に最悪だ」

できない子だから相談しろと言っているのに(笑) 落ち込んでもプライドは高いちーさま愛おしい。

「あたしの場合、前にやった似たキャラから引っ張り出して、手掛かりにするかなぁ…。あとは調整。この調整が難しいんだけどね」
「なんか参考にしてみたら? 似たキャラとかたくさんいるでしょ? 要はイメージの問題ね。その手のキャラの特徴を掴んでれば、結構そう聞こえるもんよ」

更に演技で悩んでることを素直に百花に打ち明け、相談に乗ってほしいと自らLINEでお願い。てっきり既読スルーで放置かと思ったら、ちゃんと直接会って指導してくれる百花はいい先輩(年下ですけど)。もし兄が業界人ではなく、百花とも仲良くなっていなかったら、千歳はここで終わっていたんじゃないかと思うと、恵まれた環境になんとか救われたと言えますねー。

「ほしかったんでしょ!? 誰も諦めずに住む世界が! だったら今しかないじゃない! その時間くらい、私が作る!」

スタッフや先輩のアドバイスに謙虚に耳を傾け、DVDを借りて演技の研究も始めた千歳は、劇的に演技が改善。クズだクズだと言われていますが、こうやって壁にぶつかるとちゃんと努力できるのは偉いよね(当たり前中の当たり前とはいえ)。現実でも1話の演技がひどくて、「この新人声優大丈夫か?」と思っていたら、急にマシになってくるケースがありますけど(最近だと津島善子役の小林愛香さんとか)、今後は千歳みたいな背景があったんだと想像してしまう。

「ちょっとはマシになりましたよ。でも、あれじゃこの先通用しない…。テンプレートと記号のオンパレード。つまんねぇ芝居…」

でも、やる気になったら私はすごいんだ! 本当は天才なんだ! という安易な着地点で終わるのではなく、すぐ新たな課題にぶつかるところがいい。彼女の上達はあくまで「アニメっぽい演技ができるようになった」だけ。キャラを演じ切れているんじゃなくて、他の声優の演技を真似ているだけにすぎませんので、これでは先がないと兄悟浄は心配する。声優が声優を真似する個性のないテンプレート演技は、現代の声優全員に突きつけられる現実ですから、ここを掘り下げていくと今まで以上に危ない橋となりそう。

★今週の邪道な千歳★


あれだけのゴミ演技のあとに、満面のどや顔できるちーさまはらぶゆ~なのです。一発で上手くできる裏技を聞き出そうとはしていたものの、実際には自力で努力して上達を果たしましたので、特に邪道という印象はなかったですね。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 2016年秋アニメ感想 第3回

     どうも、管理人です。相変わらず予定がずれ込みすぎて、ロクに更新作業ができずにいるのですが、とりあえずまとめで取り上げる本数を増やして対応することに。ちなみに、明日はほ…

  1. 芝居について百花が「それが求められている」と言っていましたが、今回のテーマだなと思いました。
    声優だけでなく、少しのセリフだけで、内容が想像できるその辺にありそうなラノベ。
    個性的な芝居ができないのは、声優がいけないのか、テンプレート作品キャラがいけないのか。

    作品も声優もテンプレートが増えた原因は「それが求められている」からなのではないだろうかと。
    一話で千歳が「何でつまらないアニメばかり作るんだろう」みたいなことを言っていましたがこの一言に繋がるのかなと。
    面白い回でした。

    • 個性的な演技ができる人より、求められた声や演技ができる人の方が、声優としては有能であると思いますし、過剰に芝居がかった萌え声(orイケメンボイス)は作品として求められることの多い声なので、それはそれで声優として不可欠なスキルであるはず。

      問題なのは、多くの声優は深夜アニメでの演技に特化しすぎていることですね。萌え声を求められていない作品で、演技を切り替えられる声優さんがほとんどいないのが実情。「君の名は。」の三葉役だった上白石萌音さんのような声や演技が求められても、今の声優じゃ誰も対応できないでしょうから…。声のプロとしては、そういう演技もできる幅の広さを持ってもらいたいものです。