Fate/Zero第25話「Fate/Zero」雑感

Fate/stay nightでは、はた迷惑な正義と自己犠牲を振りかざし、ときにプレイヤーのイライラを募らせてくれた士郎君でも、Fate/Zeroにおいてその存在はまさに救い。この何もかも報われない酷薄な物語でただ一つの希望なんです。

エクスカリバーで聖杯を破壊したはずなのに、冬木大災害が引き起こされてしまった理由はアニメじゃ少々わかりにくい部分。そもそも聖杯の器は、大聖杯に直結する“孔”の形態を安定させるための制御装置に過ぎず、真に破壊しなくてはならなかったのは、上空に浮かぶ“孔”だったんですね。知らぬこととは言え、切嗣が行った選択は最悪だったということ。

自らの過ちに気付いた切嗣に、途方もない絶望感と罪悪感が蝕んだのは想像に難くありません。虚ろな表情のまま、焼け野原の瓦礫を掻き分けてひたすら生存者の捜索し続ける。そんな中で、唯一の生き残りである士郎を保護できたのは、切嗣にとってどれだけ救いであったことか。助けた方が「ありがとう」と感謝していたと士郎の独白にありましたが、そのまんまの意味なんですね。

ラストシーンは、月夜に屋敷の縁側で語り合う親子2人。このとき、切嗣は聖杯の呪いを被ったことが災いし心身共に衰弱。齢34にしてその生涯を閉じようとしていました。妻を失い、娘と隔絶され、願いは遂げられず、そして多くの罪科を背負わされた己の人生を振り返りながら、正義の味方になる夢を果たせなかったと述懐する。

弱音を吐く義父に憤りを感じながらも、神妙な面持ちの切嗣の言葉に対して士郎はこう返す。

「しょうがないから俺が代わりになってやるよ」
「爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。まかせろって、爺さんの夢は──」

切嗣が果たせなかった無念を自分が肩代わりしてやると事も無げに言う。その言葉は、切嗣にとって徒労でしかなかった人生に、意味を与えてくれるもの。自らの理想を士郎が引き継いでくれることで、切嗣の無念は無為ではなくなったわけです。

臨終の際でひとひらの救済を得た切嗣。──その生涯を通じて何を成し遂げることもなく、何を勝ち取ることもなかった男は、たったひとつ最後に手に入れた安堵だけを胸に、眠るように息を引き取った── 最後の最後に少しだけ切嗣が報われて、私も少しだけ報われました

『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰ

販売元:アニプレックス( 2012-03-07 )

定価:¥ 41,040 ( 中古価格 ¥ 6,580 より )

Amazon価格:¥ 19,410

時間:340 分

7 枚組 ( Blu-ray )


この記事のトラックバックURL

ABOUTこの記事をかいた人

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。